日曜日の絵本「うんちっち」
娘がふたりやってきた。
2歳の子と10カ月の子。
絵本を読んでほしいとねだられたので、
これを読んであげた。
うんちっち。
フランスで育ったアメリカ人。
ステファニー・ブレイクさん。
ふしみみさをさんの訳がとてもいい―――。
むかし むかし
あるところに、
うさぎのこが いました。
うさぎのこは
ことばを たったひとつしか
いえませんでした。
それは……
あさ、あかあさんが
「ぼうや、おきなさい!」
と、いっても。
「うんちっち」
おひる、おとうさんが
「ちびすけ、ほうれんそうを おたべ!」
と いっても。
よる、おねえさんが
「ちびくん、おふろに はいろう!」
と よんでも。
「うんちっち」
――ところがこの「うんちっち」に、
事件が起こります。
あるひ、オオカミが やってきて、
うさぎのこに いいました。
「ぼうやを たべても
いいかい?」
うさぎのこは こたえました。
「うん ちっち」
オオカミは
ぺろりとひとくち、
うさぎのこを
たべてしまいました。
――あらあら、たいへん。
オオカミが いえに かえると、
おくさんが いいました。
「おかえりなさい、あなた」
オオカミは こたえました……
――あれあれ? オオカミは、
うさぎのこになっちゃったのかな?
しばらくすると、
オオカミは たいそう
きぶんが わるくなって、
おいしゃさんを よびました。
おいしゃさんは いいました。
「くちを あけて、アーと
いってごらん」
ところが オオカミがいった ことばは・・・
「うんちっち」
――やっぱり。
おいしゃさんは びっくりして
とびあがりました。
「きみは、うちの むすこを
たべたね!」
――おいしゃさんは、
うさぎのこのおとうさんだったんです。
おいしゃさんは、
オオカミのおなかから、
うさぎのこを みつけだして、
さけびました。
「ああ、ぼくの
だいじな
うんちっち!」
うさぎのこは
おどろいたように いいました。
「おとうさんったら なに いってるの?
ぼくは シモンだよ。
しってるくせに!」
――うさぎのこは、いろんなことばで、
おはなしができるようになっていました。
いえに かえると、
おかあさんが まっていました。
「ちびちゃん、スープを おたべ!」
うさぎのこは
うれしそうに こたえました。
「うん! わあ、これ すごくおいしいね」
ところが つぎのあさ、おとうさんが
「ちびすけ、はを みがきなさい!」
というと、
うさぎのこは・・・
「オナラブー!」
と こたえましたとさ。[おしまいっ]
――ありがとう。
〈結城義晴〉
2 件のコメント
子供のカオスぶりがよく出てる童話ですね笑
面白いです。