アラン「上機嫌療法」の「悪い天気の日にはいい顔をせよ」
朝はゆっくり起きて、
ゆったりと過ごす。
昼ごろには午睡、
3時過ぎにはまた夕寝した。
よく眠ることができる。
少しずつ自分の心身が治癒していくのがわかる。
作家の宇野千代。
若いころは個性的できれいだった。
1996年に98歳で没した。
恋多き女流作家だった。
後輩の瀬戸内寂聴にたびたび、
アランの言葉が好きだと言っていた。
寂聴がそれを弔辞で披露した。
「世にも幸福な人間とは、
やりかけた仕事に基づいてのみ
考えを進めていく人であろう」
やりかけた仕事があること。
日々、それだけに集中して、
さまざまな考えを進めていくこと。
今の私も同じ状況にある。
だからアランと宇野千代に共感した。
『定義集』で著名なアラン。
エミール・オーギュスト・シャルティエ。
「20世紀のソクラテス」と称された。
フランスの哲学者。
アランはペンネーム。
そのアランの『幸福論』
訳者が串田孫一と中村雄二郎という、
贅沢な本だ。
串田は詩人、随筆家。
中村はパスカルの研究者で哲学者。
「仕事というものが、
心を楽しませる唯一のものであり、
それだけで十分である」
本当にそう思う。
徒刑囚たちは労働している。
その仕事はおよそ無益なものである。
なんの期待もなく働いているかぎり、
彼らは怠け者で、もの悲しく、不器用である。
だが一日がかりの仕事、
つらく困難な仕事を与えると、
たちまち彼らは器用で、巧妙で、陽気になる。
ドストエフスキーがシベリア流刑された時の、
四年間にわたる獄中の体験と見聞の記録。
「役に立つ仕事はそれ自体楽しみである。
それ自体なのであって、
そこから引き出す利益によってではない」
「人間的な楽しみの最大のものは、
協働でやる困難で自由な仕事であることは
まちがいない」
だからウォルマートは、
テレワークを廃止し、対面での仕事に変える。
CEOダグ・マクミロンは言う。
「対面で集まることで
協力やイノベーション、
迅速な意思決定がしやすくなる」
「協働」や「協力」が、
仕事そのものをより楽しいものにする。
アラン。
「私のいう仕事とは、
力の結果であると同時に、
力の源泉でもある、
自由な仕事のことである」
「繰り返して言うが、
いやいやながらがまんするのではなく、
行動することである」
これにも同感。
アランのお薦め。
「ぐっすり眠って、
よく食べよ」
私は今、そうしている。
アランの「上機嫌療法」
「呪いの言葉でも言いたくなるような
すべての不運や、
取りわけてつまらぬ物事に対して、
上機嫌にふるまうこと」
だから教える。
「悪い天気の日には、
いい顔をすること」
「笑うのは幸福だからではない。
むしろ、笑うから幸福なのだ」
アランの上機嫌療法。
今日はこれだけで幸せだ。
〈結城義晴〉
2 件のコメント
やりかけた仕事、乗りかかった船、読みかけの本。
なんかいいです。これからどうなるかわからない、冒険中のワクワク感があります。
やりかけた仕事を成就させようとしているプロセスこそ、
幸せなときなのだと思います。