結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年05月17日(金曜日)

日本GDP「世界4位転落」とウォルマートの「対面での働き方改革」

時差ボケが治らない。

それからラスベガス研修中に、
風邪引きの名残で、
講義をすると時々咳き込んだ。

帰国してからはまだ、
長時間の講義をしていないから、
それも出ない。

ただし2時間以上も全力で語ると、
多分、咳が出る。

休養をとって、
少しずつ直すしかない。

さて、お知らせ。
商人舎ミドルマネジメント研修会。
スクリーンショット 2024-05-17 160756

第22回の6月4日・5日・6日の研修会。
このホームページ巻頭の告知欄で、
締め切りは5月2日となっているけれど、
若干の席が空いています。

ご派遣のご検討をお願いします。

6月には時差ボケも咳き込みも、
完治しています。

全力を挙げて講義します。
勉強しに来てください。
待ってます。

さて今朝の朝刊。
日本のGDPが世界4位に落ちた話題。

国内総生産、
Gross Domestic Product。

私たちが生徒のころは、
GNP(Gross National Product)で教わった。
国民総生産。

しかしGNPには、
海外での生産活動の報酬などが含まれている。
だから本来の国の生産量を正確に計ることはできない。

1980年くらいからGDPが使われるようになった。

2023年度の日本の名目GDPはドル換算で4.1兆ドル。
150円換算で615兆円。

ドイツは4.5兆ドルだったから、
結局、ドイツに抜かれて世界4位となった。

1位 アメリカ
2位 中国
3位 ドイツ
4位 日本。

物価高で前年度比5.3%増加した。
だが円安で1.3%減少した。

国際通貨基金(IMF)は、
2025年に今度はインドに抜かれると推計する。

しかし私はあまり気にする必要はないと思う。

第1は今、円安がひどすぎる。
円安によってドルベースのGDPは激減する。
1ドル120円あたりで考えるのが妥当だと思う。

第2は国全体の総生産よりも、
国民1人あたりの総生産が大事だ。

2023年段階で日本は3万3800ドルくらい。

世界1位はルクセンブルクの12万9800ドル。

アメリカは8万1600ドル。
ドイツは5万2700ドル。

中国は1万2500ドル。
インドは2500ドル。

亡くなった清水信次さんはよく言っていた。
「日本はまだまだ豊かな国だ。
誇りをもって頑張っていこう」
202212_shimizu-kaichou

その通りだと思う。

政治は低級だが、
国民は優れている。

アメリカのウォルマートのニュース。
第1は働き方改革。

コロナ禍で進んでいたリモートワーク。
ウォルマートは遠隔勤務を縮小して、
オフィスでのリアル勤務を増やす。
従業員に働きかけている。

ウォルマートは考えている。
対面での勤務のほうが生産性が上がる。

日経新聞のニューヨーク特派員の報告。

リモートワークをするアソシエーツの大部分、
それからテキサス州とジョージア州などの、
サテライトオフィスで勤務するアソシエーツ。

彼らにアーカンソーの本社や、
ニューヨーク、サンフランシスコの近郊店への、
転勤や異動を求める通知を出した。

「対面で集まることで
協力やイノベーション、
迅速な意思決定がしやすくなる」

ウォルマートは2020年9月から、
「チームマネジメント」に180度の転換をした。

そしてコロナ禍中には、
リモートワークも取り入れた。

しかし収束に向かった2022年、
本社部門の従業員は原則として、
出社するよう社内ルールを変更した。

今回の措置は、
コロナ前の働き方への復帰を、
一段と進めることに貢献する。

店舗のアソシエーツは、
当然ながらリモートはできない、しない。
20240222_walmart

本部やオフィスで働く人たちも、
対面で仕事するほうが絶対にいい。
気分もいいし、生産性も上がる。

コロナの流行で定着した遠隔勤務が、
企業の生産性を下げているかどうか。
アメリカで議論になっている。

米国内アソシエーツ160万人の同社。
この議論に決着をつけることになるかもしれない。

ウォルマートの第2のニュースは第1四半期決算。

商人舎流通SuperNews。
ウォルマートnews|
第1Q営業収益1615億ドル6%増/EC販売2桁増

2月から4月の第1四半期。
営業収益は1615億ドルで、
前年同期比6.0%の増加。

営業利益は68億ドルで9.6%増、
純利益は51億で205.1%増。

ホーム・デポの第1四半期は減収減益。
外食のスターバックスなども減収。

原因はインフレ疲れだ。
物価は前年同期比3%台半ばの上昇率。
とくに低所得者層に響く。

日本でも同じだ。

そこでウォルマートは、
中高所得層へと客層の拡大を図る。
とくに年収10万ドル以上の高所得世帯を増やす。

そこで新しいプライベートブランドの投入を発表。
ズバリ「bettergoods」

レギュラーブランドは「Great Value」。
対して新PBは高品質・ヘルシーで、
なおかつ5ドル以下の価格設定。

ライフスタイルブランドだ。

トレーダー・ジョーやコストコを狙う。

ダグ・マクミロンCEO。
「食品PBとして過去20年間で最大規模になる。
最新トレンドと最高の品質に焦点を当てる」

もちろん低所得者層はがっちり捕まえている。

ウォルマートとして実に妥当な戦略だ。

オンライン購買の顧客に対しても、
大きく響くに違いない。

ダグ・マクミロン、57歳。
Photo by Iron Lotus Creative / Stephen Ironside
その着眼大局、着手小局。

感心するばかりだ。

〈結城義晴〉


2 件のコメント

  • ウォルマートの貪欲な総取り戦略は、感心するばかりです。何がそのコアにあるのか、ものすごく興味があります。

    • 吉本さん、ありがとうございます。
      ウォルマートのコアにあるもの。
      私の最大の関心の一つがそれです。

      創業者のサム・ウォルトンの志が、
      根本にあることは間違いありません。

      三代目CEOのリー・スコットが言っています。
      「ウォルマートが変わることが、社会を変える」

      二代目CEOのマイク・デュークは、
      「一店懸命」

      ウォルマート史上、
      最も有名なチーフ・インフォメーション・オフィサー(CIO)。
      ケビン・ターナー。
      サムズクラブのCEOでもありました。
      そして、2005年から2016年までマイクロソフトのCOO。

      そのターナーのウォルマート時代の言葉。
      「私たちは世界最大の会社をつくろうとはしていない。
      地域の1店1店を、最良の店にしようとしているだけである」

      サムのDNAが受け継がれていることが、
      ウォルマートの本質だと、私は好意的に解釈しています。

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