流通問題研究協会総会後の記念講演の「トレード・オン」
5月最後の日。
芝増上寺。
そして東京タワー。
その前に建つ機械振興会館。
6回の607号室。
一般社団法人流通問題研究協会。
略称IDR。
1966年に発足した公益法人。
当時の管轄は通商産業省。
現在は経済産業省管轄。
林周二著『流通革命』の発刊が1962年。
この本のインパクトは大きかった。
日本商店連盟と日本専門店連合会が中心となって、
流通革命の研究をするために、
この協会は発足した。
初代会長は深見義一一橋大学名誉教授だった。
現在は玉生弘昌会長。
㈱プラネット会長。
その定時総会後の記念講演会。
司会は橋本佳往専務理事。
記念講演の講師は結城義晴。
テーマは、
「’23両利きトレード・オン」
1時間半をいただいたので、
持論を全面展開した。
この協会の研究会では、
何度も講演しているテーマ。
副会長の皆さんをはじめ、
錚々たる人々がご聴講くださるので、
あらためてこの3年間に見てきたこと、
考えてきたことを話すことにした。
ご清聴を感謝したい。
講演会が終わると懇親会。
玉生さんは総会ではもちろん、
講演会の冒頭でもスピーチし、
今日、三度目の挨拶。
それでも玉生さんの話すことは、
機知に富んでいていつも面白い。
乾杯の挨拶と音頭は、
岩田彰一郎さん。
アスクル㈱創業者で前社長。
現在は㈱フォース・マーケティングアンドマネージメントCEO。
スタートアップ企業の応援と、
大企業のイノベーション力の強化を支援する。
月刊商人舎には、
2019年7月号で登場していただいた。
玉生さんとの特別対談。
「明日来る」のイノベーションとは何か
今、読んでもいい対談だった。
その節は、
ありがとうございました。
今日の私の講演は、
ウォルマートやクローガーの報告が中心で、
巨大チェーンがマーケットのすべてを、
制圧してしまうような印象を与えたかもしれない。
しかしそれはすべてではない。
米国にも、
トレーダー・ジョーのような存在もある。
ナゲットマーケットのような小さな企業もある。
全体として大きな森のようなものが、
小売流通業やサービス業の在り方だと思う。
その意味でもトレード・オンである。
その後は懇親。
フューチャー㈱の深谷紀子さん。
私のブログを愛読してくれている。
玉生さんも岩田さんもライオン出身だ。
東京タワー通りというが、
そこを下ってくると、
私が30年通った建物がある。
商業界会館。
取り壊されていた。
確かに寂しいものがある。
けれどなぜかすっきりした気分もあった。
商業界創業者の故倉本長治主幹は、
日本商店連盟と日本専門店連合会などに、
深くかかわった。
設立の首謀者だった。
そして流通革命と中小商店が、
両立する世界を思い描いていた。
トレード・オフではなく、
トレード・オンであった。
私はその遺志を受け継ぐ決意だ。
改めてそう思った。
〈結城義晴〉