「ポジショニング」を求めてNew JerseyからBroadwayまで
ニューヨークはマイナス2℃。
東京はプラス5℃。
温度差がある。
その東京の自民党。
岸田派の宏池会につづいて、
安倍派の清和政策研究会と、
二階派の志帥会が、
解散を決めた。
安倍派は自民党内最大派閥。
福田赳夫元首相が作った派閥。
三つの派閥はパーティー券キックバック事件で、
会計責任者らが逮捕された。
安倍派は多額の裏金づくりが発覚して、
議員が検挙されたが、
二階派と岸田派は収支報告書への虚偽記載で、
会計責任者が立件された。
会長に責任は及ばないのか。
派閥を解消すれば、
その責任は消えてなくなるのか。
派閥は解消されても、
「裏金」は還流する。
そんなこと国民は、
先刻承知だ。
情けない。
さてロピア米国研修第2陣。
ニューヨーク視察は2日目。
朝は結城義晴の講義。
ロピアの経営理念、
「私たち『ロピア』は、
『食生活♡♡(ラブラブ)ロピア』をモットーに、
ロープライスのユートピアをつくることを
目標に生まれた会社です。
ユートピアとは、
楽しく感動して
いつも行きたいところです」
会議や新店オープンの際など、
みんなが集まるときには、
常に経営理念を唱和する。
そしてビジョンを共有する。
相川博史団長の朝の訓話。
急成長するロピアには、
中途採用やスカウトの人材が多い。
ロピアの理念や経営方針を、
相川さんは具体的な事例と、
わかりやすい言葉で説明する。
結城義晴の初日の講義は、
相川さんの言葉を受けて始まる。
商人の「本籍地と現住所」。
本籍地で学んだことを活かし、
現住所のロピアで活躍してほしい。
アメリカ視察のための、
基本的な態度から初めて、
経済や市場の基礎データを解説。
どんな内容にも、
ロピアの事例を挟む。
ロピア仕様の講義である。
虫の目は全員が備えている。
だから鳥の目と魚の目を教える。
もちろん心の目を底辺に置いている。
一気呵成、2時間を語り切った。
講義が終わるとリムジンバスに乗り込んで、
ハドソン川をトンネルで越える。
隣のニュージャージー州へ。
2500坪で1億ドルを売り上げる。
その市場のような青果売場。
ウェグマンズは多SKU のアソートメントが特徴だ。
そこでファミリーパックの大容量の品揃えもする。
これはコストコ対策だ。
定番商品のバナナ売場は広い。
1ポンド当たり49セント。
オーガニックのバナナは69セント。
対面のデリカテッセン売場。
スライスしたてのハムやチーズを提供。
いつも顧客が並んでいる。
買いやすく売りやすいテーブルワインから、
高級ワインまで品揃えする。
ウェグマンズは商圏内の需要を、
ごっそり奪い取る。
だから客層を広く設定する。
ナビスコのOREO(オレオ)を模倣した、
ウェグマンズのPBを購入。
ウォルマートやアルディも、
同様のPBをつくっている。
それらを車中で試食してもらう。
ウェグマンズの価格は、
アルディと同じ2ドル49セント。
ウォルマートは2ドル58セント。
ウェグマンズは最安値。
グルメスーパーマーケットと、
勘違いされている観のある同社は、
こんなPB戦略をとっている。
ショップ&ストップ。
ウェグマンズから5㎞ほどにある。
オランダに本部を置く、
ロイヤルアホールドデレーズ傘下の企業。
このニューヨーク・ニューアーク地区では、
160店舗ほどを展開して、
2番目のシェアを有する。
天井を一部スケルトンにして、
対面売場を設けるなど、
最新の店づくりの要素を取り入れている。
しかし対面売場はすでに機能していない。
店舗中央のシーゾナルスペースはガラガラで、
ポップアップセールは展開されていない。
形だけ真似てもポジショニングがなければ、
コンベンショナルな業態からは抜け出せない。
アメリカのスーパーマーケットの多くが、
こうしたコンベンショナル型だ。
彼らにはもう衰退しかない。
ポジショニング戦略の難しさを、
痛感させられる。
ショップライト。
この地区で115店、19%のシェアをもつ。
ただし資本の異なる企業が集まって活動する、
ボランタリーチェーンだ。
この店はそのショップライトの中で、
秀逸だ。
