第20回ミドルマネジメント研修会の「Integrity=真っ正直」
商人舎ミドルマネジメント研修会。
第20回目となった。
毎年、初夏と秋に2回開催してきた。
コロナ禍の2020年の2回と、
2021年初夏に中止した。
結局、3回中止しただけで終わって、
すぐに再開することができた。
これまで1500人以上の知識商人を送り出した。
それが何より嬉しい。
商人舎のミドルマネジメント研修は、
幹部向けだという評価がある。
私はミドルマネジメントは、
もうすでに幹部であると考えている。
野球に喩えると、
良いノッカーであるだけでは、
ミドルマネジメントとしては足りない。
つまり上手なノックをする人ではなく、
監督であり、コーチであり、
キャプテンであるような人財。
それがナレッジ・ミドルマネジメントである。
熱海駅に着くと、
野村伊吹さんが待っていてくれた。
その熱海駅。
歓迎の立て看板。
商人舎事務局の記念写真。
準備万端整って、
13時に研修会開始。
初めの2講座は結城義晴が担当する。
第1講義は「コロナは時間を早めた」
本論に入る前の「序」の講義は、
最新の考え方を提示する。
2021年に、
『コロナは時間を早める。』を発刊した。
その著書で提案した仮説に対して、
その後の現象を検証しつつ、
大きな潮流の変化を語る。
ウォルマートの決断、
コロナ禍とDXの進化、
経営統合や業界地殻変動、
ネットスーパーの加速、
ライフスタイルとMDの変化、
SDGsの普及などなど。
そのうえで、
ポストコロナ時代に臨む姿勢と、
心の在り方を説いた。
第2講義からがいよいよ本論。
商業の現代化と基幹産業化。
そのための知識商人の役割。
2008年の商人舎発足の会で、
多くのトップマネジメントに、
3時間の講義をした。
その内容はミドルマネジメントに、
伝え続けたい。
それがこの第2講義の趣旨だ。
倉本長治の商売十訓と、
ピーター・ドラッカーが重視した3つの概念。
立教大学大学院でも、
コーネル大学RMPジャパンでも、
一番最初にする講義だ。
さらに商業の近代化の歴史。
賢者は歴史に学ぶ。
生物学者の福岡伸一さんは言う。
「これから科学を学ぼうと思っている人に、
おすすめの方法がある」
「それは科学のかわりに
科学史を勉強すればよいのだ」
そう、流通業を学ぶ人、
小売業を学ぶ人は、
小売流通業史を勉強するのがいい。
1673年の三井高利の越後屋の哲学から、
1844年のロッチデール組合の理念、
1852年の百貨店「ボン・マルシェ」誕生、
1930年のマイケル・カレンの第一次革命。
1945年のサム・ウォルトンの創業と、
1962年のウォルマートの出発、
そして1980年代の第二次革命、
さらにスーパーセンターの登場まで、
一気呵成に商業史を語る。
最後は、結城義晴からの提案。
「真っ正直商法」。
上田惇生先生は、
ドラッカーの「Integrity」を「真摯さ」と訳した。
歴史に残る名訳だと思う。
それを十分承知しつつ、
私はあえて「honesty」を超えるものこそ、
「Integrity」であると考えて、
「真っ正直」とした。
それを2月ゼミのメインテーマに据えた。
商業界の社長時代のことだ。
Integrityと、
MarketingとInnovation。
これが揃えば必ず成果が上がる。
15時半からは、
コーヒータイム。
コーヒーと菓子で、
疲れた頭を休めてもらう。
そして16時から20時までは
鈴木哲男講師が3講座を担当。
昨年、社名を㈱REAに変えた。
ご子息が社長になり、
鈴木先生は会長として講演活動を行っている。
52週MDとプロモーション、
そしてストアコンパリゾンの講義。
最新の実例と豊富な経験則。
現場から発想した、
現場を変えるための実務講義。
それが52週MDの本質である。
鈴木先生は理論だけでなく、
実践に活かすために、
具体的な手法を講義する。
これは受講生にとって、
すぐに役立つ情報になる。
しっかり食べて、温泉に浸かって、
体を休めて、明日の講義に向かう。
私は鈴木先生と食事しながら、
情報交換。
最後に恒例の自習室の風景。
9時過ぎには10人ほどが集まっていた。
明日は8時15分から理解度テストがある。
そのために、今日学んだことを各自が復習する。
もちろん各自、自分の部屋で、
頑張っている。
ミドルマネジメント研修会初日。
派遣してくださった企業の皆さん、
受講生たちは、頑張っていますよ。
佐藤一斉の「言志四録」
少(わ)かくして学べば、
すなわち
壮にして為すこと有り、
壮にして学べば、
すなわち
老いて衰えず、
老いて学べば、
すなわち
死して朽ちず。
(つづきます)
〈結城義晴〉