ハラリの「Humility」(謙虚さ)と政治資金party券の「Rollback?」
7日間の戦闘休止。
束の間の平穏は去った。
イスラエル軍が、
パレスチナ自治区ガザへの攻撃を再開した。
すぐに196人の人々が死んだ。
この地ではなんと命が軽いのだろう。
これが2023年12月2日の世界の現実である。
深い悲しみしかない。
ユヴァル・ノア・ハラリ。
1976年、イスラエル・ハイファ生まれの、
歴史学者、哲学者。
私より二周りも若い学者だが、
尊敬している。
『21lessons』では、
イスラエルの首相を評価した。
「シリアの内戦に巻き込まれなかったこと」は、
「ネタニヤフの最大の政治的業績だろう」
「イスラエルは、
あれほどの軍事力を持ち、
政治家は好戦的な発言をしているが、
戦争から得るものなどほとんどないことを、
承知している」
しかしそのネタニヤフが今、
一方的な戦争をしている。
ハラリ。
「悲しいかな、二十一世紀には、
戦争がそんな企てであり続けたとしても、
平和の絶対的な保証にはならない」
「人間の愚かさは、けっして
過小評価するべきではない」
「人間は個人のレベルでも集団のレベルでも、
自滅的なことをやりがちだから」
対処策は見つからないが、
少しだけヒントがある。
「人間の愚かさの
治療薬となりうるものの一つが
謙虚さだろう」
国家、宗教、文化。
もう少し現実的で、
控えめになってもらう必要がある。
Humilityが謙虚さだ。
You are not the center of the world.
「あなたは世界の中心なんかじゃない」
ネタニヤフこそ、
それを知らねばならない。
プーチンも習も。
ゼレンスキーも。
もちろんバイデンもトランプも。
私もあなたも。
一方、日本の政界。
自民党の最大派閥安倍派。
年1回、政治資金パーティーを開催。
この際、所属議員には、
パーティー券の販売ノルマが課された。
そしてノルマを超えて販売した分は、
議員にキックバックしていた。
まだ、あくまでも疑いの段階。
東京地検特捜部が強気の捜査をしている。
政治資金規正法に抵触する。
安倍派の政治資金パーティー収入は、
2018~22年の4年間で合計約6億6000万円。
しかし収支報告書にキックバック分が、
記載されていない。
政党助成金を与えられた上に、
まだこんな姑息なことをやっている。
毎日、特売価格で販売して、
1シーズンの間、長ければ1年間、
売価を変えない。
つまり価格を固定する。
しかしこれだけでは販売に変化が乏しい。
だから「ロールバック」をする。
エブリデーロープライスから、
さらにディスカウントする。
写真の右の青いPOPがEveryday Low Price 。
左の赤いPOPがRollback。
その原資は、
計画以上に販売した商品の、
ベンダーと店の利益を充当して生み出す。
当初の期間契約において、
販売数量や販売金額を決めておく。
それを超えて販売すると、
その超えた分はキックバックされる。
ウォルマートは、
そのキックバック分を、
「ロールバック」と呼んで、
顧客に還元する。
それがエブリデーロープライスの売場に、
さらにエキサイティングを生み出す。
カスタマーたちは、
躍り上がって喜ぶ。
自民党の政治資金パーティーは、
ウォルマートの売場ではない。
財界から無理やり金を集める場だ。
そのノルマや計画を超えた分は、
キックバックされて、
議員の懐に収まる。
故安倍晋三派閥会長は、
これらによって多数の議員を派閥に集めた。
そして最大派閥になった。
ウォルマートのロールバックは、
余分に買っていただいたら、
それは顧客に還元される。
安倍派のキックバック分は、
どこに還元されるのかわからない。
議員の懐から先のことは、
誰にもわからない。
だからRollbackじゃない。
収支報告書にも載らない。
ここには謙虚さはない。
Humilityはない。
You are not the center of the world.
「あなたは世界の中心なんかじゃない」
〈結城義晴〉