ドジャースの「団結」と「デモクラティックな組織」
Major League Baseball。
略してMLB。
ドジャースの中心選手ムーキー・ベッツ。
本名はMarkus Lynn Betts。
テネシー州ブレントウッド出身。
頭文字が「MLB」になるように名づけられた。
そのMLBの最後の7戦。
ナ・リーグとア・リーグの対決なのに、
ワールドシリーズと呼ぶ。
日本のセリーグとパリーグは、
日本シリーズ。
ならばMLBはUSAシリーズだろうが、
内容はやはりワールドシリーズだ。
世界中の優れたベースボーラーが集まっている。
大谷翔平も山本由伸も、
日本の最高峰の野球選手だ。
そのワールドシリーズ第3戦。
あっさりとドジャースが勝利した。
大谷は第2戦で左肩を亜脱臼した。
それでも1番指名打者で出場して、
5打数2出塁。
初回の四球での出塁は、
3番フレディ・フリーマンの本塁打で、
2得点に貢献した。
大谷もフリーマンも、
どちらも見ていて痛々しい。
大谷は左肩をサポーターでカバーし、
痛み止めを飲んで、
丁寧なバットスイングだ。
走るときにも左手は襟元を持って、
左肩に負担がかからないようにしている。
それでも大谷翔平が出場して、
ナインは奮い立った。
団結した。
キャッチャーのウィル・スミスも、
闘志をむき出しにした。
結局、4対2の快勝。
これでヤンキースに対して、
王手をかけた。
あと1戦で終わりか。
もっと見ていたい気もするし、
大谷の亜脱臼を考えると、
すぐに終わってほしい気もする。
さて毎日新聞巻頭コラム「余録」
民主主義を語る。
「平等な選挙権と多数決の原則を
組み合わせただけで
利益を平等に配分できるわけではない」
「勝者総取りのシステムでは
恒久的な少数派を生む可能性もある」
アメリカ大統領選挙の仕組みが、
州ごとの勝者総取りシステムである。
ジェーン・マンスブリッジ博士。
ハーバード大学ケネディ・スクール教授。
民主主義研究で知られる女性学者、84歳。
「話し合いや議論で最善の答えを見つける前に
多数決で決着をつけようとする政治のあり方を
『敵対的民主主義』と呼んだ」
今、展開されている米国大統領選は、
醜い敵対的民主主義だ。
日本の衆議院総選挙も、
敵対的民主主義だった。
対して、
「異なる意見に耳を傾け、
立場を修正していく議論は
『熟議民主主義』と呼ばれる」
ユルゲン・ハーバーマスが唱えた。
ドイツの政治哲学者。
サミット社長・会長だった荒井伸也さん。
『サミットスタディ』の中で言った。
「経営はデモクラティックでなければならない」
つまり会社は、
民主主義的でなければならない。
同感だ。
それも「敵対的民主主義」ではなく、
「熟議民主主義」である。
故渥美俊一先生はチェーンストアを、
「経済民主主義」を実現させるための、
方法論と位置づけた。
ここで使われる「経済民主主義」は、
チェーンストアの社会性や公平性を意味していて、
言葉を単純にとらえたものだ。
この概念は1928年にはじめて、
フリッツ・ナフタリが『経済民主主義』と題して、
多くの研究者の議論をまとめた。
ナフタリはユダヤ系ドイツ人の経済ジャーナリスト。
ドイツ・ワイマール共和国時代の、
「労働組合運動の理論」である。
「経済民主主義とは、
経済的諸関係の民主化によって、
政治的民主主義を仕上げること」
故上野光平先生は、
このナフタリのことを指摘したうえで、
「経済民主主義」を渥美流に、
言葉通りに受け取ることも、
「まぁ、良しとしよう」と、
あきらめ顔で述懐した。
民主主義にも様々な概念がある。
「democracy」の語源は古代ギリシャ語だ。
dēmokratía(デーモクラティアー)。
「人民・大衆」などを意味するdêmos(デーモス)と、
「権力・支配」の意のkratos(クラトス)を、
組み合わせた造語である。
デモクラシーも「オクシモロン」なのだ。
「破壊的創造」などと同様に、
相反する言葉の組み合わせである。
組織が「人民 (people)」によって、
意思決定される統治システムである。
エイブラハム・リンカーン。
“The government of the people,
by the people, for the people”
国も会社もチームも、
小さければ直接的に、
大きければ間接的に、
democraticであるのがいいと思う。
〈結城義晴〉
2 件のコメント
渥美さんは「経済民主主義」の実現を目指されましたが、企業経営自体は、熟議型というよりも、強力なトップダウンを前提とされていたように思います。断言型の文体でそう思わされていただけでしょうか。
その通りです。
マネジメントは古いアンリ・ファヨール型です。
「経済民主主義」も本来の学術的な意味とはまったく違っていて、
勝手な解釈でした。