「うそは、ばれます」と「ほんと」の雑誌「ぐ~す~月刊とくし丸」
8月2日目。
今夜は美しい満月。
「スタージェン・ムーン」
Sturgeon Moon。
チョウザメの月。
今年の8月はラッキーな月だ。
もう一回満月を見ることができる。
8月31日。
同じ月の二度目の満月を、
「ブルームーン」という。
しかもそれはスーパームーンだ。
今年一番大きな満月。
やはり8月はラッキーな月だ。
良いことがあるに違いない。
今日も1日、
単行本の原稿執筆と入稿。
章が一つ増えてしまった。
それから月刊商人舎の入稿。
今月号は私の執筆を最小限に抑えて、
山本恭広編集長と亀谷しづえGM、
そして編集スタッフの鈴木綾子が、
頑張ってくれている。
ありがたい。
朝日新聞「折々のことば」
昨日の第2808回。
「うそは、ばれます」
(俳句の師匠)
作家のくどうれいん。
「ありふれた料理や食材について書く時も、
ありきたりの描写にならないよう
心がけている」
以前、俳句の会でみんなに褒められた時、
師匠に呼ばれこう釘を刺されたから。
「頭のなかで作っただけの
きれいな言葉を書いていないか。
本当にあなたの手触りがあるのか」
と糾(ただ)されている思いがした。
頭の中でつくっただけの、
きれいそうな言葉。
ありきたりの描写。
俳句の師匠はそれらを「うそ」と表現する。
それは物書きとして、
駄目です。
商売の実務でも、
POPをつくるときも、
報告書を書くときも。
自分の手触りのある言葉。
それが「ほんと」。
「ほんと」がなければ駄目です。
原稿執筆のときは、もちろんのこと。
「うそは、ばれます」
さて、
住友達也さん。
とくし丸の創始者。
また新しいことを始めた。
雑誌の創刊だ。
その雑誌が送られてきた。
とくし丸の全国稼働台数は、
8月1日時点で1147台。
雑誌の見開きで、
そのスーパーマーケットが一覧できる。
北は北海道のダイイチから、
南は沖縄のりうぼうまで。
凄いラインナップ。
全国141社、2500店舗以上。
とくしまるは1000台を超えて、
その伸びは止まらない。
1台約150人の顧客がいる。
だからざっと17万人以上のお客さん。
3日もあれば全員と顔を合わせ会話できる。
そんなネットワークが確立された。
住友さんはずっと言っている。
「とくし丸はインフラでありメディアだ」
それも唯一無二のネットワーク。
このネットワークに向けて、
雑誌を創刊した。
凄い。
「ぐ~す~」は「偶数」のこと。
偶数月に隔月刊で発行する雑誌。
読者対象はとくし丸の顧客、
そしてとくし丸予備軍。
つまりスーパーマーケットに来店する、
高齢のお客さんたち。
デジタル化の時代に、
あえてアナログ雑誌で臨む。
それは読者対象が高齢者だから。
住友さんは言う。
「正直、雑誌が売れない時代です」
しかしそれは、
「置いておくだけでは」という条件がつく。
つまり本屋の棚に置いておくだけでは売れない。
新聞は毎日、自宅まで宅配してくれる。
販売店網を確立している。
だから激減したとはいえ読まれていた。
「ぐ〜す〜月刊とくし丸」は、
独自の販売網をもつ。
「今月、こんなのが出たよ」と、
毎回お届けできる。
「活字好き、雑誌好きの方々は、
年齢を問わず3〜4割はいます」
雑誌も同じ。
この雑誌は、
とくし丸提携スーパーマーケットのみの販売。
他では買えない。
その「ぐ~す~月刊とくし丸」には、
3つの「初」がある。
「初1」
80歳前後の高齢者を読者対象にしている。
「80歳前後の読者」を想定した雑誌は、
世界中見渡しても存在しない。
雑誌作りで重要なのは、
「ターゲットを限りなく絞り込む」こと。
つまりSTPマーケティング。
「ボンヤリしたターゲット設定だと、
結局は誰にも刺さらない誌面になりがちです」
「初2」
本文文字の大きさが、最大級である。
高齢者の方々でもとても読みやすい。
「おかげで誌面編集には、
おおいに苦労させられています」
わかる。
それでも各ページの袖には、
「つぶやき」とタイトルされた、
とくし丸関係者の言葉が入っている。
結構、細かい芸を見せている。
「初3」
とくし丸提携スーパーマーケットだけで販売する。
141社、店舗数2500、
とくし丸のバンを合わせると、
3600拠点。
書店でもコンビニでも買えない。
とくし丸ネットワークでしか買えない。
「たぶん出版業界では、
初の試みではないでしょうか」
住友達也さんは1981年、
23歳の時に徳島でタウン誌「あわわ」を創刊。
そして出版社を創業した。
そのキャリアと情熱が込められた雑誌。
「ぐ~す~月刊とくし丸」
うそのない、ほんとの雑誌です。
〈結城義晴〉