食品PB比率過去最高の「16.8%」の調査結果を考察する。
ボージョレ・ヌーボー解禁日。
2023年の日本の輸入量は約20万ケース。
前年比2割増で、
11年ぶりの増加だ。
コロナ禍が明けて、
需要が戻ってきている。
ただし秋の新種を飲む気分ではない。
「秋の風物詩」としての存在感は弱まった。
それよりも美味いワインを安く飲みたい。
ボージョレ・ヌーボーには、
その意味で割高感がある。
ワイン消費そのものは好調である。
今日は商人舎オフィス。
ランチを食べてから、
ダイエー・イオンフードスタイル横浜西口店。
できる限り覗くことにしている。
売場の管理も上々。
水準を維持している。
ボージョレ・ヌーボーは、
それほど強調されていなかった。
CATCH&GOは、
相変わらず。
認知の努力が必要だ。
さて昨日の日経新聞一面トップ記事。
「小売りの食品PB比率最高」
食品販売額に占めるPB比率が、
10月に過去最高の16.8%となった。
統計がある2012年以降で最高。
日本経済新聞社と㈱インテージの調査。
全国の食品小売業のPOSデータ分析。
品目別にPB比率が高いのは、
冷凍野菜が最多で57%。
ハムが34%、
牛乳は32%。
イオンの「トップバリュ」は、
約5000品目の食品のうち、
2500品目を新商品に刷新する。
日用品などと合わせたPB売上高は、
2024年2月期に1兆円超。
前期比11%増。
イオンのトップバリュは、
大きく分けると4つの種類がある。
レギュラーブランドのトップバリュ、
クォリティブランドのセレクト、
ライフスタイルブランドのグリーンアイ、
コンペティティブブランドのベストプライス。
その全体の話だ。
一方のセブン&アイは、
PBの中の低価格の「セブン・ザ・プライス」を、
24年2月末までに160品に倍増させる。
これはプライスブランド、
あるいはコンペティティブブランドの話。
ベイシアは「ベイシアプレミアム」を始めた。
こちらはクォリティブランドだ。
既存PBは新製品に順次切り替えて、
24年2月までに100品目以上を展開する。
西友も生鮮食品の新PB「食の幸」の品目を増やす。
これもクォリティブランドだ。
ヤオコーもスターセレクトが一番伸びた。
ライフコーポレーションと共同開発した、
これはコンペティティブブランドだ。
「PBシフトの背景には、
食品価格の上昇がある」
値上げである。
帝国データバンクの調査では、
22年の食品値上げは約2万6000品目、
23年は1~10月の累計で3万品目を超えた。
メーカーのつくるナショナルブランドは、
放っておけばコモディティ化する。
いわゆる同質化である。
そしてカテゴリー全体が同質化してくれば、
PBにシフトしてくる。
ブランド価値が落ちるからだ。
欧米のように、
NBとPBで店頭の品揃えは完結する。
それに値上げが重なってきている。
トップNBとPBだけの品揃えといった店頭は、
私は歓迎しない。
しかしコモディティ化現象が進めば、
PBのシェアが高まるのは当然だ。
世界50カ国のPB比率は、
30%をはるかに超えている。
スイスが一番高くて5割に近い。
ミグロスという超巨大企業が君臨しているからだ。
イギリスやスペインも4割を超える。
世界各国と比べると、
日本のPB比率は10年くらい前には、
50カ国のうち30番目くらいだった。
それがこの10年くらいで倍増した。
その結果がこの16.8%の調査結果となる。
ただしコモディティ化現象は続く。
値上げが一段落しても、
それは続いていくだろう。
上限は日本の場合、
30%くらいだろうか。
製造業も卸売業も、
小売業もそのことは、
認識しておいた方がいいだろう。
そしてPBにも分類があることも。
現在の大きく分けた4分類が、
すべてではない。
今後、PBの世界に、
さらに新しいトレンドが出てくるだろう。
それも決して悪いことではない。
頭からPBを否定してはいけない。
無条件でPBを絶賛してもいけない。
マーケットがそれを決める。
顧客がそれを決める。
ただしポジショニング戦略を志向すれば、
他社にないわが社だけのブランドは、
競争上、必須である。
コモディティ化現象とは異なる論点から、
わが社ブランドをつくる必要がある。
精肉における独自ブランド構築の潮流が、
それをよく示している。
〈結城義晴〉