オークワの講演テーマ「マネジメント」と“Practice comes first”
目が覚めると、
眼下に和歌山城。
午後1時から講演会。
7月27日に一度目の講演をして二度目。
朝から幹部と営業部隊が参集して、
販売会議が行われていた。
130名ほどが集合。
地方の店舗では、
オンラインで250名ほどが聴講。
講演テーマは、
「チェーンストアのマネジメント」
マネジメントとは、
例えば馬に乗るとき、
どう手綱を操ればいいか。
その手綱の使い方がマネジメントである。
安土聡さんは一言、
「段取り組み」と言ったが、
マネジメントは段取りを組むことでもある。
実に的確だ。
ドラッカーは、
「人の強みを生かすこと」と教えてくれる。
これは全くその通りだと思う。
そしてどんな会社にも、
ミッションがある。
そのミッションに基づいて、
5つのマネジメントが4つの段階に、
ツリー状、三角形型に構成されている。
ミッション・マネジメントの下の階層にあるのが、
ストラテジック・マネジメント。
経営戦略である。
前回の講演はこの戦略について、
最新の考え方を語った。
その次の階層には、
二つのマネジメントがある。
会社の外側に向けてアクションするのが、
マーケティング・マネジメントである。
会社の外の顧客、取引先、社会へ向けて、
様々なリサーチをし、
アクションを起こす。
それがマーケティングである。
一方、会社の内側に向けて行われるのが、
ヒューマンリソースマネジメントである。
そのマネジメントの基本は、
ドラッカーにある。
『エッセンシャル・マネジメント』を紹介して、
講義を始めた。
そして今、日本のチェーンストアが陥っている、
共通のマネジメント問題を明らかにした。
それがマネジメントの歴史から、
鮮明に浮き上がってくる。
ちょっと難しいかもしれないが、
簡潔にその問題を語った。
マネジメント理論は、
他の理論と同じように、
一つではない。
多様である。
さらに対立することもある。
この理論の点で間違っていては、
マネジメント教育をすればするほど、
組織は間違ったほうに向かいやすい。
一言で言えば、
大企業病である。
マネジメントの講義は、
この病気に処方箋を出すことだ。
私はドラッカーを使う。
拙著『店長のためのやさしいドラッカー講座』の、
骨格の部分を講義して、
それからコミュニケーションの方法。
商人舎ミドルマネジメント研修会では、
丸々1日をかけて講義するが、
それをオークワ向けにダイジェストで語った。
最後は熱を込めて、
檄を飛ばした。
この12月商戦の機会に、
ドラッカーを実践してほしい。
今年最後の講義だった。
テンションが上がった。
オークワ人事部教育課課長の小澤一雄さん。
事務局として丁寧に対応してくれた。
ありがとうございました。
新大阪行きのくろしおに乗って、
東海道新幹線で横浜に帰った。
朝日新聞「折々のことば」
第2932回。
必要不必要で
物を論ずる日には、
大抵なものは
必要で無い。
(幸田露伴)
「煙草(たばこ)も紅茶も酒も
必要ないといえば必要ない」
「それでいくと、おまえは国家に必要か、
いやそもそも人類は世界に必要か
という話になる」
露伴は言う。
「要不要が世の中の標準だなんてご免だ」
そう言いつつ、菓子の話になって、
微に入り細に入り蘊蓄(うんちく)をたれ、
「最後はこんな談義こそ不必要だな、
“ハハハハ”」と煙(けむ)に巻いて終える。
仕事の場では、
理論など不要だと言われたりする。
小難しいマネジメントやマーケティングも、
必要ないと考えられている。
もちろんそれだけを振り回して、
評論家のようになってはいけない。
しかし理論の本質をつかまねば、
組織は健全に動いてはくれない。
理論を口にはしないけれど、
理論を理解し駆使している経営者は多い。
ドラッカーのことば。
“Practice comes first”
実践が第一にくる。
“Theories follow events”
理論は現実に従う。
しかし論理なき行動は、
暴走である。
〈結城義晴〉