井上淳の「窮屈な世界」と伸びる惣菜の「本当の危機」
イラン・イスラム共和国大統領。
セイエド・エブラヒーム・ライシ、63歳。
ヘリコプターの墜落によって死亡した。
こんなことが起こるのか。
一国のトップの墜落死。
イランに対して米国は経済制裁をしている。
物価は急上昇し、国民は生活苦境に陥っている。
そんな社会不安が募る中での大統領の死。
1979年、アヤトラ・ホメイニ師によって、
イラン革命が成就した。
皇帝による王政は廃されて、
宗教上の最高指導者が、
国の最高権力をもつ体制になった。
しかしそのイランのサッカー代表チームは、
現在、FIFAランキング世界第20位。
24位のジャパンの上にあって、
アジアナンバー1。
私たちから見ると、
不思議な国だ。
アランの「定義集」で、
[宗教]に関してアランは言う。
「宗教は哲学ではない。
それは一つの歴史なのだ」
宗教が支配する国。
宗教がリードする国。
私たちはその歴史を、
認めなくてはならない。
今日は1日、横浜商人舎オフィス。
井上淳(あつし)さんが訪ねてくださった。
日本チェーンストア協会副会長を、
先週の総会で退任されて、
今はサポート企画ラボ代表、
開志専門職大学客員教授。
井上さんは2008年7月から、
2024年5月まで16年間、
日本チェーンストア協会の専務理事・副会長だった。
東京大学法学部卒業後、
通商産業省(当時)に入省し、
流通、消費者保護から、
エネルギー、経済協力、貿易金融、
中小企業振興などまで、
幅広く行政分野に携わった。
その後、チェーンストア協会に転じて、
協会運営の中枢を担った。
その間に東日本大震災があった。
COVID-19パンデミックも起こった。
大変な時代だった。
ライフコーポレーションの故清水信次さん、
カスミの小濵裕正さんなど、
専務理事として支えた会長の話に花が咲いた。
月刊商人舎2022年7月号には、
特集の中に登場してもらった。
井上淳の独白
時代の「八方ふさがり」と転換期のチェーンストア
井上さんの現在の時代の見方。
「今、流通業にとって、
窮屈な世界になりつつある」
自由にやれる環境が広がるかのように見えるが、
じわじわと選択肢は狭まっている。
同感だ。
こんな時代だからこそ、
井上さんのキャリアと見識は、
まだまだ産業にお役立ちするに違いない。
その機会はあるだろう。
ひとまず、言っておこう。
お疲れさまでした。
さて商人舎流通SuperNews。
日本惣菜協会news|
2023年度惣菜市場11兆円/食品スーパーがシェア伸ばす
一般社団法人日本惣菜協会の調査。
2023年度の惣菜市場規模は10兆9827億円。
前年比104.9%で伸びている。
11兆円が目前となった。
コロナ前の2019年に比べても、
106.4%で完全復調。
業態別の構成比では、
トップはコンビニの3兆4631億円、
構成比31.5%。
二番目がスーパーマーケット、
3兆2586億円で29.7%。
三番手が惣菜専門店で、
2兆9426億円、26.8%。
しかし伸び率は、
スーパーマーケットが105.7%、
コンビニ105.6%、
総合スーパー104.4%。
わかる。
調査は100 社、6万8683店。
「2024年版惣菜白書」の巻頭言にある。
「コロナ禍で巣ごもり消費が増え、
ライフスタイルが大きく変化した。
消費者も賢くなっている。
中食も外食も進化しないと、
以前のままでは選ばれない。
大きな変化はビッグチャンスでもある」
惣菜マーチャンダイジング第一人者の「大警告」
惣菜の本当の危機
林廣美の警告。
「売上げが小さい時の惣菜は、
値入れが大きいから儲かる商品でした」
「しかし世の中が惣菜ブームと化した今では、
値入れがあるから少々のロスは気にせずに
大きな売場をつくり、
『最後は半額にして残ったら捨てればいい』
という商売道に反した売場に
なってしまっています」
「近い将来、このしっぺ返しが来ることを
私は心配しています」
「『酸化』がこのしっぺ返しを早める
導火線になっていることを
知ってほしいと思います」
ここでも人間万事塞翁が馬。
いいことが起こると、
それが原因となって悪いことが起こる。
惣菜の原理をこそ、知らねばならない。
〈結城義晴〉
2 件のコメント
料理ができなくなった高齢者、二人とも正社員のカップルなどを考えた時、たまに食べる惣菜ではなく、毎日、食べる惣菜が期待されます。飽きのこない惣菜売場を、望みます。
吉本さん、ありがとうございます。
小売業が提供する惣菜の役割は重くなるばかり。
だからこそ「危機」を乗り越えてもらいたいと思います。