立冬・夏日の「井戸の茶碗」と「経済政策のダッチロール」
二十四節気の立冬。
「夏日と立冬」で、
朝日新聞「天声人語」が、
地球温暖化を嘆く。
俳句「季重なり」
17文字の中に季語が複数含まれていること。
好ましくない句の代表。
しかし都心では今年、143日目の夏日。
「1年のうち夏が4割を占めるというのは
さすがに尋常でない」
目の前の情景をありのままに写し詠めば、
避けるべき「季重なり」となる。
地球温暖化は、
俳句の花鳥風月まで変えてしまう。
「セルコレポート」が届いた。
私の連載は「艱難は商人を鍛える」
その第19回。
「スーパーマーケットの艱難」
今日は午後3時から、
商人舎オフィスでミーティング。
アメリカから浅野秀二先生。
㈱ロピアの福島道夫さん。
お二人とは10月に、
一緒にダラス・ニューヨークを巡った。
それから商人ねっとのお二人。
工藤恵理佳さん(右)と東恩納歩さん。
いま商人ねっとは、
ロピアグループの会社となった。
来年の1月と2月に、
恒例のニューヨーク研修を実施する。
その打ち合わせ。
綿密に計画を練り直して、
一定の結論を得た。
お疲れ様。
ありがとう。
古典落語の「井戸の茶碗」
古今亭志ん生の名演が残っている。
暮らしに困った老いた武士が、
家に伝わる仏像を屑屋(くずや)さんに売る。
これを屑屋さんから買ったのが若い武士。
仏像を磨くと中から大金が出てきた。
知らずに売ったのだろうと、
この金を元の持ち主に返すよう
屑屋さんに頼む。
この金を老武士は受け取らない。
仏像は売ったのだから
もはや金も自分のものではない。
困った屑屋さんは若い武士に
あなたが受け取ってと頼むが、
この武士ももらわない。
自分が買ったのは仏像であって
中の金ではない。
貧にあっても道理を通す2人の態度。
聞いていて気分がいい。
政権に対する日本の世論に似ている。
岸田政権が所得税減税を打ち出したが、
支持率は上がらず、むしろ下げた。
防衛増税の先送りも効果がない。
「税を下げると言えば
国民の気を引きそうなもので、
岸田さんの狙いも、
そこにあるのだが、
逆効果とは不思議な現象」
有権者には減税の中身への不満や
財政上の心配もあるか。
それよりも次の総選挙をにらみ、
減税によって支持率を買おうとする
首相の性根が見透かされてもいる
「へん、ばかにすんない」
安く見られた気分の国民が、
腹を立てるのも無理はない。
10月27日の日経新聞「大機小機」
「所得税減税という選択は、
方向感覚を失った選挙目当ての愚策だ」
「年末は防衛増税と異次元の少子化対策の
財源確保である支援金制度の創設に関し、
先送りしてきた負担増に決着をつける
という大きな課題が残る」
「ここで減税を打ち出すのは
経済政策のダッチロールと
言わざるを得ない」
選挙目当ての愚策。
経済政策のダッチロール。
客観性を保つ日経の「大機小機」に、
ここまで言われるのは、
ちょいと情けない。
一方、
上川陽子外相の行動力と発言力は、
今、パレスチナ問題に関して、
抜きん出ている。
静岡生まれの70歳。
法務大臣のときには、
13人の死刑囚の執行命令を下した。
「死刑は大変重い刑罰であり、
その意味で一点の曇りもなく、
まっすぐに澄み切った気持ちで
ことにあたった」
そろそろ日本でも、
女性首相が登場してもいい。
そのとき、
上川陽子は最右翼だろう。
ダッチロール首相も、
この胆力を見習いたい。
〈結城義晴〉