ウォルマート第3四半期「増収増益」と「米国消費減速感?」
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ウォルマートnews|
第3Q営収1608億ドル5.2%増/US部門は1094億ドル
2024年1月期の第3四半期業績。
10月末日の締め。
8~10月の営業収益、1608億ドル。
1ドル150円換算で24兆1206億円。
日本の企業の第3四半期は、
累計で発表されることが多い。
しかしアメリカは第3四半期ならば、
第3クオーターの3カ月分だ。
それがウォルマートは24兆1206億円。
前年同期比5.2%の増加。
営業利益は62億ドル(同9303億円)。
こちらは130.1%の増加。
純利益は4億5300万ドル(679億5000万円)、
ただし前年同期は18億ドルの純損失だった。
事業部門は3つに分かれている。
第1のウォルマートUSは、
スーパーセンター、ディスカウントストア、
そしてネイバーフッドマーケット。
その総計は売上高1094億ドル、
16兆4128億円で4.4%増。
営業利益は49億8100万ドル(7472億円)、
2.2%減だった。
第2の国際部門が、
ウォルマートインターナショナル。
売上高は280億2200万ドル、4兆2033億円、
10.8%増。
営業利益は11億1700万ドル、
1676億円で29.7%の増加。
第3のサムズクラブは、
売上高219億9800万ドル、
3兆2997億円で2.8%の増加。
営業利益5億9300万ドル、
890億円で5.5%増。
第3四半期までの累計は、
営業収益4747億3700万ドル、
71兆2106億円で6.1%増。
営業利益197億5800万ドル、
2兆9637億円で32.9%増。
純利益100億ドル、1兆5026億円の85.3%増。
しかし日経新聞の記事は、
「米消費に減速感強まる」
ニューヨーク発。
「米国の小売り現場で、
減速感が強まっている」
はて。
国内総生産(GDP)の7割を個人消費が占める。
それは小売業の売上高と直結している。
第3四半期の数字を引き出す。
ウォルマートの既存店伸び率を、
「前の期の6.4%増から4.9%増へと鈍化」と記す。
「徹底した安売り戦略で
節約志向を強める消費者の支持が高く、
同業他社から顧客を奪ってきたが、
勢いに陰りが出ている」
株式の観点からだけ見ていると、
少しでも成長が鈍化すると、
黄信号を灯したくなる。
既存店に関しては、
「ターゲットは4.9%減で、
2期連続のマイナス」
「ホームデポは3.1%減と下げ幅を拡大」
「小売売上高は4月から9月まで、
6カ月連続で前月を上回った」
「7~9月の個人消費は4.0%増」だった。
小売りの現場にも変調の兆しはあろう。
「耐久消費財や高額消費が減速」している。
「食品や消耗品などの生活必需品を除いて、
買い控えの傾向が強まっている」
ウォルマートのダグ・マクミロンCEO。
「数週間か数カ月以内に
デフレが始まる可能性がある」
マクミロンはデフレが始まっても、
「わが社には追い風」と見ている。
一方、賃金の動向。
「10月の税引き後給与は
これまで伸びが停滞していた高所得層でも
前年同月比プラスとなり、
全ての所得層で上昇した」
自動車産業のストライキなどがあって、
賃上げを獲得する動きが広がる。
そこで記者は言う。
「待遇改善による波及効果への期待がある一方、
人件費の増加で企業利益が縮めば
株主への還元が滞り、
消費に悪影響を与える可能性もある」
ここがよくわからない。
記者のスタンスもよくわからない。
アメリカ合衆国はさらに、
複雑な社会情勢になりつつある。
消費の変調も見られる。
デフレの予兆もありそうだ。
根底にあるのは、
ウクライナやパレスチナの戦争で、
アメリカ国民が、
大きな不安を感じていることだ。
政治的にも分断は顕著だ。
大統領選は来2024年11月である。
複雑で不安で分断された社会。
その環境のなかでは、
ウォルマートの増収増益は、
健闘と評していいだろう。
株価の動向だけを心配する高所得者たちは、
不安を感じているかもしれない。
その世界を見ているジャーナリストは、
同じように「消費の鈍化」を、
強く受け止めるかもしれない。
しかし必死の思いで生活している大衆は、
米国チェーンストアを頼りにしている。
それは何よりも店頭に、
よく表れている。
〈結城義晴〉
2 件のコメント
ウォルマートは強い。「必死の思いで生活している大衆は、米国チェーンストアを頼りにしている。」大衆からの支持は、その裏付けですね。
渡邉健次さま
ご投稿、感謝。
大衆からの支持こそ重要です。
その大衆が少しずつ分化しています。
ウォルマートはそれを自分なりにひとくくりにしている。
ウォルマートのカスタマーです。
ここがウォルマートの凄さです。