憲法記念日の「いのちをふたつもちしものなし」
憲法記念日。
昼過ぎに商人舎オフィスに出て、
原稿執筆。
休日に一人、
商人舎のデスクに向かって、
大型モニターで書く。
スピードが上がる。
家の自室で書くときには、
ノートパソコンだから、
画面は小さい。
だから静かなオフィスで書くのは好きだ。
3時ごろに山本恭広編集長が、
突然、やって来た。
山本編集長はもう、
自分の原稿を書き終わっているが、
6月の第20回ミドルマネジメント研修会の、
準備のために休日出勤してきた。
商人舎ミドルマネジメント研修会で、
講師デビューする。
ご期待いただきたい。
もちろん商業界時代に、
編集長として教育事業担当取締役として、
講演や講義は限りなく経験している。
まったく心配していない。
第20回ミドルマネジメント研修会。
まだまだ募集中。
すでに申し込みは殺到しています。
どうぞ、研修を受けてみてください。
派遣してください。
さて76回目の憲法記念日。
歴史上の憲法は多い。
古代ローマには十二表法があったし、
日本では聖徳太子の十七条憲法があった。
前者は紀元前460年ごろ、
後者は604年の制定だ。
反対に成文憲法がない国もある。
イギリスである。
United Kingdom of Great Britain。
ひとつの憲法がない代わりに、
三つの歴史的な決め事がある。
1215年のマグナ・カルタ(大憲章)、
1628年の「権利の請願」、
1689年の「権利の章典」である。
しかし現在も機能している憲法として、
最も古いのはアメリカ合衆国憲法だ。
1789年の制定である。
このあと世界中で、
約860の成文憲法が制定された。
問題の我が国の憲法。
1946年に11月3日に公布され、
翌年5月3日に施行された。1
昨年の文化の日のブログで書いた。
日本国憲法の前文。
中学だったか高校だったか、
暗記した。
「日本国民は、恒久の平和を念願し、
人間相互の関係を支配する
崇高な理想を深く自覚するのであって、
平和を愛する諸国民の
公正と信義を信頼して、
われらの安全と生存を
保持しようと決意した」
「われらは平和を維持し、
専制と隷従、圧迫と偏狭を
地上から永遠に除去しようと努めている
国際社会において、
名誉ある地位を占めたいと思う」
「われらは全世界の国民が、
ひとしく恐怖と欠乏から免れ、
平和の内に生存する権利を
有することを確認する」
先生は名文だと言ったけれど、
英語の関係代名詞以下をほぼ直訳している。
だから日本語として見れば悪文だ。
私流に改訂すると、
「日本国民は、
恒久の平和を念願する。
人間相互の関係を支配する、
崇高な理想を深く自覚する」
「国際社会の諸国民は、
平和を愛するものである。
私たちは、
その公正と信義を信頼する」
「したがって私たちは、
私たち自身の安全と生存を、
私たち自身で保持しようと
決意するものである」
「国際社会は平和を維持し、
専制と隷従、圧迫と偏狭を
永遠に地上から除去しようと努めている。
私たちはその国際社会において、
名誉ある地位を占めたいと思う」
「私たちは全世界の国民が、
ひとしく恐怖と欠乏から免れ、
平和の内に生存する権利を有することを
確認する」
さらに、重要なのは、
日本国憲法の「第2章 戦争の放棄」である。
その「第9条」が議論の対象となっている。
「日本国民は、
正義と秩序を基調とする
国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と、
武力による威嚇又は武力の行使は、
国際紛争を解決する手段としては、
永久にこれを放棄する」
「前項の目的を達成するため、
陸海空軍その他の戦力は
これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない」
ここで国際政治学者の篠田英朗さん。
『はじめての憲法』
良い本です。
読んでみてください。
この本のなかで、
第九条に以下の文面を加えて、
その部分の改憲をすればいい、と主張する。
「前二項の規定は、
本条の目的にそった
軍隊を含む組織の活動を禁止しない」
私も篠田さんに賛成するものだ。
「戦争の放棄」は「原理」ではない。
それを原理のように主張する人たちがいる。
しかし戦争の放棄は「目的」である。
「軍隊を含む組織の活動を禁止しない」
これを第三項に加えるだけで、
「自衛隊」という組織が正当化されて、
憲法に記される。
私の訂正した前文とも一致する。
超党派で検討してくれないかなぁ。
さて北海道新聞の巻頭コラム「卓上四季」
「憲法の水脈」
ウクライナ、スーダン。
世界各地の戦火はなくならない。
土岐善麿(ぜんまろ)の歌。
明治から昭和の歌人。
遺棄死体
数百といひ数千といふ
いのちをふたつ
もちしものなし
日中戦争と太平洋戦争の戦没者は、
軍民合わせて310万人。
二つとない<いのち>を大切に。
この願いが日本国憲法へ実を結んだ。
だから日本の憲法は、
平和主義の理念が主軸となっている。
この理念は時代や国を越えて、
人類が受け継いだ理想の到達点だった。
ルソーやカントが目指した永久平和、
植木枝盛(えもり)や中江兆民らの自由民権思想、
1928年のパリ不戦条約などが源流にある。
平和という理念と、
戦争の放棄という手段。
頭と心の整理をして、
ゴールデンウィークを生きたい。
「いのちをふたつ
もちしものなし」
〈結城義晴〉