ロピア米国研修2日目の「アメリカ小売業のコロナ後の活力」
3年ぶりのアメリカ、2日目の朝。
まさに「霧のサンフランシスコ」
朝7時半、第1回セミナーを開始した。
初めにロピアのビジョンと七大用語の斉唱。
福森健志さんがリード。
アメリカは初めてというメンバーも多い。
わかりやすく、丁寧に講義する。
アメリカという国のこと、
アメリカ人の生活のこと、
COVID-19のなかで変化したこと。
そしてチェーンストアのこと、
スーパーマーケットのこと、
彼らがどう変わったかということ。
現地講義は3年のブランクがあるが、
それは全く支障にならなかった。
次から次へと、
湧き出るように講義した。
この地で話をしたかった。
それが実現した喜びが湧いた。
90分の講義のあと、
朝いちばんに向かったのは、
バークレーボウル。
たった2店舗のスーパーマーケットながら、
全米から注目を浴びている。
今回はその1号店と2号店に分散して視察。
私は2号店へ。
店舗棟とイートイン棟の間には、
お買い得の果物や野菜が並ぶ。
バークレーボウルは世界一の青果部門をもつ。
だから店頭では、
その青果のプロモーションを展開する。
入り口を入ると、デリの売場。
対面デリコーナーには、
スイーツもある。
対面デリを通り抜けた店の右奥には、
ナッツや粉物などのバルク売場。
量り売りのコーナーだ。
そして店舗全体の3割を稼ぐ青果部門。
その導入部に80坪ほどのオーガニックの売場。
通常商品と仕切られて、
交じり合わないようになっている。
オーガニック売場と非オーガニック売場は、
混在させてはいけない。
売場全体でそれを分けているのは、
このサンフランのバークレーボウルと、
NYのフェアウェイマーケット本店だけだ。
バークレーボウルの、
通常商品の青果売場。
世界中から商品を調達している。
この平台の島には、
バナナだけが品揃えされているが、
こんなに品種があるのかと、
驚かされる。
パイナップルもオレンジもリンゴも、
葉物もマッシュルームも根菜も、
圧倒的な多品種多品目多SKU。
バークレー市以外からも、
サンフランシスコベイエリア全域から、
顧客が押し寄せる。
内食需要だけでなく、
サンフランシスコ全域のレストランシェフも、
このバークレーボウルを、
原材料の調達先にしている。
シーフード売場とミート売場は対面販売が中心。
鮮魚売場では刺身も扱っている。
アメリカでは、
生食できる鮮度の魚を売る小売店は、
ほかにない。
日系のグレン・ヤスダさんが創業した店だからだ。
デリと隣接しているチーズ売場。
ロピアのメンバーと交流しながら、
バスを待つ。
次に向かったのは北東のバカビル。
1時間以上のバスの中で、
講義の続きを展開する。
ウィンコフーズ。
店内に入るとまず両サイドに、
特売商品のラック陳列。
「ウォール・オブ・バリュー」と呼ばれる。
壁を抜けると広い青果部門。
そのバナナ売場。
品種を絞って箱やクレートのまま陳列する。
バレンタイン向けのプロモーション。
チョコレートだけでなく、
ぬいぐるみや小物もあって、
長い長い陳列線。
スケルトンの天井に、
広大な店内と広い通路。
ディスカウント型のスーパーマーケット。
「スーパーウェアハウスストア」という。
ナゲットマーケット。
ファンタスティックな店内。
ピカピカの床。
床は夜間に機械で毎日磨き上げるとともに、
営業中は専任のスタッフが清掃している。
息を吞むようなプロデュースの陳列。
ナゲットも健在だ。
コロナ禍以前よりも、
客数が増えて、大繁盛。
青果売場の右サイドは、
デリカテッセンの売場。
ヤオコーが言うところの「ダブルコンコース」。
店内の真ん中にあるのが、
