結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年10月17日(月曜日)

クローガー/アルバートソン合併の「コロナは規模集中を早めた」

Everybody! Good Monday!
[2022vol㊷]

2022年第42週。
10月中旬に入って、
秋本番。

しかし秋の長雨。
「秋雨」(あきさめ)という。

東日本では初夏の梅雨よりも、
秋のほうが雨の季節である。

商人舎流通スーパーニュース。
クローガーnews|
米国2位食品スーパー「アルバートソン」を3.6兆円で買収
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ちょっと驚いた。

クローガーは、
米国スーパーマーケット1位。
チェーンストアランキング5位。

アルバートソンは、
スーパーマーケット2位で、
チェーンストア10位。
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その米国スーパーマーケットの、
1位と2位が合併で合意した。

クローガーの2022年1月期売上高は1379億ドル。
米国内35州に2726店を展開する。

アルバートソンは719億ドル、
34州に2276店を有する。

1990年代のアルバートソンは、
エクセレントカンパニーと呼ばれた。
しかし2000年代に入ると、
経営は悪化した。

その根本原因は合併にあった。

1998年、ウォルマートが、
スーパーマーケットの実験を始めた。
「ネイバーフッドマーケット」と名づけられた。
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1990年に米国一の小売業となったウォルマート。

創業時代からウォルマートはノンフード小売業で、
食品専業の業態を展開してはいなかった。
伝統のディスカウントストア「ウォルマート」、
最強のハイパーマーケット「スーパーセンター」。

しかし食品市場の大きさを知らぬはずはない。

そこでスーパーマーケット専業業態の実験に入った。

既存の食品産業は大騒ぎ。

第4位だったアルバートソンが、
第3位アメリカンストアーズを傘下に入れて、
2位に躍り出た。
第1位クローガーはフレッドメイヤーを合併した。
第2位のセーフウェイはなんと、
クローガーの買収を画策したが、
それに失敗して、ドミニクスを買った。

この相次ぐ合併によって、
チェーンストアとしてのマネジメント力が問われた。

アルバートソンの合併は失敗して、
経営が悪化していった。

2006年には卸売業のスーパーバリューに買収され、
企業分割されてしまった。

さらに2013年には、
投資会社サーベラスに売却された。

一方のクローガーは合併に成功して、
さらに繁栄していった。

セーフウェイは停滞した。

その後、2015年1月、
サーベラスはセーフウェイを傘下に入れた。
当時はそのセーフウェイが2位のチェーンだった。
社名はアルバートソンとなった。

そのアルバートソンが今、
クローガーと合併しようとしている。

今回の合併で両者を単純計算すれば、
売上高2097億7500万ドル、
店舗数は合計5002店となる。
1ドル100円で換算して20兆9775億円。
150円で換算すれば31兆円を超える。

重複エリアの店舗は売却されたりするから、
それらを除くと4996店舗。
20221017_kroger

チェーンストア1位はウォルマート、
2位はアマゾン・コム。
3位コストコホールセール、
4位ホームデポだが、
クローガーは3位に躍り出る。

クローガー、セーフウェイ、アルバートソン、
その連合軍となって、
ウォルマートとアマゾンに対抗する。

世界最大のウォルマートの米国部門は、
売上高3932億ドルで、米国内店舗数5342店。
全世界のウォルマート合計は5678億ドル、
サムズクラブが736億ドル、
国際部門が1010億ドル。
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業態の概念で考えると、
独禁法に抵触するかもしれない。
だから米国連邦取引委員会(FTC)が調査して、
買収の承認が下りない可能性もある。

しかし食品販売企業として見れば、
上位にウォルマートがいるので、
独占禁止法には引っかからないかもしれない。

米国スーパーマーケット業態は、
現在、「複占」の状態にある。

クローガーとアルバートソン。
その両者が合併すると、
年商2098億ドルの圧倒的なトップである。

2位はロイヤル・アホールド・デレーズUSA。
オランダの国際企業の米国事業は年商537億ドル。

3位はパブリックスで、
リージョナルチェーンながら480億ドル。

つまり業態の「複占」による拮抗が大きく崩れる。

しかし業態の枠を超えた食品小売業で見れば、
ウォルマートが米国内シェア18%、
新生クローガーが13%。

そして3位のコストコが、
1404億ドルで9%。

クローガー/アルバートソンの2000億ドルは、
日本のスーパーマーケット全体の規模に匹敵する。

コロナは米国食品小売産業において、
規模の集中を早めたか。

合併の繰り返しで、
巨大な企業が出来上がった。

高いマネジメントレベルと、
チェーンオペレーションによって、
規模の威力が発揮され、
「成長」につながればいいけれど、
単なる「膨張」であってはならない。

故田島義博学習院大学院長の言葉。
「規模が大きくなるほど、
経営は難しくなる」

では、みなさん、今週も、
高いマネジメントレベルを目指そう。

Good Monday!

〈結城義晴〉


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