岸田文雄首相の自民総裁選不出馬とお盆時期に思う「命の大切さ」
岸田文雄首相が退陣する。
9月の自民党総裁選挙に出馬しないことを、
首相官邸の記者会見で表明した。
〈首相官邸ホームページより〉
「今回の総裁選挙では、
自民党が変わる姿、新生自民党を
国民の前にしっかりと示すことが必要です」
「そのためには、透明で開かれた選挙、
そして何よりも自由闊達(かったつ)な論戦が重要です」
「その際、自民党が変わることを示す
最も分かりやすい最初の一歩は、
私が身を引くことであります」
「私は、来る総裁選には出馬いたしません」
「総裁選を通じて選ばれた新たなリーダーを、
一兵卒として支えていくことに
徹してまいります」
岸田文雄が身を引けば、
自民党が変わるのか。
論理的なつながりは、
まったくない。
政権発足から1046日。
在職期間は戦後8番目の長さ。
戦後の首相の在位期間。
1 安倍晋三 3188日
2 佐藤榮作 2798日
3 吉田 茂 2616日
4 小泉純一郎 1980日
5 中曽根康弘 1806日
6 池田勇人 1575日
7 岸 信介 1241日
この次が岸田文雄1046日。
次が橋本龍太郎 932日、
田中角榮も886日と意外に短い。
期間は8番目に長いが、
成し遂げた成果と存在感は、
希少で希薄だった。
麻生太郎は358日に過ぎない。
朝日新聞。
7月末、岸田は周囲に弱音を吐いた。
「来秋までには衆院選も参院選もある。
状況を変えたい議員心理はあるよな。
複雑だ」
「総裁選で勝っても、
衆院選で勝つのは難しい」
これが本音だったのだろう。
後見人の麻生太郎副総理は、
直接言った。
「世論調査の支持率を考えた方がいい」
岸田首相が自ら派閥解消を断行した。
しかし麻生派だけは解散しなかった。
パリ五輪が終わって、
8月15日の終戦記念日がやってくる。
お盆期間とはいえ、
不出馬の表明は14日しかなかった。
自民党も政治家も、そして国民も、
関心は誰が次の総裁になるか。
それだけ、「次」が期待されていて、
「今」に望みが薄いと考えているということだ。
何よりも政治に対する信頼が薄れている。
「次」の方にはそれを取り戻してほしいものだ。
さて、お盆の最中。
8月13日が盆の入り、
16日が盆の明け。
今夏の帰省者は昨年以上だとか。
お盆にはいつも「命」のことを考える。
8月15日は終戦の日である。
新潟日報の「日報抄」
暑かろう淋(さび)しかろうと墓洗う
〈大野初枝〉
墓参りをする人も多いだろう。
2023年の日本人の平均寿命。
「女性が87歳台で世界1位、
男性は6年短い81歳台で5位である」
寿命が延びたのは3年ぶり。
新型ウイルス感染症によって、
国内では4年前から多くの人が亡くなった。
しかし平均寿命は、
伝染病とともに戦争に影響される。
1947年の日本の平均寿命は、
男性が50歳台、女性は53歳台、
戦禍の影を引きずっていた。
それがわずか5年後には出生数も急増し、
平均寿命は男女ともに60歳前後になった。
平和が寿命を約10年も延ばした。
平均寿命が70歳を超えたのは、
女性が1960年、男性が1971年。
さらにが80歳を超えたのは、
女性が1984年、男性は2013年。
今、パレスチナ自治区ガザでは、
戦闘開始から10カ月で死者が4万人に迫る。
そのなかで児童・生徒の死者は1万人を超えた。
一方、ロシアに侵攻されたウクライナ。
今年上半期の死亡者は、
戦闘の犠牲者を含めて約25万人。
出生数の3倍にも上った。
コラム。
「戦地の平均寿命は日々短くなる。
世を去った人々の弔いは
満足にできているだろうか」
「このお盆の墓参りは
遠い戦地の犠牲者にも思いをはせ、
手を合わせたい」
同感だ。
パレスチナやウクライナで亡くなった人たちが、
寿命をまっとうしていたら、
どんなに素晴らしいことができただろう。
太平洋戦争の死者数は、
日本軍の軍人が230万人、
内地での戦災死者数は約80万人。
総数310万人が犠牲になった。
その人たちが生き通していたら、
どれだけのことをしただろう。
私たちの父母や祖父母の時代に、
思いを馳せる。
それがお盆の時期の私たちの在り方でもある。
一番大切なのは、
命である。
それは間違いない。
人の命を大切にする政治家に、
私たちのリーダーになってもらいたい。
小売業や消費産業は、
その命を守ることを使命としている。
私たちはそのことを噛み締めたい。
〈結城義晴〉
2 件のコメント
次の方は、内側(自民党内)の評判ではなく、外側(国民)の評価で選んで頂きたいです。それができるようであれば、まだ自民党の自浄作用を信じることもできるように思います。
吉本さん、まったく同感です。