紀文食品「保芦将人 お別れの会」と「余人をもって代えがたし」
東京の虎ノ門ヒルズタワーがオープン。
地下鉄日比谷線の新駅「虎ノ門ヒルズ」は、
2020年6月6日に開業した。
神谷町と霞が関の中間点の駅で、
便利になった。
その駅の上に森ビルがタワーを建てた。
私は地下鉄駅から歩いて、
ホテルオークラ東京へ。
「保芦将人お別れの会」
㈱紀文食品前代表取締役会長。
今年6月11日にご永眠。
生前は私もたいへんお世話になった。
慶応ボーイのダンディな方で、
紀文の創業者・保芦邦人氏のご長男として生まれ、
厳しく育てられた。
創業者は本当に仕事に厳しい人だった。
慶応義塾大学法学部政治学科を卒業し、
㈱紀文に入社して取締役になると、
若いころからマーケティングを模索した。
紀文は日本の食品メーカーにおいて、
マーケティングに優れていると評価されている。
その紀文にマーケティングのDNAを植え付けのは、
保芦将人さんだった。
40歳で社長に就任し、
家業を企業に転換させた。
逝去される前に、
2020年に東証一部上場。
しかし私は保芦邦人創業者の情熱が、
紀文食品の強い原動力になっていると感じる。
将人社長、会長は、
その原動力にエクセレントな要素を加えた。
それが紀文食品の特長だ。
ゴルフの腕も一流だった。
アマチュア時代は日本のトップレベルで、
紀文レディースクラシックを主催した。
2018年、創業80周年記念式典のとき、
二つの夢を語った。
第1が海外市場への真の挑戦。
これは大いに可能性があると思う。
第2が「全社員が商品開発者になること」
これはとてもいい夢だ。
食べものの仕事は、
誰にも商品開発者の資格がある。
保芦さんはみんなが開発することを、
強く望んでいた。
素晴らしい。
心からご冥福を祈りたい。
お別れの会では多くの経営者に会った。
川野幸夫さんも、
大髙善興さんも。
井出武美さんにもお会いした。
田尻一さん、平野実さんとは、
一緒に献花した。
加藤勝正さん、三科雅嗣さんとも、
話をした。
暑い夏が終わったと思った。
私はその後、一度、
横浜商人舎オフィスに戻った。
3時から若者がやってきた。
事業を始める相談。
その心意気やよし。
しかし「自分の顧客」がなければ始まらない。
ピーター・ドラッカーも言っている。
「顧客から始めよ」
これは私自身の経験でもある。
「君の顧客は誰か」
そしてまず、
「顧客をつくれ」
その顧客を一人ずつ増やしていけ。
そのあと、自由が丘。
いつもの花屋。
モンソーフルール。
朝日新聞「折々のことば」
第2872回。
自分は余人をもって
代えがたい人間だと思うな
/そう思わせてもいけない
(ドナルド・ラムズフェルド)
「自分が不慮の事故に遭っても
混乱なく次の人に交代できる組織、
要は自分がいなくてもやっていける組織を
作るのがリーダーの責任だ」
(『ラムズフェルドの人生訓』から)
米国元国防長官。
「それに自分がいなければ
仕事が回らないと思い込めば、
大切な人との個人的な関係も
つい犠牲になる」
「重要なのは”人”でなく
あくまで”職務”と心得るべし」
「自分は余人をもって
代えがたい人間だと
思わせてもいけない」
ここがいい。
〈結城義晴〉