「民主主義の多数決」を考察しつつ「暑中」お見舞い申し上げる
二十四節気の小暑。
「しょうしょ」と読む。
明日は七夕。
暑中見舞いを出す時期は、
小暑が過ぎて立秋までの間。
毎月トップの皆さんにレターを送っている。
7月の冒頭のあいさつは、
「暑中お見舞い申し上げます」とした。
小暑はまだ梅雨の間だが、
暑い、暑い。
今日は一歩も外に出なかった。
暑中、お見舞い申し上げます。
さてイギリスでは、
下院の総選挙が行われた。
二大政党制のイギリスだが、
野党だった労働党が、
6割を超える議席を獲得して圧勝。
労働党キア・スターマー党首が、
首相に就任した。
14年ぶりに保守党から政権を奪還。
トニー・ブレアが1997年から2007年まで、
ゴードン・ブラウンがさらに2010年まで、
労働党党首として首相に就任していた。
それ以来だ。
毎日新聞巻頭コラム「余録」
スターマー評。
「スターマー氏は派手なパフォーマンスをせず、
“退屈”とすら評される堅実さが持ち味だ」
「経済成長重視の中道寄り路線を掲げ、
産業国有化の公約取り下げなど
党の左派色を修正しての勝利だ」
これは日本の野党にも必要だろう。
「結局、保守党政権の14年は
欧州連合(EU)からの離脱を巡る迷走と、
その後遺症に終始したということだろう」
「ジョンソン元首相のスキャンダルや
50日で終わったトラス政権など、
混乱も続いた」
一方、「6人のレームダック」の話。
原語は「足の不自由なアヒル」。
それが「死に体の政治家」の意味で使われた。
今年の6月13日と14日に、
イタリアのプーリアで開催されたG7サミット。
先進7カ国の首長とEUの大統領&委員長で9人。
米国メディアのPOLITICOが報じた。
このG7は、
「史上最も弱い指導者の集まり」であり、
イタリアのジョルジャ・メローニ首相以外は、
「レームダックだ」、と。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領、
イギリスのリシ・スナク首相。
ドイツのオラフ・ショルツ首相、
カナダのジャスティン・トルドー首相、
アメリカのジョー・バイデン大統領、
そして日本の岸田文雄首相。
余録。
「スナク英首相の退陣で、
さっそく退場者が出た」
「米国のバイデン大統領は討論会の失敗で、
大統領選の候補交代論に直面」
「内閣支持率が低迷する岸田文雄首相は
秋の自民党総裁選への出馬を
まだ表明していない」
スナク44歳、マクロン46歳、
トルドー52歳、
ショルツと岸田が66歳、
そしてバイデンが81歳。
あっちでもこっちでも、
老いも若きも、
為政者たちは危機的な状況を迎えている。
フランス総選挙の決選投票は明日7月7日。
極右政党が躍進している。
一方、日本では、
東京都知事選が同じく7月7日。
世界中が政治の季節だ。
けれどその世界の政治が、
ことごとく大停滞している。
独裁以外の政治は基本的に、
多数決で為政者が決まる。
そして政治家はこの多数決を得るために、
全精力を傾ける。
ここに問題があると思う。
もし企業の経営の場合も、
多数決でトップを決めるとしたら、
多分、混迷を極めるに違いない。
オーナーシップ経営に強みがあるのも、
多数決ではないからだ。
それを政治に持ち込んでいるのが、
習近平であり、プーチンであり、
金正恩である。
これでは民主主義はかなわない。
したがって多数決の民主主義においては、
圧倒的に支持を集めるトップでなければならない。
そんな為政者の登場が待たれる。
「力のない正義は無力である。
正義のない力は暴君である」
「力のない正義は反対される。
なぜなら、いつの時代でも
悪人というものがいるからだ」
「正義のない力は非難される」
「したがって正義と力は、
一緒にしておかなければならない」
「そのためには、
正しいものが強いか、
力のあるものが正しいか、
どちらかでなければならない」
今、世界の政治は、
このどちらでもない。
「レームダック」だからである。
そこに不幸がある。
商売の世界も、
経営の世界も、
良い経営は同じである。
正しいものが強いか、
あるいは強いものが正しいか。
チェーンストアにおいても、
製造業や卸売業においても、
成長している企業は、
必ずそのどちらかである。
〈結城義晴〉
2 件のコメント
正義にも優しさにも力の裏付けが必須だと思います。
力の定義がまた難しいのですが、「説得力」かと、私自身は思っています。身なり、声、論理、情熱、言動、それら全てをひっくるめたものから発現される説得力かと。
パスカルが言うのは権力や武力のことです。
現代社会の会社組織では説得力と実績でしょうね。