AOKI元会長贈賄容疑とアル・プラザ高槻訪問
青木拡憲(ひろのり)さんが、
容疑者となってしまった。
贈賄容疑で逮捕。
AOKIホールディングス前会長。
もう83歳か。
受託収賄容疑は、
東京五輪大会組織委員会の元理事、
電通出身の高橋治之容疑者。
青木さんは、
長野商業高校卒業後の1958年、
出身地の長野市で「洋服の青木」創業。
行商から始めた。
商品の低価格販売と郊外型低投資店舗。
チェーンストア理論そのままに、
紳士服業界ナンバー2へ登り詰めた。
ペガサスクラブのメンバーで、
熱心にチェーンストア理論を勉強していた。
その経営理念は、
社会性、公共性、公益性の追求。
「法を犯して物事を進めるな」とも言っていた。
㈱商人舎をつくってからは、
会ったことはない。
70歳を半ば超えてから経営を離れ、
さまざまなことを取り巻きに任せていた。
報道では捜査の過程で、
「高橋元理事にだまされた」と打ち明けたとか。
それでも贈収賄のことが、
わからなかったはずはない。
紳士服チェーンも、
業態そのものが行き詰っていた。
貧すれば鈍す、なのだろうか。
厳しい言い方だが、
商売がうまくいかなくなると、
どんな会社も、どんな人も、
鈍感になりやすい。
それに打ち勝つ、
強い哲学がなければならない。
私は昼の新幹線で関西へ。
車中、必死で仕事していたら、
富士を見過ごした。
気がついたら伊吹山。
京都について、乗り換えて高槻へ。
JR高槻駅前のアル・プラザ高槻。
駅とはペデストリアンデッキで結ばれている。
2004年オープン。
そして16年後の今年4月27日、
全フロアを改装した。
駅直結の入り口。
4層の店舗で
1階が食品、2階にHBCとドラッグストア、
そして婦人衣料を配置。
3階は紳士衣料と靴売場、
4階が家庭用品や寝具などの暮らしのフロア。
1階の食品フロア。
平和堂の食品部門は、
総合力が格段に向上した。
とくにプレゼンテーション力がアップした。
突き当りのコーナーに、
一部対面を入れた鮮魚売場。
「秋の味覚初到来!!!」のPOPで、
生秋鮭の展開。
惣菜売場の平台のトップは、
だし巻き卵とおにぎり。
精肉売場は店舗の右奥。
そしてデイリー売場へ続く。
30代、40代の女性をメインターゲットに、
簡便・即食商品を強化した食品売場。
平和堂オリジナルブランドの「E‐WA」は、
売場の随所に配置されている。
もっともっと開発し、
もっともっと強烈に訴求していい商品群だ。
2階導入部に制度化粧品を配置。
駅から直結でこの売場に来ることができる。
新しい試みだが、顧客には好評。
売上げもアップしている。
非食品のフロアは通路幅を広げ、
買い回りしやすい売場づくりだ。
「マッチング・クローゼット」は、
ショップ形式で、
コーディネート訴求が図られる。
商品部の腕の見せ所だ。
インナーを強化して、
トップブランドをずらりと並べた。
「Mono Studio」も、
ショップ形式で、
大人の文具を集めた。
キッズ・フォレストも、
ショップ形式で、
子ども用品を集める。
意欲的な改装で、
その成果も出ている。
説明を受け、店内を案内してもらった。
わたしの隣から、
北浦寿也・衣住統轄店長、玉垣寛支配人、
そして光久正二京阪第二営業部部長。
みんなアメリカ研修でご一緒した。
そのときの話でも盛り上がった。
スマイルが足りないので、
さらにワンショット。
日本の総合スーパー業態は、
1997年段階でピークを迎えた。
百貨店の絶頂期は、
1991年に終わっている。
いずれも商業統計が示すデータである。
実際に高槻駅周辺には、
西武高槻店改め高槻阪急百貨店と、
松阪屋高槻店がある。
高槻阪急は、
地階に関西スーパー高槻店がある。
ピークには62億円を売り上げた。
さらに無印良品、ユニクロ、ビックカメラ、
赤ちゃん本舗、ABCマートなどが入る。
9月下旬にMUJIは2階に移階増床、
GUも新規に入居する。
松阪屋にはエディオン、ダイソー、
マツモトキヨシ、ユザワヤなどが入る。
百貨店は、
箱型多層階のショッピングセンターに、
変わりつつある。
ただし箱型多層階商業集積は、
抜本的な問題解決の方法ではない。
現状よりも若干いい程度の、
弥縫策である。
そしてそこには、
貧すれば鈍す、の観あり。
では総合スーパーは、
どう変わるのか。
アルプラザ高槻が、
その解答の一例を示している。
しかし、
もっともっと変わることができる。
私はそう思うが。
〈結城義晴〉