幾時代かがありまして/店にともし火つけました
Everybody! Good Monday!
[2023vol⑧]
2023年第8週。
2月第4週。
一月、往ぬる。
二月、逃げる。
2月は速い、短い。
そして今週金曜日の2月24日。
ロシアのウクライナ侵攻から1年。
現地の人たちには、
長い1年だったに違いない。
ブチャの虐殺は忘れてはいけない。
マリウポリ製鉄所の死闘も,
ヘルソンの奪回も。
2月12日の日経新聞。
「詩探しの旅」
詩人の四元康祐さんが書く。
「ゆがんだ想像力」
「昨年2月、ロシアが
ウクライナに侵攻したとき、
まっさきに思ったのは
ロシアの詩人たちだった」
その一人が、
マリア・ステパノヴァさん。
「ある詩祭で一度会っただけだが、
威風堂々という言葉が似合いそうな
知性と教養の持ち主だった」
「あのマリアなら、
抗議の声を上げずにはいられないだろう。
誰よりもシャープでパワフルな言葉で」
「だがその代償は生やさしいものではあるまい」
4月、四元さんは恐る恐る彼女の名前を
ネットで検索した。
すると有名な映画俳優の動画が飛びこんできた。
見出しは、
「ジェレミー・アイアンズ、
マリア・ステパノヴァの
『プーチンの想像の産物としての戦争』
を朗読する」
「いま抵抗すべきは、
ひとりの男の
歪(ゆが)んだ想像力の支配に対してだ。
それは私たちを内側から捕らえ、
私たちの夢や日常や未来を、
力づくで支配しようとする。
私たちはそれから自由にならねばならない。
この瞬間もウクライナでは
命懸けの戦いが続いている。
理性の独立を守る戦いが、
すべての家庭とすべての人の頭のなかで
繰り広げられているのだ。
そこでも、ここでも、
私たちは抵抗しなければならない」
「老俳優の口から聴こえてきたのは、
紛れもない、マリアの言葉だった」
ロシアの詩人も闘っている。
ひとりの男の歪んだ想像力の支配に対して。
私たちも共闘しなければならない。
たったひとりの男の歪んだ想像力と。
やっかいなのは世界を見渡すと、
そんな男が一人ではないことだ。
民主主義国のほうが少ないという、
2023年の世界の現状と、
私たちは闘わねばならない。
ヨーロッパが生み出したデモクラシーと、
それ以外の地域の価値観とを、
それこそトレードオンしながら。
幾時代かがありまして
茶色い戦争ありました
幾時代かがありまして
冬は疾風吹きました(中原中也)
それでもともし火つけました
店にともし火つけました
二十四節気の雨水は、
農耕を始める季節だ。
今、ウクライナとロシアに、
「光の春」が訪れるときでもある。
今週は木曜日が天皇誕生日の祝日である。
そして来週金曜日は桃の節句。
店も売場も春に向かって、
華やいでくる。
その店と売場に、
明るい光を灯したい。
ちいさな喜び、
ささやかな幸せ、
明日への希望。
それが私たちの仕事だ。
それが私たちの役目である。
では、みなさん、今週も、
売場に希望の灯を灯そう。
Good Monday!
〈結城義晴〉