ゴルフも商売も「心のゲーム」であると思う。
空は青い。
ノースポールの花。
マーガレットに似ているが、
少し小ぶりで、
和名はカンシロギク。
今日はホームコースでゴルフ。
最高のメンバーで、
真剣なラウンドを楽しんだ。
前にも書いた。
岡田卓也さんから聞いた話。
もちろんイオン名誉会長相談役。
今、98歳。
岡田さんがアメリカの会合で、
親しい友人から教えられた。
車椅子の紳士の隣に、
紳士が立っていた。
二人とも同じくらいの高齢者だった。
友人は言った。
「あの車椅子の紳士はゴルフをしない。
立っている紳士はゴルフをする。
だから私もゴルフをするんだ」
ゴルフは健康をもたらしてくれる。
岡田さんもそれ以来、
忙しい仕事の折を見て、
ゴルフを楽しむようになった。
私も岡田さんを見習うようになった。
サミット社長・会長を務めた荒井伸也さんからも、
ゴルフの奥深さを教えられた。
プラネット会長の玉生弘昌さんとも、
ゴルフを楽しむ。
故小森勝さん、浅香健一さん、
そして鈴木國朗さんとは、
1989年に「名人会」を始めて、
それは今も続いている。
目いっぱい仕事をし、
その合間にゴルフを楽しむ。
交流をし、互いに高め合う。
中部銀次郎。
生涯アマチュアを貫いて「球聖」と呼ばれた。
その中部の言葉の中で、
一番、響く一言。
「ゴルフは心のゲームです」
「見えや高望み、あるいは不安や迷い、
これらは心の不純物です」
私は密かに中部銀次郎を師と仰いで、
ゴルフに親しんでいる。
「ゴルフでは、一切の言い訳は無意味です」
ウィンストン・チャーチルは面白い。
「コースでモタモタする奴は、
何をやってもドジを踏む」
ゴルフを中傷する者は、
例外なく、何をやってもドジを踏む。
凄くいい一日だった。
さて日経新聞「私の履歴書」
今月は、
野本弘文さん。
㈱東急会長。
私と同じ福岡県生まれ。
行橋市の商店街の商人の子に生まれた。
実家は酒屋と八百屋。
同級生が原田政照さん。
惣菜チェーンの㈱むすんでひらいてを創業。
原田さんの実家は陶器とお茶の店で、
野本さんの家と同じ商店街にあった。
その縁もあって、
原田さんが商業界ゼミナール運営委員長の年、
野本さんに基調講演をお願いした。
私は商業界の社長だった。
野本さんは早稲田大学理工学部土木学科を出て、
東急電鉄に就職する。
長く宅地開発や不動産業、
ニューメディアなどの子会社を渡り歩いて、
本体の鉄道業には従事しなかったものの、
社長に抜擢され、さまざまな改革を進めた。
野本さんは東急創業者の五島昇さんを師と仰いだ。
「日本小売業協会という団体は
百貨店、スーパー、ショッピングセンター、
専門店といった業態ごとにある
各業界団体が参加している」
「小売業の社会的な地位と発言力を高めたい」
五島昇さんはそう考えて、
1984年から第2代会長を務めた。
初代会長は東京商工会議所会頭の永野重雄さん。
五島さんを尊敬する野本さんも2019年から、
小売業協会の会長を務める。
「就任に至る経緯は忘れられない」
前会長は故清水信次さん。
ライフコーポレーション創業者。
「私が東急の社長だったころ
清水さんに協会の会長を継いでくれと
突然言われた」
「産業界に身分制度みたいなのが残っているのを
何とかしなくてはいけない」
士農工商の序列である。
「もともと五島昇さんが
協会の創設に力をいれたのだから、
お願いしますよ」
ざっくばらんな清水さんの口調。
野本さんは社長で多忙だからと断った。
「私が東急の会長になると
すぐさま連絡があり、
副会長をやってほしいと言われた」
「多くの副会長のうちの一人なのだから
大丈夫だろうと内諾した」
「そして協会の総会の日。
会議に参加し資料をみると、
私の名前のところに副会長と併記して
『会長代行』との文字が……。
全く知らされておらず目が点になった。
清水さんのたくらみだった」
いかにも、清水さんだ。
「代行を1年務めた後、
清水さんの狙い通りに、
私が会長になった」
面白い。
「アジア太平洋小売業者大会」は、
五島昇さんをはじめ、
伊藤雅俊さんや岡田卓也さんが中心となって、
1983年に第1回大会を東京で開催した。
野本会長が開催権を勝ち取って、
その第22回大会が東京で行われる。
再来年の2026年、
10月7日から9日まで、
東京フォーラムで開催される。
今から楽しみだ。
私は清水さんが言っていたことが、
今でも大切だと思う。
産業界に残る身分制度みたいなもの、
士農工商の序列。
これはアジア太平洋の諸国にも、
そして欧米にも存在する。
ウィリアム・シェークスピアは、
「ヴェニスの商人」を書いている。
だからこそ倉本長治は、
真っ先にこれを言ったのだと思う。
「損得より先に善悪を考えよ」
商売も心のゲームである。
〈結城義晴〉
1 件のコメント
「損得より善悪」という概念は難解です。資本主義では、得=善、損=悪ですし、実際、赤字は社会的悪だと、私も思います。
時間軸起点で、目先の損得より長期的損得という視点もありますし、スコープ起点で、部分最適でなく全体最適という視点もあります。しかし、それらは結局、実用主義、功利主義的な発想です。
倉本長治さんが言われてるのは、もっと違う気がしています。