横尾忠則「’70大阪万博・未完パビリオン」のぼやけた輪郭線
Everyone, Good Tuesday!
[2024vol⑱]
2024年第18週。
4月最終週、最終日。
明日から5月。
ゴールデンウィークの合間。
火曜・水曜・木曜と合間の平日があって、
金曜の憲法記念日から、
土曜のみどりの日、
日曜のこどもの日、
月曜の振り替え休日へと続く。
私は前半の3日間は、
自宅で完全休養。
もちろんパソコンに向かって、
原稿を書くことはできるので、
それはやった。
けれど一歩も外へは出なかった。
それでも夏風邪はしつこい。
咳はずっと残った。
熱も36.6℃を下回らない。
平熱まであと0.3℃か。
咳が出るので今日も自宅で原稿。
そして夕方、マスクをして出社。
会社のみんなにうつしてはいけない。
6700字と1万700字の2本の原稿を、
換骨奪胎して書き直した。
頭はシャープだし、
気力は充実している。
商人舎5月号、
ご期待ください。
この3日間で雑誌を仕上げて、
そのあとの4日間で、
風邪を完璧に打ちのめす。
そして1日開けて、
5月8日の水曜日から、
ラスベガスに向けて出発する。
商人舎US研修ベーシック編。
円安がここまで進んで、
派遣企業には負担をかけるが、
それでも大人気の研修だ。
今年は最後にお申し込みの3社には、
お断りしなければならなくなった。
すみません。
かつてはバス2台だとか、
バス3台の編成で実施したことがある。
しかし、ベーシック編は、
バス1台でギリギリ46名。
事務局と私できっちり50名。
マンツーマンで指導する場面もあるから、
これが限界です。
秋にベーシック編を、
もう一度やろうかとも思うが、
スペシャル編は実施したいし、
喜ばしい悩みだ。
アメリカに学ぶものはもうない。
そんな発言をする人もいる。
いや、どんな時代にも、
そんなことを言う人はいた。
しかしそれはおかしい。
ほんの一部の例外の人を除いて、
何しろアメリカの小売業やサービス業は、
楽しい、面白い。
面白い映画を見たり、本を読んだり、
楽しい音楽を聴いたりするのと同じだ。
学ぶなどと考えなくとも、
その楽しい小売サービス業に接することは、
間違いなく人間としてプラスになる。
そして商人舎の研修のように、
目的を明確にして米国と接することは、
極めて有益である。
もちろん米国に限らず、
欧州やアジアも有益であるし、
日本国内も有益である。
ストアウォッチングは楽しい。
45年前に販売革新誌で、
新入社員特集を組んだ時から、
これは私の信念である。
特集は、
「Store Watchingのススメ」
まだ駆け出しの編集者だったが、
大好評を博した。
さて日経新聞巻頭コラム「天声人語」
横尾忠則は1970年の大阪万博に反対だった。
なぜか。
戦時中、多くの画家や作家が、
国威発揚に利用された。
そこでいかなる国家の事業にも加担しない。
そう考える芸術家は多かった。
横尾は万博への参加は承諾したが、
「人類の進歩と調和」というテーマは、
受け入れられなかった。
「なんとか裏切ることはできないか。
任された『せんい館』の構想を練るうち、
建物を未完のまま『完成させる』アイデアを思いつく」
面白い。
「周囲に工事用の足場を残し、
建築のプロセスをそのまま作品として披露する」
当時33歳の若さ。
前衛のグラフィックデザイナー。
そのパビリオンは、
「いま写真で見ても抜群にクールでかっこいい」
同感だ。
「スキーのジャンプ台に似たスロープ状の屋根から、
真っ赤なドームが顔を出す。
同色のパイプで組んだ足場の上には
ヘルメットを被った人形が何体か立っている。
遠くから眺めると、作業中に見えた」
「予算がなくなって放置されたなどと
散々にいわれた」
来年4月に開幕する大阪・関西万博。
意図的ではないが、準備は進まない。
だが、横尾忠則は言う。
「人間は未完で生まれて未完で生きて、
未完で死ぬ。これでいいのではないか」
それでいい。
今日の朝日新聞「折々のことば」
第3072回。
自身の思考の輪郭線は
常にぼやけていたほうが
より良い社会を創ることができる
〈永井陽右(ようすけ)『共感という病』から〉
永井は1991年、神奈川生まれ。
テロ・紛争解決プロフェッショナル。
特定NPOアクセプト・インターナショナル創業者。
「物事はつねに多元的かつ多岐的なもので、
白か黒か、右か左か、
はっきりさせるというのは
賢い選択ではない」
「”共感”がもし、共通項を見つけ、
一体になろうとすることであれば、
それこそが自分たちとは違う人らとの
対立や分断を生む」
「わかりあえないと思い定めておくほうが、
理解の余地は少しは広がる」
これは現在の世界外交の基本だろう。
同時に横尾の「未完のパビリオン」に通じる。
完成させないから、
白か黒か、右か左かは、
はっきりしない。
輪郭線はぼやけている。
そこに活路を求める。
するとより良いものをつくることができる。
面白い。
店も売場も、
すべてがきっちりとしていなくても、
面白いものができる。
ウォルマートは、
わざと一点、外した売場をつくる。
では、みなさん、今週も、
未完でもいい、面白ければ。
Good Tuesday!
〈結城義晴〉
2 件のコメント
分かりあえないまま生きていく、未完のまま生きていく、白か黒かもハッキリさせずに生きていく。そう思うと、なぜか勇気が湧いてきました。ありがとうございます。
生きていくのがいいのです。