結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年01月07日(日曜日)

ワイプラザ輪島の「役に立ちたい」とやなせたかしの「ヒーロー」

成人の日を含む三連休。

2024年最初の三連休だ。
それでも正月休みの延長の連休だから、
国民は休み慣れしている。
大型連休とするならば、
12月28日から明日の1月8日までで、
12日間となる。

それはそれでいいのだろう。

私が二十歳になったときには、
成人の日の祝日は、
1月15日と決まっていた。

それが1999年まで続いて、
2000年からハッピーマンデー制度が導入された。

もともと1月15日は小正月(こしょうがつ)である。
対して元日、あるいは七草の7日までを、
大正月(おおしょうがつ)という。

正月の終わりが小正月で、
切りがいい。

そして小正月に元服の儀が行われた。
「元服」は男子が成人に達したことを示す儀式だった。

奈良時代の貴族から始まって、
鎌倉時代には武士まで広まった。
そして室町時代には民間にも普及して、
戦国時代、江戸時代と続いた。

だから成人の日と元服の小正月は、
歴史的に伝承している。

どちらかといえば、
成人の日は15日がいいと思う。

さて、
朝日新聞「天声人語」

「能登半島地震の被害の甚大さは、
いまだその全容が見通せない。
倒壊した家屋の下にはまだ人がいる。
救援は十分には届いていない。
孤立した集落も残っている」

「困窮と寒さのなか、
助け合う被災者たちの言葉に、
胸が震える」

その数々の言葉の中で、
輪島市宅田町の「ワイプラザ輪島」
㈱ヤスサキが経営するショッピングセンター。
2003年12月オープン。

スーパーマーケットの「グルメ館」、
ホームセンターの「ワイホーム」、
衣料品の「ファッションプラザ」。
そのコンビネーションタイプの店だ。

店の人たちが地震発生の翌日から、
売場を片付け始めた。

そして状態のいい食料品や衣類、生活用品を、
かき集めて4日の朝、開店にこぎ着けた。
wajimayasusaki

グルメ館の食品営業本部長の大道豊春さん。

「今はみなさん困っているとき。
少しでもお客さんの役に立ちたい」

素晴らしい。

一部の生活用品を除いて、
商品の値段は税込み100円に揃えた。
低価でわかりやすい。

「利益を上げることは、
後で考えればいい」

従来の売場は天井や棚が崩れている。
そこでイートインスペースを仮設売場にした。
余震が起きてもすぐに避難できる。

阪神淡路大震災のときも、
新潟県中越地震のときも、
東日本大震災のときも、
全力を尽くして、
店を開け、売場に立つ。

それが商人の役割だ。

朝日新聞「折々のことば」
昨日の第2960回。

困っている人の
一番の困りごとは

「助けて」と言えないことです。
〈Colabo(コラボ)〉

Colaboは女子高生サポートセンター。
困難を抱え、帰る場所もない少女たちを
支援する一般社団法人。
Colabo.svg

そのホームページの一文。

彼女らの多くは、
「自分の問題なんだから、
自分でなんとかしなきゃ」
という気持ちでいる。

だからそのままだと
「ひとりではどうにもならない事態」に
行き着き、追いつめられて、
性的被害に遭うことにもなる。

彼女らに必要なのは、
「特別な支援ではなく、当たり前の日常」だ。

「助けて」といえない人たち。
そんな人たちを助ける。

それが本来、政治であり、行政である。
政府であり、地方自治体である。

それらが足りないとき、まにあわないとき、
小売業、サービス業が助ける。

漫画家の故やなせたかしさん。
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「『アンパンマン』を創作する際の僕の強い動機が、
『正義とはなにか』ということです」

「正義とは実は簡単なことなのです。
困っている人を助けること」
「ひもじい思いをしている人に、
パンの一切れを差し出す行為を
『正義』と呼ぶのです」

「困っている人、飢えている人に
食べ物を差し出す行為は、
立場が変わっても国が違っても
『正しいこと』には変わりません」

「絶対的な正義なのです」

「だから正義って相手を倒すことじゃないんですよ。
アンパンマンもバイキンマンを殺したりしないでしょ」

「それに正義って、
普通の人が行うものなんです。

政治家みたいな偉い人や
強い人だけが行うものではない。
普通の人が目の前で溺れる子どもを見て
思わず助けるために
河に飛び込んでしまうような行為をいうのです」

「ただし普通の人なので、
助けに行って自分が代わりに
溺れ死んでしまうかも知れない。
それでも助けざるを得ない」

「つまり、正義を行う人は、
自分が傷つくことも
覚悟しなくてはいけない」

「怪獣を倒すスーパーヒーローではなく、
怪獣との闘いで壊された街を復元しようと
立ちあがる普通の人々が
ヒーローであり、
正義なのです」

「ワイプラザ輪島」の人々こそ、
ヒーローであり、正義なのだ。

ありがとう。

〈結城義晴〉


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