結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年07月10日(日曜日)

第26回参院選の「投票」と「中道コモディティ化現象」

7月10日の日曜日。
第26回参議院議員通常選挙、
投開票日。
《総務省の広告〉
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横浜は快晴。
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太陽に緑の木々がまぶしい。
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神奈川県は24人の立候補者。
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私の投票所です。
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港北小学校の構内も、
森林浴ができるほど。
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投票所は体育館。
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あらかじめ決めてあったので、
さらりさらりと候補者と政党を、
投票用紙に鉛筆で書いて出てきた。
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そして、いつものようにもらってきた。IMG_E39212

投票証明書。
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あとは結果を待つのみ。

午後8時、
投票時刻が終了した時点で、
NHKをはじめ、
テレビ局は当選を打ち出す。

そして予想通り、
自民党圧勝。

公明党、日本維新の会が議席を増やし、
立憲民主党、国民民主党、
共産党、社民党などが減らした。

比例区の投票をする際、
立憲民主党も国民民主党も、
略称を「民主党」と届け出ている。

両党は旧「民主党」から袂を分かった。
そして略称に関して、
両党ともに譲らなかった。

その結果、
実際に「民主党」と書いたら、
開票区ごとに、有効票に応じて、
按分される。

なんとも馬鹿なことだ。
たとえば立憲に投票するつもりで、
民主党と書いても、
この開票区の割合に応じて、
按分されてしまう。

民主党と書いた投票者の真の意志は、
結果に反映されない。

総務省の資料では、
2021年衆院選の際、
「民主党」と書かれた票は、
362万6320票だった。

そこで立憲に295万8201.722票、
国民に66万8116.241票が、
割り振られた。

馬鹿馬鹿しい。

こんなことをやっているから、
野党総崩れとなる。

つまり両党をまとめるリーダーがいない。
あるいは政党そのものに、
右派と左派を統合するパワーがない。

自由民主党も、
「民主党」という言葉を使っているが、
略称は「自民党」である。

ついでに言えば社民党も、
「社会民主党」だ。

日本の政治は「民主党」だらけで、
それは「中道」を意味している。

昨年10月の衆議院選挙のときにも、
このブログに書いた。

日本の政党政治は、
どの党も民主主義を基盤とするが、
全体の趨勢は「中道」である。

公明党はもともと、
「古い左と右」の中道の位置にいて、
民主主義をベースとする。

日本共産党も「中道化」してきている。

だから全党党首が、
安倍晋三元首相殺害のとき、
「民主主義への挑戦」と憤った。

「汝、殺すなかれ」は、
民主主義の前のロジックのはずだ。
モーゼの十戒である。

安倍殺害は反民主主義勢力によるテロで、
政治家だけがそれを知っているのか。
そんなことも思ったほどだ。

ほとんどすべての党が中道で、
自由民主党の中にも、
保守と革新がある。
右翼的と左翼的が混在して、
全体として大きな「中道」を形成している。

旧民主党にも、
リベラルとコンサバティブが同居した。

それを明らかにしようとして、
分裂した。

ここが大人げない。

そして「民主党」を名乗っている。
これも大人げない。

自民党のように、
そのまま抱え込む度量があれば、
そこそこ対立軸になれたものを。

中道の中で、
ちょっと右寄りが多いのが、
自民党で、
ちょっと左寄りが多かったのが、
民主党だった。

いまはイデオロギーにおいて、
「右」も「左」もないのだが。

全体にコモディティ化している。

与党となっている公明党も、
原則的に護憲であり、
原発ゼロ派である。

それを「加憲」と言ったり、
「確かな安全基準」で容認したり、
自民党に合わせている。

この融通無碍さが、
立憲や国民にあっていい。

立憲も国民も、
その線引きを自分たちだけ、
きっぱりとしようとして、
分裂し、負てしまった。

全体が中道で、
同質化、コモディティ化すると、
一番大きなものが勝つ。

マーケットシェア最大のブランドが強くて、
その他は必要ないとさえ言える。

それが消費社会の趨勢である。

政治も同じだ。

日本の民主主義が中道化し、
コモディティ化している。

だから、
マーケットリーダーが、
圧倒的に強い。
そのフォロワーが増える。

リベラルとコンサバティブの両サイドに、
マーケットフォロワーが多い。

マーケットチャレンジャーは、
ひどく弱い。

そのくせ互いに批判し合っている。

実はこれは、
つまらない市場である。

ドイツやフランスは、
その政治のコモディティ化に、
我慢ならない国民が増えて、
中道が負け始めた。

極右などが出てきて、
決していい状態とは見えないが。

日本の政治は、
中道コモディティの行き詰まり段階である。

安倍晋三元首相は、
そのなかで少しだけ、
ポジショニングを明確にした。

だから人気を博した。

日本の政治は今、
突き抜けた存在の登場を待っている。

与党側にも野党側にも。

ただし期待されるのは、
小粒な安倍晋三の再来ではない。

この参議院選で一番印象に残ったのは、
そのことだ。

〈結城義晴〉


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