兵庫県知事選の「敗者は既存のもの」とチラシ販促の今後
ここのところ日曜日は毎週、
何らかのイベントがあって、
出かけることが多かった。
けれど今日は一日中、
家にいて体を休めた。
背中などが少し痛い。
兵庫県知事選挙が投開票された。
斎藤元彦前知事が失職して、
空席となった知事職の選挙。
ワイドショーなどで連日、
批判報道があったが、
私はこのブログでは、
一度も取り上げなかった。
斎藤前知事は9月にパワハラ疑惑などを、
内部告発された。
その告発者の局長が自殺した。
その後、県議会は、
全会一致で不信任決議をした。
斎藤知事は失職して出直し選挙に臨んだ。
告発文書によって混乱を招いたことは謝罪し、
告発者を特定して懲戒処分とした判断は、
妥当だったと主張し続けた。
若者向け施策と行財政改革の実績を主張し、
ソーシャルネットワークを積極的に活用して、
若者や無党派層の支持を広げた。
過去最多の7人が立候補し、
投票率は55.65%と前回の41.1%を、
15%近く上回った。
結果は、大方の予想を覆して、
斎藤前知事が返り咲いた。
真相はわからない。
何か不思議な現象が起こっている。
日経新聞の記事に対する短いコメント。
投稿者が自身で考えたことが掲載される。
加藤雅俊関西学院大学経済学部教授。
兵庫県の住民で選挙権をもっていた。
「兵庫県民は、今回の選挙は
とても難しい判断を迫られたと思います。
私は県民の一人として、
各種メディアの情報のうち何が正しく、
何が間違っているのかについて精査して、
どの候補者が知事として相応しいか
真剣に考えました」
「以前と違って、
既存のメディア(テレビ、新聞など)だけでなく、
SNSを中心としたさまざまな情報源から、
迅速にさまざまな情報を
得られる時代になりました。
社会の情報リテラシーが向上し、
メディアの偏った報道があったとしても、
それに流されることが
少なくなったのかもしれません」
「県民としてみれば、自分たちのリーダーは
自分たちで決めるという強い思いを持ち、
真剣に政治に向き合う
良い機会になった気がします」
既存のメディアと、
新しいSNSのメディア。
その闘いだった。
室橋祐貴「日本若者協議会」代表理事。
「ネットが主流化し、
若者・現役世代の支持をいかに獲得するかが
決定的に重要な時代に入りました」
「投票率は上がり、
若者の影響力が増していくのは
ずっと望んできたことではありますが、
一方で、ネット上の誹謗中傷やデマは
目に余るものも多く、
規制ががんじがらめの地上の選挙運動と
(+過度に政治的中立性を気にするテレビ)、
規制がほとんどないネット上では
全く見える風景が変わってきています」
「ネットの主流化」
しかし「誹謗中傷やデマ」
「ネットでリッチな情報が
入りやすくなってきたのは、
良い方向ではありますが、
その情報を分析するリテラシー能力は
追い付いていないと思っており、
政治教育の強化が早急に求められます」
「ネット情報を分析する
リテラシー能力」
最後に滝田洋一日本経済新聞社客員編集委員。
①SNSとリアルの共振現象は、
都知事選の石丸現象、
総選挙での国民民主の躍進を想起させます。
斎藤元彦氏には立花孝志氏が、
勝手連のような応援に入り、
YouTubeを舞台に旋風を巻き起こしました。
②印象的なのは稲村和美氏の敗戦の弁。
「斎藤氏との選挙戦のはずなのに、
何を相手に戦っているのか
わからない状況になった――」
そんな感想からは、SNSを前に
なすすべを知らぬ姿が浮き彫りに。
③今回の選挙の敗者は既成政党であり、
既成メディアでしょう。
とりわけ勧善懲悪のワイドショー政治に
不満を募らせている、SNS民の存在が
大きいことがハッキリしたと思われます。
アメリカ合衆国のトランプ大統領の選挙でも、
同じようなことが起こったのだろう。
実に興味深い現象だ。
敗者は既存政党、
既存メディア。
新しい世代の台頭は著しい。
それはよいことだ。
商売の世界でも、
それは顕著である。
既存の企業、既存の店舗。
そして既存の売り方と既存の販促。
SNSをどれだけ理解し、
どれだけ活用できるか。
「なすすべを知らぬ姿」だけは、
避けなければならぬ。
連日の斎藤元彦知事への、
既存メディアの報道が、
選挙でひっくり返される。
商売ではチラシ販促がひっくり返される。
そんな時代が来ていることが、
明らかになったのだと思う。
〈結城義晴〉