ロピアNY研修最終日のWegmans/Eataly/Whole Foods
今日は大寒。
二十四節季の「寒さが最も厳しくなるころ」
『暦便覧』は記す。
「冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也」
ニューヨークにいて、
大寒などと言うのも、
へんな感じだが、
どこにいても季節の移り変わりを、
日本人として感じていたい。
ここニューヨークは、
まさに大寒の寒さ。
マイナス6℃。
7時50分集合で、
朝のセミナー。
レース型競争とコンテスト型競争。
クリティカルマスと寡占・鼎占・複占。
さらにマーケットリーダー、
マーケットチャレンジャー、
マーケットフォロワーと、
マーケットニッチャー。
最後は業種・業態とフォーマット。
ロピアは1971年、
業種の「肉の宝屋藤沢店」として創業。
1994年、
小型ディスカウント・スーパーマーケットを開業。
1996年、社名を、
㈱ユータカラヤに商号変更。
1997年、
「新鮮大売ユータカラヤ」希望ヶ丘店で、
スーパーマーケット業態に本格参入。
2011年、㈱ロピアに商号変更。
「ロピア」のフォーマットに挑戦。
短期間で業種から業態へ、
そしてフォーマットまでの蛻変(ぜいへん)を遂げ、
そのフォーマット開発の先陣を切る。
私の理論を現実のものとした。
講義が終わると3日目の視察。
ささやかな観光からスタート。
この日はあいにくの雪模様。
それでも団員たちは元気に観光を楽しむ。
訪れたのは、グランドゼロ跡地。
現在は「9・11メモリアル」と呼ばれる。
敷地にはさまざまなオブジェがある。
象とウサギがお茶をしている。
気象条件の悪い日は、
入場規制をする。
プールの水も流れていない。
残念。
ここで記念撮影。
浅野秀二先生が声をかけてくれて、
たまたま通りかかった警察官たちも、
一緒に並んでくれた。
グッドジョブ!
店舗視察は、
ウェグマンズから。
アスタープレイス店。
マンハッタン出店1号店。
ワナメイカー百貨店の跡地。
1階と地階の二層店舗。
1階はフードサービス部門。
中央にロの字型の作業場があって、
その周辺にコーナーが配置される。
寿司コーナーが主力だ。
アイテムも多いし、フェースも広い。
鮮度も味も格別のものだ。
壁面沿いにもフードサービスコーナーがずらり。
ホットデリバーやスープバー。
集中レジは1階にある。
一番奥に通常のレジが7台あって、
あとはセルフレジだ。
地下1階へはエスカレーターで誘導する。
もちろん上り下り両方に、
カート専用レーンもある。
階段は使わせない。
精肉売場もチーズ売場も、
冷凍食品やグロサリー売場も、
ウェグマンズそのものだ。
ただしファミリーパックの大容量商品は減らした。
コンシスタントロープライスも、
派手には打ち出さない。
そして話題のシーフード「魚屋」売場。
㈱魚力が協力して日本の魚の売場を再現した。
「日本の魚屋をニューヨーカーたちに広めたい。
やりがいを感じている」
力強い言葉がどんどん出てくる。
ロピアの団員たちは大いに刺激を受けた。
32歳のエイドリアンさん。
来日の際には案内することを約束した。
視察2店目は、
イータリー。
ニューヨーク・フラットアイアン店。
「買う」「味わう」「学ぶ」をコンセプトに、
スローフードを提案する。
延べ床面積は4600㎡。
そのうち半分ほどをカフェやレストランが占める。
昼時には、
イタリアワインを楽しみながら、
ランチをとるニューヨーカーたち。
肉を食べさせるコーナーや、
ワインを提供するコーナー、
パスタレストランなど、
イタリアの食を気軽に楽しむことができる。
食べておいしかった食材は、
その場で買って帰ることができる。
レストランやカフェは、
スーパーマーケットにとって究極の「試食」である。
テーブルの上に生パスタが置かれ、
乾燥させている。
こうした商品化の過程が見えるのが楽しい。
小売りのレジは集中レジだけだった。
それがコロナを経て変わった。
ベーカリーや飲料などの即食ゾーンに、
キャッシュレス対応のセルフレジが現れた。
1階はコーヒー、ソフトドリンク、
それにサンドイッチなどの
コンビニフーズを品揃えする。
2階がメインの売場だ。
左翼がグロサリーゾーン、
中央に生鮮3部門、
そして右翼がデリゾーンに分かれる。
チェックアウトはデリの最後に配置された。
回遊性に富んだレイアウトで、
ホールフーズのノウハウが詰まっている。
生鮮とデリ部門をつなぐチーズ売場。
この店は白を基調にしたデザインで、
洗練されたイメージだ。
右翼のデリゾーン。
ホールフーズ独自のセルフデリが、
これでもかと展開される。
そしてチェックアウト。
完全なセルフレジ。
2列に銀行方式で並ばせて、
アテンダントが公平に誘導する。
日本ではセミセルフが増えているが、
アメリカではセルフレジが普及している。
私たちはイートインスペースでランチ。
相川団長はウェグマンズの寿司を購入してきたが、
それをホールフーズの寿司と食べ比べた。
巻き寿司の比較では、
ウェグマンズに軍配が上げられた。
ニューヨークに来たらぜひ、
実際に食べ比べてほしいものだ。
全米トップのスーパーマーケットの寿司が堪能できる。
最終日の視察はここまで。
雪は降り続いたがあとは自由研修。
ホテルに戻ってから、
みんなそれぞれに行動した。
再び店を見たり、
観光したり、ショッピングしたり。
いい店をつくり、
いい売場をつくり、
いい商品をつくるためには、
いい店、いい売場、いい商品を、
自ら体験しなければならない。
それがロピアのNY研修だ。
(つづきます)
〈結城義晴〉