大阪出張/北新地siaの絶品料理とヒュームの「人間本性論」
Everyone, Good Monday!
[2024vol㉘]
2024年第28週。
7月2週目に入った。
小暑となり、七夕も過ぎた。
いよいよ本格的な夏だ。
午前中は家で原稿書き。
新横浜を2時過ぎの新幹線で出発。
あの頂上のあたりに、
多くの登山者がいるのだろう。
平富郎さんは今の私と同じ年に登った。
私は56歳だった。
あれから15年が過ぎる。
富士を見るといつも思い出す。
新幹線はずんずん進んで名古屋を過ぎ、
いつもの伊吹山。
稲田が美しい。
そして新大阪に到着。
暑いけれど元気です。
ホテルに入ってから、北新地へ。
KITASHINCHI sia。
鉄板焼きのお店。
看板が出ていないのでわかりづらいが、
開店して1周年を迎え、
固定客がついてきた。
一品目は旬の鮎とキュウリ、ナスを、
春巻きのように巻いて焼き上げた逸品。
いぶりがっこのタルタルソースでいただく。
イカとヒラ貝とウニのカクテル。
背の高いグラスのような器に盛りつけられて、
美しいし、旨い。
シェフの宮脇和也さん。
実に丁寧な仕事を目の前で見せてくれて、
何ができるのだろうと期待が高まる。
フォアグラを少しずつ、
甘いトウモロコシスープに絡めながらいただく。
フォアグラとコーン、見事にマッチする。
出来上がったのがこれ。
ふわふわとした甘い身と、
パリパリとしたと頭としっぽの食感。
塩でさっぱりといただく。
焼き上げたアワビに肝ソース。
石の皿にアルコールを振りかけて、
温めて提供してくれた。
いよいよメインの田村牛。
故安倍晋三首相が、
トランプ大統領を接待したときに、
出された牛肉だ。
脂身が少なく、
肉本来のおいしさを味わえる希少牛。
ナスとヤングコーンとエリンギ、ニンニクを添えていただく。
ヤングコーンはひげ付きのまま焼いた。
すべておいしかった。
最後に自家製のプリンが出て、
すべて平らげて大満足。
㈱アドバンスの磯田雅人社長ご夫妻と
㈱今津の今津龍三会長ご夫妻が、
近くで会食していたと言って、
立ち寄ってくれた。
全員で、写真。
私の隣から磯田ご夫妻、今津ご夫妻、
JTBの小阪裕介さんと亀谷しづえGM。
大阪の暑さも忘れるほどだった。
朝日新聞「折々のことば」
第3137回。
人間は……
諸対象について判断するのに、
その内在的な価値からではなく、
比較によって行なうのが常である。
(デイヴィッド・ヒューム)
「一方の手を温め、片方の手を冷やしておくと、
同じ水が冷たくも温かくも感じられるように、
激痛の後に続く軽い痛みは快くさえ感じられ、
軽い痛みの後に続く激痛は、
『二倍つらく不快なもの』になる」
「人の判断はそうした力学に支配されている」
1711年生まれ、1776年没。
スコットランドの哲学者。
高校の倫理社会の上田先生が、
ジョン・ロックやフランシス・ベーコン、
トマス・ホッブズの次あたりで、
ヒュームを教えてくれた。
代表的な経験論者であり啓蒙思想家。
たとえ話がとてもいい。
激痛の後に続く軽い痛み、
軽い痛みの後に続く激痛。
最近の料理は柔らかすぎる気がする。
柔らかい肉がイコール美味しいとなる。
しかし一方の手を温め、
片方の手を冷やしておくと、
同じ水が冷たくも温かくも感じられる。
料理の極意もここにある。
siaの美味しい鉄板焼きを経験して、
それを感じた。
二人のシェフにもそれを伝えた。
二人ともよくわかっていた。
ご馳走様。
ありがとう。
では、みなさん、今週も、
丁寧に仕事を。
Good Monday!
〈結城義晴〉
2 件のコメント
料理だけでなく、仕事の現場も柔らかくなっているかもしれません。
痛みを伴う世界に自分で飛び込める人間しか、成長できなくなってるように思います。
自分の成長は自分で責任を持つしかないという、あるべき姿かもしれませんが。
凄い洞察ですね。同感です。
なんでも柔らかいものがいいとされると、
いけませんね。
逆に固いばかりもいけません。
ヒュームが言うのはそのあたりのことです。