岡田卓也・鈴木敏文[このひとのこのひと言]と両者の四半期決算
久しぶりに商人舎オフィスに出社。
1週間、忙しく出歩いた。
目次。
巻頭には[このひとのこのひと言]2題。
岡田卓也氏旭日大綬章「お祝いの会」の言葉。
その言葉に対する[結城義晴の述懐]
――「旭日大綬章は私がいただいたものではなく、我が国の小売業全体がいただいたもの」。岡田卓也さんにとって、そのことが嬉しいのだと思う。士農工商と闘い続けた。「小売業は雑魚だ」と言われた瞬間を思い出すと、いまでも拳を握り締める。怒りがこみあげてくる。闘争心が湧いてくる。それが小売業近代化に挑み、産業化への道を開き、平和産業・地域産業・人間産業という、類稀なコンセプトを生み出す原動力となった。「最も強い者が、人間を打ち倒す軍人になった。次に強い者が、自然と闘い、農作物を生産する農民となった。三番目に強い者が、道具を使ってモノをつくる工の民となった。そして一番体の弱い者が、商人となった」。結城義晴の士農工商の定義だ。しかし岡田卓也さんは強い者でありながら商の民となった。そして商の代表として闘い続けた。傑出したリーダーにふさわしい栄誉である。
もうひとつの[このひとのこのひと言]
「伊藤雅俊お別れの会」の鈴木敏文氏の弔辞。
その[結城義晴の述懐]
――前セブン&アイ・ホールディングス会長の鈴木敏文さんは、いつも本音で語る経営者だ。その本音が伊藤雅俊さんの弔辞に表れている。「歴史に残る弔辞」だと思う。お客さまを第一にした誠実な商売、公私のけじめ、信頼と誠実。これこそがイトーヨーカ堂とセブン&アイの社風である。それを鈴木さんは初めに語った。大げさなふるまいを好まず、世の耳目を集める派手な主張もしない。これこそ伊藤イズムだ。そしてメモ魔。「対照的な経営者」と評されつつも、経営の本質においては深く共鳴し合っていた。「量の拡大を目指すのではなく、質を高めていけば量は後からついてくる」。至言である。伊藤さんの適宜のブレーキと全体を見据えたさまざまな気遣い。鈴木さんの厳しさを前面に押し出したリーダーシップ。これがセブン&アイの奇跡をもたらした。「そのような意味で、私は伊藤さんの大きな掌の上で踊っていたのでしょう」。謙虚な本音がここでも見えた。この弔辞にセブン&アイの真髄がある。残された人たちは、ここから出発すべきである。必ず成果は見えてくる――。
急遽、編集して掲載した企画だが、
お陰様でとてもよかった。
そのセブン&アイとイオン。
商人舎流通スーパーニュース 。
第1四半期決算が発表されている。
セブン&アイnews|
第1Q営収2兆6506億円8.3%増・経常819億円22.8%減
セブン&アイ・ホールディングス㈱は、
株主総会を切り抜けて、
一息ついている。
しかし2024年2月期第1四半期決算は、
営業収益2兆6507億、前年増減率8.3%増。
好調だ。
だたし営業利益820億円、19.9%減。
経常利益737億円、22.8%減。
営業利益率は3.1%で、
前年の4.2%から1.1ポイント減じた。
経常利益率も2.8%で1.1ポイント減。
海外コンビニエンスストア事業が低調だった。
営業収益1兆9007億円で10.3%増だったが、
営業利益は全体で210億円で52.3%減。
前年はガソリン収益が歴史的な高水準だったが、
その反動が大きくなった。
それがセブン&アイ全体の減益の理由だ。
スーパーストア事業の営業収益は、
3602億円(1.2%増)、
営業利益は33億円で、5.8%減。
イトーヨーカ堂は1億6300万円の営業損失。
(前年同期は7億7000万円の営業利益)となった。
ヨークベニマルの営業利益は、
45億8100万円で2.7%増。
一方、
イオンnews|
第1Q営業収益2.3兆円/収益・利益とも過去最高更新
営業収益2兆3248億円、前年同期比5.5%増。
営業利益515億円、前年同期より76億円増、
経常利益481億円、同37億円増。
第1四半期としては過去最高。
営業利益率は2.2%で0.4ポイント向上、
経常利益率2.1%で0.1ポイント改善。
事業内容は大きく異なっていくものの、
両社の営業収益も経常利益も、
接近してきた。
故人となった伊藤雅俊さんは、
どう見ているだろう。
〈結城義晴〉