これも美しいフローズン売場。
ナゲットマーケットの強みや良さ、
店長として大事にしていることを、
誇りをもって語ってくれた。
Q&Aも行われ、メンバーからは、
グッドクエスチョンが続いた。
ジョン店長の話は1時間ほど続いた。
ホスピタリティあふれる対応に、
心から感謝。
コロナを経ても、
そのホスピタリティは、
変わらなかった。
店長を囲んで、全員で記念撮影。
ナゲットの店の美しさ、清潔さは、
コロナ禍でも安心感を提供し、
顧客たちから大きな評価を得た。
クレンリネスは集客の武器になる。
それがコロナによって明らかになった。
そして、
スプラウツ・ファーマーズ・マーケット。
オーガニック・スーパーマーケット。
青果部門は店の一番奥に配置する。
店舗中央に核部門がデンと座る。
レジとの間にはバルク売場。
粉もの、ナッツ類、ドライフルーツ、
チョコレートやキャンディなどの菓子。
バルクで売れるアイテムは、
何でも品揃えしている。
顧客は必要な量を計って買う。
しかも人手が省かれているから安い。
SDGsにも沿った部門だ。
壁面にはデリカテッセンやミート、
加工食品、H&BC商品などが展開される。
これらは脇役部門である。
スプラウツは若干、客数が減った。
今年度の売上げは前年比でマイナス5.7%。
コストコ・ホールセール。
今夜の調理大会の食材を購入する目的もある。
入口右手はプロモーションコーナー。
左手は家電売場。
そのなかでも飛びきりやすいのが、
このテレビ。
店舗奥は食品ゾーン。
「FRESH PRODUCE」は保冷庫売場。
大きな冷蔵の部屋に、
野菜が陳列されている。
生鮮食品以外は、
基本的にパレット陳列。
シーズンの切り替え時ともあって、
センターのシーゾナル売場には、
大量の衣料品とインテリア家具が、
これでもかと積み上げられている。
この広大な非定番売場は、
売り切れ御免である。
コストコの強みでもある。
バカビルエリアで、
ポジショニングを確立した店舗群を視察したあと、
専用バスでダウンタウンに向かう。
冬の日が落ちるのは早い。
ベイブリッジを渡るころには、
夕日がダウンタウンのビル群を照らしている。
2日目の最後は、
トレーダー・ジョー。
夕刻とあって、バナナは売り切れ。
1本19セントの売り方の方。
トレーダー・ジョーで
調理大会の食材購入を済ませ、
バスの到着を待つ。
商業施設もすっかり陽が暮れた。
ホテルに戻ると、
すぐに調理コンテストのための準備。
朝の講義室が調理大会の会場となる。
グループごとにキッチン付きの部屋で、
1時間ほど必死の調理作業。
そして午後7時半には、
料理を携えて三々五々、
セミナールームに集まってくる。
調理器具の不具合もあって、
品数が限られてしまった班もあった。
班ごとにメニューのテーマやコンセプト、
食材は何を使ったかなどを、
プレゼンテーションする。
プレゼン力も審査の対象になる。
それを商人ねっとの二人が、
写真と動画で撮影する。
後日、その模様を社内に配信する。
商人ねっとは今、ロピアの子会社だ。
おめでとう。
内容はこのロピア米国研修が、
全部終わってから報告しよう。
2日目も長い一日だった。
少し疲れが出た。
これもブランクの所為だろうか。
それでもアメリカの消費者たちは、
コロナを克服したと感じた。
マスクに関しても、
それをする人もいるし、
しない人もいる。
個人に委ねられている。
店は私たちを歓迎してくれた。
拒否されることはなかった。
もちろん私たちは万全の態勢を敷いて、
礼を尽くして店舗を訪れた。
そして真摯に学んだ。
疲れは出たが、
アメリカ小売業から、
大きな活力を貰った。
ありがとう。
(つづきます)
〈結城義晴〉