結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年01月09日(火曜日)

「人手不足と人材難」は産業と企業の「協調と競争」に委ねられる

今日あたりから日本中に、
完全に日常が戻ってくる。

能登半島にはまだまだ、
平常は帰ってこない。

死者は202人となった。
安否不明者は102人に減った。

日々、安否不明者が死者に変わっていく。
何とかできなかったのか、できないのかと思う。

ご冥福を祈り、お見舞い申し上げたい。

昨年大晦日の「第74回NHK紅白歌合戦」
視聴率は史上最低となった。
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ずっとダウントレンドだった。
当たり前のことだ。

第1回は1951年に始まった。

第14回の1963年には、
史上最高の視聴率81.4%。
司会は江利チエミと宮田輝。

翌年の1964年10月に東京オリンピック開幕。
そのためにテレビが急速に普及していた。

今回はもう74回。

史上最低でも視聴率は、
前半29.0%、後半31.9%だった。

旧ジャニーズ事務所からは出演者ゼロ。
それも視聴率に響いた。

そろそろこんな総花企画は、
終わりになるのだろう。

静かな大晦日、
それぞれの大晦日。
それが主流になる。

いいことだ。

今日の日経新聞「社説」
「構造的な人手不足に克つ大改革を」
日経社説

北海道新聞の今日の「社説」も、
「人材難 協調で乗り越える」

「2024年は人手不足が今まで以上に
大きな社会課題となる」

私の認識と同じだ。

「4月に時間外労働の上限規制が課される。
運輸・建設業をはじめ、
介護など福祉分野も人材難は深刻だ」

建設の従事者は、
ピーク時の1997年から3割減った。
運輸では何も手を打たなければ
2030年には約3割の荷物が運べなくなる。

長時間労働に頼ったままでは、
持続可能な事業とは言えない。

「2024年問題」は、
将来の危機を乗り越える試金石とすべきだ。

日経社説。
「労働力人口が先細るなかで、
問題の先送りは許されない。
構造的な人手不足の克服へ
官民挙げて聖域なき改革に踏み出すときだ」

賛成。

道新社説。
「米経営学者ドラッカーは39年前の著書で
『人口構造の変化ほど明白なものはない』
『もたらすものは予測が容易』と述べていた。
デジタル化や外国人労働など課題と向き合い、
競争から協調へと社会のあり方を変える
転機である」

これにも同感。

日経の問題提起。
そのために第1に、
多重下請け構造がもたらす弊害の解消。

「トラック運転手は長時間の荷待ちを強いられ、
荷役は無料の付帯サービスと見なされてきた」

こうした慣習を抜本的に見直すには
発注者や荷主の協力が不可欠だ。
「下請けとの協議を拒む企業を
公正取引委員会が監視するなど、
行政の一定の介入も必要だ」

第2に歩合給から固定給への転換。
「技能に応じて手当を上乗せするなど、
他産業に見劣りしない賃金水準に引き上げる」

第3に省人化の徹底。
「自動運転をはじめ、
ドローンでの測量や配達、
ロボットによる施工や積み荷など、
官民で普及を加速してほしい」

第4に貴重な労働力を分かち合う発想。
「他社との中継配送など」

第5に政府は中小企業の保護よりも、
業界再編を後押しすべきだ。
また規制改革を推進すべきだ。
「ライドシェアの解禁など」

第6に外国人労働者の問題。
「政府は問題が多い技能実習制度をようやく廃止し、
新制度をつくろうとしている」

にもかかわらず自民党は、
就労後2年間は転職できない
経過措置を設ける提言を出した。

ああ、自民党。

一方の道新。
「長らく”在庫を極力減らし、
必要な時に運ぶ”ことが効率的とされ
迅速配送は当たり前になった」

その頂点にセブン-イレブンがあった。

「都市部の荷主、消費者が”遅さ”を許容し、
過疎地に振り向けることも
物流網維持を図る鍵となる」

日経より道新のほうがわかりやすい。

「政府は人権問題が指摘された
技能実習生制度を廃止し、
今年抜本的な改革を図るが、
永住や家族同伴のハードルは高い」

「もはや経済大国とは言えぬ中で
危機意識が乏しくないか。
デジタル人材育成には熱心だが、
介護・福祉は後手の印象が拭えない」

日経は大胆なことも言う。
「生産性の低い企業が
人材を抱え込んだままでは、
日本経済は強くならない」

その通りだが、
生産性は企業規模の大小とは関係ない。
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「政府は労働市場の改革をさらに加速し、
人材の流動性を高めるべきだ」

「雇用調整助成金のように
現状の雇用を温存するのではなく、
安全網を整えながら
働き手のリスキリングを強く後押しする
北欧型の労働政策に変えていく必要がある」

ん~、観念的。

「賃金や仕事そのものの魅力を高めなければ
人材は流出し、淘汰されていく」

これは国や道も、
産業や企業も、
認識すべきことだ。

知識産業、知識企業になることが、
魅力ある仕事に直結している。

米国FORTUNE「働きがいのある企業」がそれだ。

「課題は多岐にわたっており、
各省庁が緊密に連携しなければ
根本的な解決は難しい」

それができていない。
優秀とされる官僚たちも、
縦割り意識の中にある。

「司令塔としての機能が
政府には求められる。
政策を結集し、首相が先頭に立って
改革を断行すべきだ」

ん~、この最後の提言こそ、
むなしい。

首相の頭には今、
パー券スキャンダルからの逃避しかない。

かくて問題解決は、
産業と企業に委ねられる。
その協調と競争に任される。

ああ。それでも頑張る。

〈結城義晴〉


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