そごう・西武の売却問題と「3つの処方箋」
Everyone! Good Monday!
[2022vol㉗]
2022年第27週。
7月第2週。
梅雨は本当に明けたのか?
そう思わせるような天気だ。
そのうえ台風「アイレー」が北上中。
7月1日午前9時の日本列島の南の海上、
熱帯低気圧が台風4号に変わった。
ゆっくりと北北西に進み、
2日から3日にかけて、
沖縄本島地方や大東島地方に接近。
今日4日午後6時現在では、
鹿児島県西の海上を北上中。
明日5日(火)の日中に、
九州北部にかなり接近し、
あるいは上陸して、
6日(水)の未明から朝にかけて、
近畿地方に最も接近する見込みだ。
私は今日と明日、
月刊商人舎7月号の最後の責了をして、
明日の晩、大阪に入る。
そして明後日は1日中、
セミナーで講師を務める。
沖縄からも受講者が参加の予定。
心配だ。
KDDIの大規模な通信障害。
2日未明に発生した。
発生から62時間以上が経過して、
全国的にほぼ回復。
しかし全面的な復旧の判断は、
明日5日の夕方になる。
auの携帯電話だけでなく、
様々なところに影響を及ぼした。
鉄道貨物に遅れが出た。
バスの現在位置が把握できなくなった。
銀行のATMが動かなくなった。
アメダスの観測情報が集約できなくなった。
私はauではないので、
問題はなかったが、
商人舎でも3人が使っていて、
ずいぶん困ったらしい。
音声通話とインターネットは遮断されたが、
ショートメールは繋がった。
これで連絡をとって事なきを得た。
結局は通信網の危機管理が甘かった。
リスクマネジメント問題だ。
さて、そごう・西武の売却問題。
日経新聞がスクープ。
フォートレス・インベストメント・グループが、
優先交渉権を得た。
アメリカの投資ファンドだ。
これも日経の取材だが、
フォートレスはそごう・西武の買収に関して、
ヨドバシホールディングスと、
連携に向けた協議を進めている。
たとえば西武池袋本店の施設内で、
ヨドバシカメラが営業することもある。
ヨドバシにとっては、
百貨店の本店は魅力ある物件だ。
記事では、
「セブン&アイとフォートレスは、
従業員の雇用や店舗の改革を含めた
詳細を詰めていく。
ただ条件を巡って
今後の協議は曲折も予想される」
「そごう・西武が、
百貨店をどのように改革するのか」
私は百貨店に関して、
もう20年ほど一貫して主張している。
『百貨店の未来』だとか、
『百貨店が復活する日』だとか、
そんな本が出た1998年、2000年にも、
私の考え方はそれらとは違った。
まず第1に旗艦店だけを残す。
英国ロンドンのハロッズが手本だ。
第2はその旗艦店から、
新しいフォーマットを生み出していく。
新しいサービスと新しい商品、
新しいライフスタイルを、
この店しかない形で提供する。
独自のポジショニングである。
それは世界中で、
この店にしかないものでなければならない。
そして第3に、
1店に1人の最終責任者を設ける。
1人のチームリーダーが、
チームマネジメントで、
1店ごとに完全独立採算制を担う。
その際、目標管理の自己管理がいい。
〈1店=1企業〉の考え方だ。
これしかないし、
それはできる。
ただし、誰がそれを意思決定し、
誰がそれを推進していくのか。
意思決定者と改革の推進者は、
現状ならば同じ人格のほうがいい。
本気のプロデューサーである。
故堺屋太一さんが推奨したやり方だ。
そごう・西武に関して、
それは誰なのか。
どう改革するかよりも、
誰が決めて、誰がやるか。
その「誰が」を決めるのにも、
今、誰が責任を持っているのか。
どこが買収先になるかも結局は、
誰が最終的に決めるのか。
そのあたり、
無責任な空気の中で進んでしまったら、
「西武池袋店にヨドバシを入れる」
くらいの話で終わってしまうだろう。
それは唯一のポジショニングには、
結びつかない。
私は西武池袋店も、
横浜そごうも、
大好きで、よく使う。
だから成功してほしいと願うものだが、
まずは「誰がやるか」の「誰」が決まらねば、
泡と消えていく。
そして今、「誰がやるか」を決めるのは、
セブン&アイのトップしかいない。
では、みなさん、
今週も、暑さと台風には気をつけて。
一人ひとりが、
本気のプロデューサーを目指そう。
Good Monday!
〈結城義晴〉