盆明けの「生身魂七十」とコンビニの「本部太る・店痩せる」
盆の明け。
盆過ぎや人立つてゐる水の際 〈桂 信子〉
1914年から2004年までの俳人。
『草苑』を創刊し、主宰した。
盆が終わる。祭の果て。
誰もが軽い放心状態にある。
そんな盆の明け、
川か池か、水の際に人が立っている。
生身魂七十と申し達者なり 〈正岡子規〉
生身魂は「いきみたま」。
盆は先祖の霊を供養する。
それだけでなく、
生きている年長者に礼をつくす日でもある。
七十で達者な長寿の人。
生身魂。
明治のころには、
七十は九十にもあたっただろう。
34歳で早世した、病弱な子規には、
うらやましくもあり、
尊敬の対象でもあっただろう。
盆はそんな人間たちの生きざまを、
それぞれに自覚させるときだ。
日本経済新聞電子版の記事。
「コンビニ宅配4200店に倍増」
日本経済新聞社の2021年度コンビニ調査。
17日の日経MJに掲載される。
全店舗売上高(比較対象可能な7社)は、
前の年度比約2%増。
しかし新型コロナ禍前の19年度比では3.9%減。
総店舗数も5万7825店で、
20年度比でわずかに0.1%増。
コンビニ業態は飽和である。
そこで宅配が4200店へと、
倍増した。
セブン-イレブンは21年度末時点で、
東京と北海道、広島の都市部で、
商品宅配対応店舗を約1200店に増やした。
前年比で約3倍。
午前10時から午後11時まで、
配送可能な注文を受ける。
店舗の来店客は男性が多いが、
宅配では20~30代の女性の利用が目立つ。
24年度中に約2万店、ほぼ全店に広げる。
セブンは宅配業務を、
外部の物流会社に委託している。
〈セブン-イレブン・ジャパン ホームページより〉
ローソンは、
21年度末に全国に約2900店。
前年から1400店の増加。
23年2月には約4000店に拡大する。
ドーソンはウーバーイーツや出前館など、
宅配業者と提携。
一般的にコンビニの商圏は徒歩5分程度。
半径約350mから500m。
ローソンは商品宅配を活用すると、
約5kmに商圏が広がるとコメント。
1店平均日販は約50万円だが、
商品宅配で1日10万円以上稼ぐ店もある。
ファミリーマートは現在約50店で展開。
ミニストップとポプラは、
21年度から始めた。
いずれも宅配に力を入れる。
しかし本誌特派員の報告。
セブン-イレブンのあるオーナー。
コロナ禍で陽性者や濃厚接触者が多発。
9割以上の店が人員不足で困っている。
本部からは人員対策もないし、
応援者もない。
「相変わらず、店任せ」
毎年の最低賃金の上昇、
社会保険経費のアップ。
これも店の負担となる。
しかし、売上げは前年微増。
加盟店の利益は「アップアップ」。
すべて本部が儲かる仕組みでもないが、
店は痩せる、
本部は太る。
私の返答。
「残念ながら本部としての改良は物足りない。
加盟店の修練は進んでいますが」
商品宅配自体は、
外部に委託すると言うが、
受注やクレームなど、
店の人時を費やす業務は増える。
加盟店オーナーたちは、
本心では宅配を面倒だと考えている。
それよりも人手不足。
再び言おう。
本部太る、
店痩せる。
これではいけない。
〈結城義晴〉