エマ・ワトソンの「if not me, who, if not now, when」
単行本の最後の仕上げ。
装丁や章ごとの扉のデザイン。
装丁といっても、
本の表紙やカバー、
それぞれの背文字など、
デザインする部分は多い。
それらに一つひとつ、
特別の意味を込めて、
デザイナーと話し合う。
印刷所の担当者とも、
紙の質や重さの打合せ。
著者自身で思いを伝える。
これまでの本の中では、
一番、凝ったものになる。
出来上がったら説明します。
著者自身で説明するのは、
乙なものではないけれど。
70歳の本。
今、私にできること。
朝日新聞「折々のことば」
第2824回。
if not me, who,
if not now, when.
(エマ・ワトソン)
イギリスの女優で活動家。
『ハリー・ポッター』の主演女優。
ハーマイオニー・グレンジャー役。
『美女と野獣』のベル役。
もう33歳だが、
2015年のタイム誌では、
「世界で最も影響力のある100人」に選出された。
エマ・ワトソンは国連の親善大使となって、
国連でスピーチした。
「ジェンダー平等への当然の要求が、
なぜ酷(ひど)い誹謗中傷に遭うのか」
そしてそれを語るのが自分でいいのか、
不安になるたび、呟(つぶや)いた。
「私にはできない?
じゃあ、誰がするの。
いまは無理?
じゃあ、いつするの」
詩人の白井明大(あけひろ)。
1970年生まれの山陰暮らし。
このエマの言葉を、
『日本の憲法 最初の話』の中で、
「普通の人間が闘うための言葉」と評した。
私にはできない、
じゃあ、誰がするの?
いつも、そう思って生きていきたい。
今は無理。
じゃあ、いつするの?
今、できると思うことをするだけでは、
足りない。
今、誰もやらないことをする。
それが私です。
ありがとう。
〈結城義晴〉