大谷翔平の右肘手術とミドルマネジメント研修会の長い一日
大谷翔平が右肘の手術をした。
その意思決定、驚くほど早かった。
天才の天才たるゆえんは、
この意思決定のスピードにある。
善は急げ。
2018年に一度、
大谷はトミー・ジョン手術を受けて再起した。
そのときに執刀したのも、
ドクター・ニール・エラトラッシュ。
スーパードクターだ。
今回は新しい進化した術式を採用した。
だから大谷は来年春から、
バッティングで復帰することができるし、
再来年からは二刀流で完全復活する。
エラトラッシュのコメント。
「右肘の寿命をのばすために問題箇所を修復し、
生存可能な組織を追加しながら
健康な靭帯を強化するものとなった」
ドクター・エラトラッシュは58歳。
1970年代にフランク・ジョーブ博士の助手を務めた。
ジョーブ博士こそトミー・ジョン手術の開発者だ。
エラトラッシュは、
バスケットボールのコービー・ブライアントを、
アキレス腱手術によって蘇らせた。
フットボールのトム・ブレイディも。
エラトラッシュは、
ドジャースのチームドクターの地位を、
ジョーブ博士から引き継いで、
スポーツ医学の世界を革新させている。
大谷翔平の手術を、
エラトラッシュが行ったことは、
大いに幸運だった。
天才は幸運を呼び込むのだ。
さて、
商人舎ミドルマネジメント研修会2日目。
東京都江東区南砂町の研修ホテル。
2日目は、理解度テストから始まる。
会場では静かに直前の復習をする受講生の姿。
8時15分にテストがスタート。
結城義晴と鈴木哲男、
両講師の講義からの6問。
いずれも記述式。
私は受講生たちの様子を見て回る。
自分の言葉で理解したことを書いてもらう。
丸暗記は必要ない。
初めに理解度判定テストの解説。
テストが終わってすぐに、
大事な点を補足説明すれば、
理解は一層深まる。
講義は世界の小売業の位置づけから始める。
小売業は平和産業である。
石油やエネルギー産業が牛耳る世界では、
戦争が起こりやすい。
平和産業の中で重要なのが、
顧客満足と従業員満足の経営である。
この朝の講義では、
スーパーマーケットの戸籍の話をする。
ワンプライスショップとともに、
新たに日本標準産業分類に加えられる。
商業が基幹産業となり、
現代化していくために、
必要なことは何か。
それを語るのが朝の講義だ。
第2・第3講座は計数の講義。
このミドルマネジメント研修会の計数の講義は、
白部和孝先生が長い間、務めてくれた。
その内容を引き継いで山本編集長が講義する。
テーマはミドルマネジメントに必須の、
商品と人時コントロールの計数。
2時間はあっという間に過ぎていった。
昼食後の第4講義は、
井坂康志講師のドラッカー・マネジメント。
井坂講師はものつくり大学教養教育センター教授、
そしてドラッカー学会共同代表。
ドラッカーのマネジメントが、
ほかの経営学とどう違うのか、
ドラッカーが提唱した3つの原則と8つの目標。
マーケティングとイノベーションなど、
エッセンスを丁寧に語ってくれた。
そして恒例の質問タイム。
真っ先に手を挙げたのが、
㈱関西スーパーマーケットの太田志帆さん。
営業推進室販売促進チームシニアスタッフ。
日本流通産業㈱の杉本博司さん。
衣料品部衣料チームマネージャー。
ドラッカーが説いたインテグリティ。
その真摯さを体現しているような井坂さん。
講義終了後は受講生からの大きな拍手。
私の新著『チェーンストア』を差し上げて写真。
ありがとうございました。
その後は、結城義晴の長時間講義。
15時30分から19時50分までの長丁場。
初めに計数管理の補足説明と、
ミドルマネジメントが知っておくべき
経営数値の講義。
簿記、会計、財務の3つの概念と、
損益計算書と貸借対照表の説明。
さらにデュポン・モデルといわれるROAの解説。
コーヒータイムを挟んで、
マネジメントの講義。
悪い組織の兆候。
その悪い組織を生み出す原因は、
マネジメント理論の変遷にある。
マネジメントに関する理論は、
コペルニクス的転回を果たした。
これが理解されているか否かによって、
会社が成長するか、衰退するか、
その道が分かれる。
説明するには3時間はかかる。
だからこの講義は、
あちこちでやるわけにはいかない。
正解はドラッカーにあるし、
ヘンリー・ミンツバーグにある。
アンリ・ファヨールとピーター・ドラッカーを、
5つの要素で比較検討する。
最後の最後は、
ゴドフリー・レブハーの『チェーンストア』。
チェーンストアを学ぶには、
レブハーから始めよ。
長いながい講義は7時50分に終わった。
日本流通産業の酒井幸男さんが、
1日聴講してくれた。
人事総務部部長。
派遣を検討している人事部責任者の皆さん、
ぜひ、参加して聴講してみてください。
夕食のあとは全員が、
今日の長い講義を復習する。
学んだら、復習しつつ、考える。
この濃密な集中の時間が大切だ。
大谷翔平の如く、
善は急げ。
すぐに学べ。
そのために理解度判定テストがある。
〈結城義晴〉