ロピアのスーパーバリュー経営統合と「田んぼの思想家」
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ロピアHDが51.62%を保有して筆頭株主に
(株)スーパーバリューは上場企業で、
埼玉・東京・千葉に、
スーパーマーケット事業24店と、
ホームセター事業との複合店10店を展開。
埼玉県19店舗、東京都12店舗、千葉県3店舗。
2022年2月期の売上高721億円、
前年増減率9.6%減、
営業損失8億300万円。
第1四半期決算も売上高169億円、
前年増減率11.0%減、
営業損失5億1300万円、
経常損失5億900万円。
売上総利益率19.6%で、
前年の21.3%から1.7ポイント下げた。
㈱ロピアの2022年2月期は、
営業収益2469億円。
このスーパーバリューと、
㈱ロピア・ホールディングスが、
資本業務提携契約を締結した。
ロピア・ホールディングスは、
出資比率51.62%の株式を保有して、
スーパーバリューを子会社とする。
これによって、
ロピア・ホールディングスは、
2023年2月期の連結決算で、
3500億円を超える規模のチェーンとなる。
「コロナはM&Aを早める」
今日は雨。
「戻り梅雨」、
あるいは「返り梅雨」。
梅雨が明けてから、
さらに降り続く雨。
その雨もあって、
1日、横浜商人舎オフィス。
夕方、来客。
相川博史さん。
ロピア取締役千葉埼玉営業本部長。
右は山本恭広商人舎編集長。
研修会の打ち合わせ。
提携話とは全く関係ない仕事の打ち合わせで、
もちろんそれは話題にはならなかった。
朝日新聞「天声人語」
タイトルは、
「田んぼの思想家」
「農作業を終え、家族が寝静まった後、
太宰治やドストエフスキーを読み、
村と農に思いをめぐらせる」
農民作家・山下惣一さん。
昨日、葬儀が営まれたが、
山下さんはそんな時間を愛した。
「山下さんは佐賀県唐津市出身。
中学卒業後、父に反発し、
2回も家出を試みる」
「それでも農家を継ぎ、
村の近代化を夢見た。
減反政策に応じ、
ミカン栽培に乗り出すが、
生産過剰で暴落する」
山下さんの言葉。
「国の政策を信じた自分が愚かだった。
百姓失格」
農と自然の研究所代表の宇根豊さん。
山下さんを最も理解する人。
「農の問題は近代化では解決しない、
近代化されないものだけが未来に残る
と山下さんは気づいた」
山下さんの持論。
「日本農業などというものはない」
「あるのは目の前の
田畑、山、家族、村。
そこには近代化や市場経済と
本質的になじまない価値がある」
商業は、そんな農業と、
農業の対極にある工業の間に存在する。
故堤清二さん。
セゾングループ創始者。
1979年刊の名著『変革の透視図』
「流通産業の本質は、
『資本の論理』と『人間の論理』の
境界に位置しているというところにある」
鋭い指摘だ。
「したがって、
ここまでは工業化すべきであり、
ここから先は工業化してはならない、
といった二つの性格を持った
産業であるといえる」
スーパーマーケットの生鮮食品は、
農業、水産業、畜産業に頼っている。
商業は農業を、
近代化に誘(いざな)う。
だが農業には、
農業らしい「ここまで」があるし、
商業には商業らしい「ここまで」がある。
山下さん。
「あちこちの村に一筋縄ではいかない、
したたかで理屈っぽい百姓を
繁殖させるのが僕の夢」
(『北の農民 南の農民』より)
したたかで理屈っぽい百姓。
それを理解し、互いに助け合う。
そんな在り方も、
許容しておかねばならない。
農業とともにあることが、
商業、流通業の未来をつくる。
〈結城義晴〉