万代カレッジ「オペレーションマネジメント」講義、深まる。
梅雨明け宣言はまだない。
けれど夏が進んでいく。
横浜も大阪も異常な暑さだ。
1階の大ホールに、
万代知識商人大学8期生が集合。
テーマは、
オペレーションマネジメントと、
サプライチェーンマネジメント。
オペレーションはサプライチェーンの締めくくりだ。
第1講義は結城義晴の概論。
まずはいつものように、
マネジメント体系。
ミッション・マネジメントから、
ストラテジック・マネジメント、
マーケティング・マネジメント、
ヒューマンリソース・マネジメント、
そしてフィナンシャル・マネジメントと、
オペレーションマネジメント。
ストラテジック・マネジメントでは、
良い戦略と悪い戦略について話した。
月刊商人舎2022年7月号[特別企画]
小売業「複合危機」の「戦略と戦術」
8期生は読み返して復習してほしい。
その7月号の[Message of July]
今、良い戦略を。
戦略が良ければ、
戦術の失敗は、
挽回できる。
良い戦略ならば、
戦術でミスを犯しても、
その間違いを取り戻すことができる。
しかし戦略が悪ければ、
まず戦術は失敗しやすい。
現場の努力は実りにくい。
さらに悪い戦略の場合、
ある戦術が成功したとしても、
それが成功すればするほど傷は深まる。
戦術が成功するほどに、
悪い戦略の深みにはまっていって、
戦略の悪さが表に出てこない。
その結果として、
悪い戦略が長きにわたり継続され、
組織は茹でガエル化して破滅に至る。
戦略が良ければ戦術の失敗は挽回できる。
戦略が悪ければ戦術の成功が逆に、
マネジメントの死をもたらす。
日本の太平洋戦争は、
悪い戦略の典型だった。
しかし最初の真珠湾攻撃が成功して、
悪い戦略はさらに突き進められた。
その結果、
原爆が落とされるほどの結果に至った。
大日本帝国は壊滅的な打撃を受けた。
真珠湾が失敗していれば、
あそこまで深みにはまることはなかった。
悪い戦略の良い戦術。
その例のひとつがパールハーバー攻撃だ。
商売でもこんな事例は多い。
和久さんのテーマは、
「改善のオペレーション」
三つのテーマに絞って、
成功事例と考え方を示した。
秀逸の講義だった。
第3講義は夏山由香シニアマネジャー。
万代巽北店のフラッグショップ店長。
店長として、
「オペレーションマネジメント」を、
どう考え、どう進めているか。
巽北店で今、進捗している。
その内容を披露してくれた。
実感溢れる講義だった。
夏山さんは住関バイヤーのときに、
万代カレッジを受講した。
そのときから目立っていたが、
いま旗艦店の店長として活躍する。
この企業内大学は、
社内講師がとてもいい。
社外講師は結城義晴だけだが。
その夏山さんの胸元にあるのが、
このネームプレート。
「私が店長です」
これを胸に付けるようになって、
顧客から気軽に声をかけられるようになった。
コミュニケーションが進んだ。
副店長もチーフも、
自分のネームプレートを付けている。
とくにエドワーズ・デミングと大野耐一。
小売業のオペレーションにも、
重要な示唆を与えてくれる。
それからLSPの概論。
万代はかつて、
村上忍さんから、
LSPを学んだ。
だから今も、「MH(マンアワー)」が、
日常業務の中に定着している。
それでもLSPの原理と導入手順は、
一応学んでおかねばならない。
1時間半の枠を超えて、
30分も押してしまった。
申し訳ない。
最後の講師は中筋浩二取締役。
ドライグロサリー・デイリー担当。
3カ年中期経営の戦略、
サプライチェーンの全体像と課題、
商品部の取り組みなどを、
詳細に話してくれた。
中筋さんは日本の商品開発において、
トップレベルの見識と経験をもつ。
改めて仕入れと調達の問題を議論したい。
そう思った。
講師のレクチャーが終わると、
6つのグループに分かれて
3つのテーマでディスカッション。
その間、
わたしは津田睦人事部マネジャーと情報交換。
和歌山県、奈良県などの、
スーパーマーケットの情勢を教えてくれた。
ディスカッションが終わると、
グループの代表が課題ごとに、
取り組み内容を発表した。
これらの発表に対して、
和久さんがそれぞれ丁寧にコメントする。
それが実に的確だ。
万代の店舗運営部は、
和久改革の真っ最中だ。
まとめは結城義晴。
KPIのことを少しだけ話した。
Key Performance Indicator。
「重要業績評価指標」と訳される。
人時売上高(MHS)をKPIに設定するとしても、
それは生産性が向上して、
業績が上がるということだけが、
重要なのではない。
MHSが上がったとしたら、
それは自分たちの技量が、
向上したことを意味する。
自分たちが成長したのだ。
それが全員の喜びになる。
このことを忘れてはならない。
そして貴重な一言、
「それをやった先に何があるんや!?」
リーダーはその「先」にあるものを、
示さねばならない。
店長もチーフも。
さすが阿部秀行!!!
今日も1日、
充実した講義だった。
企業内大学は、
企業の成長に応じて、
どんどん教育が深まっていく。
そしてその内容が濃くなる。
ありがとうございました。
〈結城義晴〉