結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2023年11月16日(木曜日)

食品PB比率過去最高の「16.8%」の調査結果を考察する。

ボージョレ・ヌーボー解禁日。

2023年の日本の輸入量は約20万ケース。
前年比2割増で、
11年ぶりの増加だ。

コロナ禍が明けて、
需要が戻ってきている。

ただし秋の新種を飲む気分ではない。
「秋の風物詩」としての存在感は弱まった。

それよりも美味いワインを安く飲みたい。
ボージョレ・ヌーボーには、
その意味で割高感がある。

ワイン消費そのものは好調である。

今日は商人舎オフィス。
ランチを食べてから、
ダイエー・イオンフードスタイル横浜西口店。IMG_92213

できる限り覗くことにしている。IMG_92233

売場の管理も上々。
水準を維持している。
IMG_92193

ボージョレ・ヌーボーは、
それほど強調されていなかった。

CATCH&GOは、
相変わらず。
IMG_92203
認知の努力が必要だ。

会社に戻って来て、
午後の仕事に打ち込む。IMG_92263

さて昨日の日経新聞一面トップ記事。
「小売りの食品PB比率最高」
スクリーンショット 2023-11-16 030711

食品販売額に占めるPB比率が、
10月に過去最高の16.8%となった。
統計がある2012年以降で最高。

日本経済新聞社と㈱インテージの調査。
全国の食品小売業のPOSデータ分析。

品目別にPB比率が高いのは、
冷凍野菜が最多で57%。
ハムが34%、
牛乳は32%。

イオンの「トップバリュ」は、
約5000品目の食品のうち、
2500品目を新商品に刷新する。

日用品などと合わせたPB売上高は、
2024年2月期に1兆円超。
前期比11%増。

イオンのトップバリュは、
大きく分けると4つの種類がある。
レギュラーブランドのトップバリュ、
クォリティブランドのセレクト、
ライフスタイルブランドのグリーンアイ、
コンペティティブブランドのベストプライス。
その全体の話だ。

一方のセブン&アイは、
PBの中の低価格の「セブン・ザ・プライス」を、
24年2月末までに160品に倍増させる。
これはプライスブランド、
あるいはコンペティティブブランドの話。

ベイシアは「ベイシアプレミアム」を始めた。
こちらはクォリティブランドだ。
既存PBは新製品に順次切り替えて、
24年2月までに100品目以上を展開する。

西友も生鮮食品の新PB「食の幸」の品目を増やす。
これもクォリティブランドだ。

ヤオコーもスターセレクトが一番伸びた。
ライフコーポレーションと共同開発した、
これはコンペティティブブランドだ。

「PBシフトの背景には、
食品価格の上昇がある」

値上げである。
帝国データバンクの調査では、
22年の食品値上げは約2万6000品目、
23年は1~10月の累計で3万品目を超えた。

メーカーのつくるナショナルブランドは、
放っておけばコモディティ化する。
いわゆる同質化である。

そしてカテゴリー全体が同質化してくれば、
PBにシフトしてくる。

ブランド価値が落ちるからだ。

欧米のように、
NBとPBで店頭の品揃えは完結する。

それに値上げが重なってきている。

トップNBとPBだけの品揃えといった店頭は、
私は歓迎しない。

しかしコモディティ化現象が進めば、
PBのシェアが高まるのは当然だ。

世界50カ国のPB比率は、
30%をはるかに超えている。
スイスが一番高くて5割に近い。
ミグロスという超巨大企業が君臨しているからだ。

イギリスやスペインも4割を超える。

世界各国と比べると、
日本のPB比率は10年くらい前には、
50カ国のうち30番目くらいだった。

それがこの10年くらいで倍増した。

その結果がこの16.8%の調査結果となる。

ただしコモディティ化現象は続く。
値上げが一段落しても、
それは続いていくだろう。

上限は日本の場合、
30%くらいだろうか。

製造業も卸売業も、
小売業もそのことは、
認識しておいた方がいいだろう。

そしてPBにも分類があることも。

現在の大きく分けた4分類が、
すべてではない。

今後、PBの世界に、
さらに新しいトレンドが出てくるだろう。
それも決して悪いことではない。

頭からPBを否定してはいけない。
無条件でPBを絶賛してもいけない。

マーケットがそれを決める。
顧客がそれを決める。

ただしポジショニング戦略を志向すれば、
他社にないわが社だけのブランドは、
競争上、必須である。

コモディティ化現象とは異なる論点から、
わが社ブランドをつくる必要がある。

精肉における独自ブランド構築の潮流が、
それをよく示している。

〈結城義晴〉


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