日本スーパーマーケット協会設立25周年「正副会長討論会」
一般社団法人日本スーパーマーケット協会。
設立25周年を迎えた。
感慨深い。
1999年7月12日、この協会が設立された。
故中川昭一農林水産大臣が、
退任することが決まっていた。
その中川さんの肝いりで、
日本スーパーマーケット協会が発足した。
故清水信次さんが創設者であり、
初代会長だった。
当時は日本セルフ・サービス協会があり、
オール日本スーパーマーケット協会があった。
日本チェーンストア協会の中にも、
スーパーマーケット部会があった。
だから「屋上屋を重ねるごとし」と、
一部から反対意見も出た。
けれど清水さんは、
スーパーマーケット産業には、
ポリティカルな団体が必須であると考えていた。
そこで新しい協会をつくることにした。
私もそれには賛成だった。
「政治と宗教には口を出さない」
故倉本長治商業界主幹も、
故渥美俊一先生も、
それが商人であり、
チェーンストアであると言っていた。
しかし清水さんは違った。
1998年の第142回通常国会で、
「大規模小売店舗立地法」が制定されて、
1973年制定の大規模小売店舗法は、
25年の歴史を閉じることになっていた。
大型店を規制するという考え方から、
大型店と地域社会との融和を図るという思考法に、
大きく転換するときだった。
政治的に動かねばならないときだった。
清水さんの動きは速かった。
私は㈱商業界の取締役食品商業編集長、
47歳だった。
清水さんからご指名を受けて、
記念講演をした。
「スーパーマーケットよ、永遠なれ」
今も手元にレジュメが残っているが、
もっとポリティカルな話をすればよかった。
協会は活発な活動を展開し、
協会としての存在感を高めていった。
私はその後も、
総会後のパネルディスカッションでは、
10年くらい続けて、
コーディネーターを担った。
2009年には川野幸夫新会長となった。
設立10周年の記念式典のときには、
パネラーは清水名誉会長と川野会長、
横山清新日本スーパーマーケット協会会長、
そして亀井淳日本チェーンストア協会会長だった。
テーマは「今後の10年間を展望する」
2011年のパネルディスカッションは、
「東日本大震災」後の産業の戦略を討論した。
パネラーは清水さんと川野さん、
それから平富郎さん、齋藤充弘さん、
夏原平和さん、
そして横山さんの豪華なメンバー。
創立20周年のパネルディスカッションは、
パネラーは岩崎高治さん、川野澄人さん、
平邦雄さんだった。
このパネルディスカッションは、
月刊商人舎2019年12月号に、
全面掲載した。
[特別パネルディスカッション]
「我ら、未来を拓く!!」
今、読み返しても、
実にいい内容だ。
このあとコロナパンデミックが起こった。
そして昨2023年、会長が変わった。
岩崎高治新会長が誕生し、
6人の副会長が生まれた。
そして25周年を迎えた。
25周年記念パネルディスカッション。
テーマは、
「流通業界の展望と協会の取り組みについて」
議事には7項目が挙げられた。
⑴2024年度の協会の取り組みについて
⑵食品物流の効率化に向けた取り組みについて
⑶人手不足対策としての外国人材の受け入れについて
⑷年収の壁対策と年金制度改正に向けた意見集約について
⑸生産性向上・標準化の取り組みについて
⑹環境に関する取り組みについて
⑺製・配・販および団体の連携について
1時間半のディスカッション。
司会は江口法生さんが務めた。
日本スーパーマーケット協会専務理事。
堂々としていた。
冒頭に江口さんが、
協会の事業方針と取り組みについて、
近況を報告した。
そして一人ずつ登壇し席に着く。
冒頭は岩崎高治協会会長、
㈱ライフコーポレーション社長。
パネルディスカッションを開催した経緯を、
ユーモア交えて語った。
その後、昨年から副会長を務める6人のトップが、
各社の取り組みを語った。
サミット㈱服部哲也社長。
昨年3月に発足した首都圏SM物流研究会では、
協働に対して最初に声を挙げた。
「24年問題」対策の立役者の一人。
㈱平和堂平松正嗣社長。
滋賀県から駆け付けたが、
線状降水帯の豪雨で新幹線が一時止まった。
それを乗り切って、壇上に上がり、
年収の壁対策と年金制度改正問題、
環境問題を丁寧に語った。
㈱マルエツ古瀬良多会長。
外国人材の受け入れとフードロス問題を、
マルエツのデータをもとに、
わかりやすく話してくれた。
㈱万代阿部秀行社長。
物流問題と先端技術の活用による生産性向上問題を、
的確に語った。
㈱ヤオコー川野澄人社長、48歳。
登壇者では最年少だが、2013年4月に社長に就任。
社長歴は岩崎さんに次いで長い。
外国人材問題と年収の壁問題を、
いつものようにクールに話してくれた。
最後に㈱ラルズ猫宮一久副会長。
5月28日付けで㈱アークスの社長COOに就任。
事業会社のラルズでは副会長を務め、
後任の松尾直人社長をサポートする。
北海道ならではの物流問題と、
外国人材の受け入れ問題を、
アークスやラルズの事例をもとに、
丁寧に報告した。
いずれも地に足の着いたコメントだった。
今回のパネルディスカッションも、
月刊商人舎7月号で全面展開する。
私の「述懐」も書き込む予定だ。
25年前、20年前、10年前の討論会とは、
大きく変わった。
かつては夢のある創業者たちの語り合い。
現在は力のある「実務家」たちの討論会。
時代の変革を感じながら、
私は心地よい時間を過ごした。
(明日の記念懇親会編に続きます)
〈結城義晴〉
2 件のコメント
夢のある創業者たちと、力のある「実務家」たち。バトンリレーの理想形です。ワクワクします。
吉本さん、ありがとうございます。
成長する企業の共通点ですね。