セブン&アイの「一本足グループ戦略」と幹部・社員たちの「人心」
今日、「セルコレポート」が届いた。
私の連載タイトルは、
「艱難は商人を鍛える」
そしてこの第11回は、
「ブシコーのグラン・マガザン」
百貨店をつくったアリステッド・ブシコーの話。
「グラン・マガザン」はフランス語の百貨店。
ブシコーは1810年に、
ノルマンディーの帽子屋の息子として生まれた。
つまり地方の貧しい商人の子だった。
金はない。地位もない。学問もない。
この貧しい層に生まれたこと自体が、
ブシコーにとって「艱難」の始まりだった――。
楽しんでください。
さて今日は午後3時に来客。
商業界時代の部下の一人。
独立して仕事をしている。
凄いバイタリティ。
自分らしい仕事のやり方を、
確立し始めた。
艱難を無条件に認めたくはないが、
艱難は人を鍛える。
彼も「艱難」に鍛えられた。
そしてそれを乗り切った。
私はとてもうれしかった。
そのあと午後4時から、
オンライン記者会見。
㈱セブン&アイ・ホールディングス。
とはいっても、これが、
電話会見。
パソコンを繋いで、
webで画像を見せてくれるが、
音声は電話回線を使う。
画像もパワーポイントで、
動かない。
いつもはっきり言っているけれど、
ちょっと遅れてはいないだろうか。
タイトルは、
「グループ戦略に関する説明会」
セブン&アイはコングロマーチャントだ。
いや、だった。
伊藤雅俊さんや鈴木敏文さんをはじめ、
多くの人たちが誇りをもって、
それをつくりあげた。
コンビニをはじめ、
総合スーパー、スーパーマーケット、
百貨店、フードサービス。
しかし時代とともにそれが低収益企業となった。
「物言う株主」から何とかせよと言われていた。
柳井正さんもかつて私に、
セブン-イレブンに集中すれば、
世界的な企業になれる、と言った。
柳井さんの言う意味は、
世界のトップ企業である。
しかし現在のセブン&アイは、
どう見てもアクティビストの方しか、
見ていないような印象だ。
だから「グループ戦略」を検討し、発表した。
井阪隆一社長の発言。
「食を中心とした世界トップクラスの
リテールグループを目指す」
これは柳井さんの言うことと似ている。
しかし声の大きな人たちの顔色を見ながら、
考え、言っている。
今回の構想の中心は、
イトーヨーカ堂である。
店舗出店エリアを首都圏に絞る。
だから北海道、東北、中部、関西の店舗を、
閉鎖する。
もうこの市場で情報が巡っている。
首都圏のヨーカ堂は自主MDのアパレルを止める。
そしてヨークと併合する。
イトーヨーカ堂の店舗数は、
2016年の段階で182店舗だった。
それが今、126店となった。
それをさらに減らす。
売上高も1兆円をかろうじて死守していた。
それもどんどん減る。
昨22年2月期は2年連続赤字だった。
この仕事は伊藤順朗さんが、
代表取締役専務となって担うことになる。
そのコンビニも国内は飽和状態だ。
だから100坪から150坪の大型店を開発する。
これこそ至難の業ではある。
もちろんそごう・西武は売却される。
さて、このセブン&アイの改革。
考えた通りになるか。
一番大事なのは、
人心であると思う。
経営を担う幹部たち、
そして現場で働く社員たち。
彼らが「やるぞ」と思うか否か。
撤退こそもっとも難しい戦術である。
セブン&アイのグループ戦略の成否は、
この「人心」にかかっている。
〈結城義晴〉
2 件のコメント
ブログを読んでいて寂しくなりました。
自分は、
鈴木会長全盛期のころ、
SEJにお世話になったものです。
あの頃、
学んだ、
仮説検証、単品管理、常識を疑え。ゴールから逆算して考える。
キミの担当店が無くなっても、
近所の人は困らない。
近所に住む人が困るような仕事をしなさい。との言葉は、
今も、
胸に突き刺さっております。
おかげで、
今も、楽しく、仕事をさせて頂くことが出来ております。
古巣には、
元気であってほしいです。
小売りラブ♪ さま
ご投稿、ありがとうございます。
私も淋しい限りです。
ずっとイトーヨーカ堂やセブン-イレブンを見てきました。
何ごとにも徹底する。
それが社風でした。
残念ながら今、
それがありません。
イトーヨーカ堂に関しては、
本当に寂しい限りです。