国立環境研究所紅斑紫外線SITEと「過ぎたるは及ばざるがごとし」
先週火曜日の7月25日。
九州北部地方が最後に梅雨明けして、
全国的に2023年の梅雨が終わった。
毎日新聞の巻頭コラム「余禄」
「この時期、一年を通じて
最も強くなる紫外線は、
英語で紫を意味するvioletが
スミレとも訳されることから、
菫外線(きんがいせん)という別名を持つ」
紫外線は英語ではultravioletという。
略してUV。
UVカット商品など、
開発されている。
violetがスミレだから、
「菫」の「外」の線。
なかなかロマンティックな名称だが、
紫外線の方が定着した。
その紫外線の波長は、
10から400ナノメートル(nm)。
1ナノメートルは10億分の1メートル。
つまり100万分の1ミリメートル。
可視光線より短いが、
X線よりも長い。
その可視光線は 波長によって、
異なる色感覚をもつ。
紫が380~430ナノメートル、
青が430~490ナノメートル、
緑が490~550ナノメートル。
黄が550~590、橙が590~640、
赤が640~770ナノメートル。
この最も短い波長の可視光線より、
もっと短い波長の電磁波が、
「紫の外側」という意味で「紫外線」と名づけられた。
それが「菫外線」でもある。
私はスミレの方が好きだな。
その紫外線は20世紀前半、
健康効果があるとされた。
ロンドンなどちょっとでも陽が射すと、
女性も男性も水着になって日光浴をした。
近年は白内障への懸念や美白ブームで、
敬遠される傾向が強いけれど。
しかし人気なのが、
国立環境研究所の紅斑紫外線サイトだ。
気象データをもとにして、
日光浴の推奨時間を、
全国12地点ごとに提供している。
ほぼリアルタイム。
この5年間でアクセス数は倍増。
20代から40代の女性の9割が、
ビタミンD欠乏状態という調査もある。
コラムはシェークスピアで終わる。
「ベニスの商人」の台詞。
不満を漏らす裕福な女性に、
侍女が諭す。
「食べ過ぎても飢えても病気になる。
ほどほどの幸せほど、幸せなことはない」
「過ぎたるは及ばざるがごとし」
『論語』の「子曰、過猶不及」
孔子は中庸を説いた。
商売も同じ。
売れ過ぎてもよろしくはないし、
まったく売れないのも困る。
売れ過ぎると品切れを起こす。
売れないとロスが出る。
計画通りに売れるのがいいけれど、
ほどほどの売れ行きで、
少しずつ増えていくのが一番良い。
利益も同じだ。
利益が出過ぎるのも、
利益が出ないのも、
どちらも困ったことなのだ。
上げる数字、
下げる数字、
一定に保つ数字。
一定に保つとは、
「中庸」のことだ。
中庸は、
どちらにも偏らず中正なこと。
一定に保ちつつ、
少しずつ上げていく。
それがいい。
少しずつといっても、
ナノメートルレベルでは困るけれど。
1日中の原稿書きの合間に、
ふと、そんなことを思った。
〈結城義晴〉