セブン&アイ電話会見の「世界トップ10」と「逆転のダイナミズム」
今日も雨。
急に寒くなった。
気象予報コンサルタントの常盤勝美さんが、
「今年の秋は短い」と言っていたはずだが、
その通りになってきた。
その雨の中を、
松井康彦さんがやってきてくれた。
商人舎エグゼクティブプロデューサー。
アド・パイン代表。
これから月刊商人舎は、
アドバタイジングを強化する。
広告出稿大募集!!!
そのための態勢を整える。
その打ち合わせ。
打ち合わせのあとのランチは、
カニパスタのイタリアン。
みんな㈱商業界出身。
全員満足。
最後の原稿を執筆しつつ、
午後4時からオンライン記者会見。
今日は、
㈱セブン&アイ・ホールディングス。
2023年2月期第2四半期。
毎回、言わせてもらっているが、
セブン&アイの記者会見は最近、
映像はオンラインだが、
音声は電話回線を使う。
ちょっと遅れてはいないか。
しかもパソコンに映る画像は、
パワーポイントばかりで、
話し手の表情やしぐさが見えない。
つまりコミュニケーションが、
片肺飛行で行われている。
しかも語り手は、
あらかじめ書かれた文章を読み上げる。
表情やしぐさや口調や話しぶりから、
受け手は何かを読み取る。
それがない。
すると伝わりにくい。
残念なことだ。
セブン&アイの上期決算は、
営業収益5兆6515億円で、
前年同期比55.0%増。
営業利益2348億円で26.1%増、
経常利益2198億円で26.7%増。
親会社に帰属する当期利益1361億円で27.8%増。
これは過去最高益。
伊藤雅俊さんは喜んでいらっしゃるだろう。
井阪隆一社長が何度も強調したのは、
「世界トップ10」に入ったことだ。
そのほとんどすべては、
米国のセブン-イレブン・インクの貢献である。
セブン-イレブン・インクは、
SBIと略され、
セブン-イレブン・ジャパンは、
SEJと略される。
決算説明資料でも略語で示されるし、
音声による説明でも、
「エス・ビー・アイ」だとか、
「エス・ビー・ジェイ」だとか、
そんな用語が飛び交う。
社内や証券業界では、
もう当たり前なのだろうが、
私などどうも違和感があるなぁ。
世界トップ10に入ったから、
重要な指標はEBITDAとなった。
これも「イービットディーエー」と言ったり、
「イービッタ」と読んだり、
「エビーダ」と詰めて発音したり。
井阪さんは、
「イービッダー」と発音しているように、
電話では聞こえた。
国際企業になると、
営業利益や純利益よりも、
EBITDAを重視する。
それぞれの国によって、
金利水準はもとより、
税率や減価償却方法などが異なる。
だから単純に純利益を合算しても、
異なる国で事業を営む企業の分析には適さない。
EBITDAの指標は、
国の違いによる影響が最小限になる。
セブン&アイは上期のEBITDAは、
4683億円で前年比37.2%増。
これもいい成績だ。
EBITDAは、
Earnings Before Interest Taxes Depreciation Amortization。
その頭文字をとってEBITDA。
Earnings Before Interest Taxesは、
利払い前・税引前利益。
Depreciationは有形固定資産の減価償却費、
Amortizationは無形固定資産の減価償却費。
簡単に言えば、
〈営業利益+減価償却費〉だ。
セグメント別の実績は以下のパワポ。
スーパーストア事業は、
営業収益7150億円で前期比79.3%。
つまり20.7%のマイナス。
1861億円の減収。
営業利益は42億円で前期比39.0%、
61.0%のマイナス。
イトーヨーカ堂、ヨークベニマル、ヨークの合算。
伊藤雅俊さんは、
悲しんでいらっしゃることだろう。
イオン㈱の吉田昭夫社長は、
「マルチ・フォーマット」を強調した。
セブン&アイは、
コンビニエンスストアの一本足打法だ。
両者の最高益の中身は異なる。
月刊商人舎5月号の特別企画は、
セブンとイオン「逆転のダイナミズム」
私は書いた。
「この熾烈な競争は、それぞれに
異なる特徴を有することによって、
日本のチェーンストアの世界に
ダイナミズムを生み出す」
「異質性をもつ者同士の
コンペティションは、
同質で量的拡大一辺倒の
従来の競争を凌駕して、
それぞれにさらなる進化と深化を
求めるからである」
セブン&アイの記者会見を聞いてから、
商人舎10月号の最後の入稿。
夜食は定番の鍋焼きうどん。
午前零時前に責了した。
お疲れさん、
ありがとう。
〈結城義晴〉