部門やカテゴリーにブランドをつけて展開する。
対面売場のショップが積み重ねられた店だ。
これがこのショップライトの、
ポジショニング戦略である。
インストアベーカリーの中に、
「セレブレーション・ステーション」がある。
お祝い時のケーキを提供するコーナーだ。
ブランドにはそれぞれ、
オリジナルのデザインが施されている。
華やかなサインでも、
全体に調和がとれている。
早速、スモークショップで、
ブリスケットを購入するリーダー。
ロピアの米国研修はどんどん食べる。
それが特徴だ。
華やかな生鮮やデリ・ベーカリー違って、
広大なグロサリーはラックでの展開。
ここにはボランタリーチェーンの商品力が、
いかんなく発揮されている。
ショップライトとストップ&ショップ。
両社のポジショニングの違いは明らかだ。
ドイツのシュワルツグループのボックスストア。
アルディと同じフォーマット。
入口のインストアベーカリーは、
独自の什器を使っている。
しかも安くて、そこそこにうまい。
黄色や赤で囲んだ売場は、
今週のプロモーション。
グロサリーはアルディ同様、
ダンボールカット陳列が基本だ。
その段ボールもプライベートブランドだから、
色指定をして売場に並べると、
カラフルなプレゼンテーションとなる。
「安売り屋」のイメージはない。
店舗中央の平台には、
「売り切れごめん」の面白グッズが並ぶ。
ウィークリープロモーションコーナー。
結構な掘り出し物があって、
顧客は楽しみにしている。
ウォルマートはエブリデーロープライス。
ウェグマンズはコンシスタントロープライス。
アルディはウィークリーマーチャンダイジング。
それがリドルのポジショニングだ。
ウェグマンズからリドルまで、
ニュージャージー州での視察を終えて、
マンハッタンへ。
途中でハミルトンパークに寄って、
記念撮影。
曇り空だがマンハッタンの摩天楼がきれいに見えた。
マンハッタンに戻る途中、
消防車や警察車両が集まっていて、
交通規制。
この渋滞を潜り抜けて、
マンハッタンのアップタウンへ。
ブロードウェイ沿いを集中視察。
550坪の2層の店舗で、
1階が食品売場、
2階がキッチン用品売場。
対面売場を中心にしたグルメ専門店だ。
尖がりを持てば1店舗でも、
生き残ることができる。
そして魚売場が圧巻。
だから対面の鮮魚コーナーは、
魚種も豊富で、充実している。
こちらは八百屋出身のスーパーマーケット。
かつてはマンハッタンの王者だった。
野菜の種類も多くて新鮮。
驚いたのは、これ。
雑貨売場の一角の洗剤コーナーに、
網の扉が設けられて、
鍵が付けられている。
万引き防止の鍵。
購入したい客はブザーを鳴らして、
店員を呼び出す。
P&Gの「Tide」も万引きされるのだろう。
ニューヨークでは高額な化粧品などに、
こうした防犯対策を施すが、
洗剤にまでこの対策をとる。
コロナ前から万引きは大問題となっているが、
インフレが重なって、
深刻な状況となっている。
これは「セルフサービスの危機」である。
フェアウェイからさらに数分南下すると、
トレーダージョーとデュアンリード。
地下1階・2階がトレーダー・ジョー、
地上1・2階をデュアンリード。
トレーダー・ジョーは、
いつ訪れても大量の顧客で賑わっている。
人気ナンバー1はマンダリンオレンジチキン。
少し甘い味付けのフライドチキン。
いつの間にかレジ待ちの行列は伸びて、
最後尾を示す旗を持った案内係が登場。
2日目の後半は、
ポジショニングの際立った、
地元スーパーマーケット3店舗。
それらにプレッシャーをかけ続けるのが、
トレーダージョーの大繁盛店。
朝の講義からニュージャージー、
マンハッタンのブロードウェイまで。
2日目の長くて充実した視察も、
無事に終了した。
それにしても、
派閥を解消して、
烏合の衆となってしまったら、
残った派閥から一本釣りで議員が、
刈り取られてしまう。
だから派閥と称することなく、
何らかのグループを維持する。
それは新しい派閥に他ならない。
ポジショニングを喪失した、
小売業の店舗のような政治家集団だ。
衰退していくしかない。
(つづきます)
〈結城義晴〉