セルフサービスもガウディも「社会の境目」を乗りこえる。
本当に久しぶりに、
何もない土曜日。
朝もゆっくり寝た。
すると台風9号と10号が発生。
日本の国は台風列島でもある。
朝日新聞「折々のことば」
第2831回。
鷲田清一さん編著。
人間が作るものは
すべて境目がある。
それをガウディは
悲しく思ったんじゃないかな
と思うんですね。
〈外尾悦郎(そとお えつろう)〉
外尾は1953年、福岡生まれの彫刻家。
私より一つ年下。
県立福岡高校から、
京都市立芸術大学美術学部へ。
卒業してから1978年、
サグラダ・ファミリアの彫刻に加わる。
2013年からは主任彫刻家。
ガウディの設計図から、
教会の彫刻装飾を総監督している。
もう45年間も、
ガウディにかかわっていて、
世界一、ガウディを知っている。
その外尾。
「ガウディが最終的にめざしたのは
森羅万象の色のグラデーションだ」
「貧富の差をはじめ
人の生みだす社会の分断を、
自然の境目なき色の連続で
乗り越えようとしたのだ」
NHKテレビの番組、
「サグラダ・ファミリア2023」の中で語った。
私はいつも、どんなことでも、
商売や商業のことに結びつけて考えてしまう。
小売業やサービス業も、
貧富の差をはじめとして
人の生みだす社会の分断を、
乗り超えようとする。
ガウディはそれを、
(自然の境目なき色の連続)でやろうとした。
商業はそれを、
店や売場や商品で、
やろうとする。
売場も芸術だ。
どちらも素晴らしいことなのだ。
ああ、またバルセロナに行きたいな。
サグラダ・ファミリアと、
メルカドーナと、
イーペルと、
エッセルンガと、
イータリーに行きたいな。
貧富の差も、
人種の違いも、
老若男女も、
LGBTQも、
すべての差別も、
ガウディは乗りこえようとするし、
セルフサービスの商売も、
同じようにそれを乗りこえようとする。
だから尊いのだ。
〈結城義晴〉