9月23日「3か月予報」と黒澤明の「自販機と映画作り」
お盆の中日。
しかし今年のお盆商戦、
ちょっと異変が生じた。
台風8号の影響だ。
昨日8月13日(土)の盆の入りに、
静岡県に上陸。
東日本は直撃された。
そこで12日(金)に駆け込み需要が発生した。
その駆け込み需要は、
テレビなどで報じられる天気予報に、
大きく左右されて生まれる。
だから13日の盆の入りには客足が減って、
14日(日)の中日にずれた。
ほとんどの顧客の生活行動は、
盆の入りや盆の中日、
盆の明けのスケジュールよりも、
台風や異常気象、天候の予報に反応する。
たとえ台風の予報が外れたとしても、
生活行動は事前の予報に応じて、
変化する。
だから商売は、
その気象予報をベースとすべきである。
これがウェザーMDの本当のところだ。
月刊商人舎8月号。
常盤勝美さんの提案。
㈱True Data気象コンサルタント。
2022秋冬のウェザーMDの要諦
「9/20寒候期予報」で今冬計画をアップデートせよ!
「”気候危機”とも言える状況下では
気象予測情報の活用が必須になる」
「気象庁は毎日毎時、
膨大な量の情報を発信している」
常盤さんは、
「ここだけは見逃したくないポイント」を示す。
そして気象予測の鍵となるものは、
「3か月予報」であると指摘する。
7月19日発表の「3か月予報」は、
8~10月までの予測。
8月23日発表の「3か月予報」は9~11月、
9月20日の「3か月予報」は10~12月が対象。
「年末までの計画を立案する際には、
9月20日の”3か月予報”の確認が必須である」
商人舎8月号を確認してほしい。
浴(ゆあみ)して我が身となりぬ盆の月
〈小林一茶〉
何かとせわしいお盆の夜、
湯に入って汗を流して、
ようやく自分の時間が持てる。
心が落ち着いたところに、
盆の月が出ている。
日経新聞の「私の履歴書」
今月は俳優山崎努。
面白い。
山崎は25歳の時に、
黒澤明監督の『天国と地獄』に出演。
俳優座養成所を経て、文学座に入団。
舞台を中心に役者を目指すが、
やがて映画にも出るようになる。
ちょっとユニークな文体で、
山崎が自分で書いているのかもしれない。
1963年、黒澤映画出演の際、
誘拐犯人役を得るために、
オーディションを受けた。
「初めての経験だった」
「部屋に入って行くと、
黒メガネの”黒澤明”が
中央にでんと構えて居る。
両翼にスタッフがずらりと控えている。
パイプ椅子に坐(すわ)らせられ、
至近で正対。面談。雑談」
「じゃやってみようか、
僕が相手をしよう」
黒澤監督がおもむろに黒メガネを外す。
「刑務所の金網ごしに
主人公と2人きりで対面するシーン。
犯人が1人で延々と喋りまくる」
演技テストが済んだら、
「はい、ありがとう」とまた、
黒メガネをかけた巨匠。
「あのね、映画作りは、
自動販売機にコインを入れて
ジュースを買うようなわけには
いかないんだよ」
「毎日毎日、
目の前にある仕事を一生懸命やる。
そうするといつの間にか
終わっているんだ」
この言葉を俳優山崎努は、
「今も大切にしている」と述懐する。
「仕事中に萎えたとき、
自動販売機の話を思い出し、
当面の瞬間を楽しむ、集中する」
「一つ一つ、愉快に。
ピンチを脱するにはそれしかない」
映画づくりも、
店づくり、売場づくり、商品づくりも、
そして雑誌づくり、本づくりも、
まったく同じだ。
自動販売機にコインを入れて
ジュースを買うようなわけには
いかない。
毎日毎日、
目の前にある仕事を一生懸命やる。
そうするといつの間にか
終わっている。
倉本長治は若い商人に教えた。
この一瞬の積み重ねが、
君という商人の全生涯。
自動販売機にコインを入れて、
ジュースを買うようにはいかない。
だから面白い。
だからやりがいがある。
だから一生をかけられる。
自販機のようなチェーンをつくる。
そんな考えもあったが、
そこには買う面白さはない。
自販機をつくる面白さはあるだろう。
つまり一握りの開発する人間にだけ、
面白さはあるかもしれない。
しかし運営する店の面白さ、
顧客の面白さはない。
私は黒澤映画をつくる側に加わりたい。
〈結城義晴〉