ニチリウ研修会の1日講義と「危機対応が次の危機をつくる」
昨夜から大阪。
台風一過。
台風が去ると、
関西はやはり関東より暑い。
新大阪の隣の西中島。
日本流通産業㈱の研修会。
通称「ニチリウ」。
1974年に発足した流通機構。
朝10時から始まる。
全国のニチリウ加盟企業から、
受講者が参集。
午前中の講師は結城義晴。
ゴドフリー・レブハーは書き残している。
「チェーンストアは、
小売業であり、
卸売業である」
小売業の側面は店舗運営部が担い、
卸売業の側面は商品部が担当する。
それが一つの会社として、
有機的に機能する。
これが根本的な考え方だ。
昼食をはさんで、
午後の講師は鈴木哲男先生。
「52週MD」の考え方は、
鈴木先生がつくり出し、
理論を確立した。
そしてそれが今や、
日本中の消費産業の大原則となった。
そのご本人から学ぶのが一番いい。
夕方、再び結城義晴。
最後の総括をしつつ、
プライベートブランドのあり方、
仕様書発注の注意点、
さらにサプライチェーンの本質など、
マスターしておかねばならないテーマを
最後に講義した。
米国のサプライチェーンカウンシルは、
その概念を定義している。
「価値提供活動の初めから終わりまで、
つまり原材料の供給者から
最終需要者に至る全過程の
個々の業務プロセスを、
一つのビジネスプロセスとしてとらえ直し、
企業や組織の壁を越えて
プロセスの全体最適化を継続的に行い、
製品・サービスの顧客付加価値を高め、
企業に高収益をもたらす
戦略的な経営管理手法」
これを目指すのが、
卸売業であり小売業であるという側面の、
チェーンストアである。
ホテルの中は涼しくて静かだ。
講義が終わると最後に、
質疑応答。
各社の代表から、
質問を出してもらい、
感想を述べてもらった。
そして最後に拍手をいただいた。
ご清聴を感謝しつつ、
参加者のご健闘を祈りたい。
講義が終わると、
すぐに新大阪から新幹線に乗って、
車中で原稿執筆。
こんなに集中する時間はない。
午後8時半ごろ、
横浜の商人舎オフィスに帰った。
そして7000字の最後の原稿を書き上げて、
入稿し、責了した。
お疲れ様。
いい雑誌ができました。
ご期待ください。
今日の日経新聞「大機小機」
コラムニストは赤金さん。
テーマは、
「危機対応がつくる次の危機」
「危機への対応が次の危機を用意する――」
その通り。
「急速に世界で進む
金融市場の逆回転をみると、
その歴史を繰り返すことになるかとの
懸念がよぎる」
歴史は回る。
「世界を襲った新型コロナウイルス禍」
「人やモノの移動が止まり
需要が蒸発する事態に各国は
大規模な金融緩和と財政出動で
しのぐ道をとった」
「ただ、それは一段とマネーをあふれさせ、
新たなバブルを膨らませることになった」
危機への対応が、
次の危機を生んだ。
「30年続いた低金利時代は
債券価格が上昇を続けるという
大相場をつくった」
「脱炭素を旗印にした欧米の需要創出策も、
ロシア問題で道が険しくなった」
「インフレ抑制を優先すれば
景気の犠牲は免れず、
まして金融緩和策の手も取りづらい」
あちらを立てれば、
こちらが立たず。
「危機打開へ国際協調を期待できなければ
閉塞感は強まるだろう」
「忍び寄る嵐の気配」と、
コラムニスト。
会社の経営でも、
店の運営でも、
「危機への対応」が、
「次の危機」をつくる。
そんな危機連鎖のときに、
なにを拠り所とし、
どう考え、どう行動するか。
月刊商人舎7月号に、
そのヒントがある。
ご期待ください。
〈結城義晴〉