石井淳蔵著「岡田卓也の時代」と商人舎2016年6月号の意味
12月28日、あと4日。
クリスマス商戦の報告が入ってきた。
ありがたい。
12月21日から25日まで。
今年の曜日回りが、
全体の商況に影響を与えた。
土曜日曜の21日・22日は、
予想通りクリスマス需要があった。
その分23日の月曜日が、
例年に比べて落ち込んだ。
逆に25日が大きく伸びた。
来年、再来年と、
曜日回りと顧客心理を、
しっかり読みきりたい。
商品の売れ行きに変化が見られた。
鶏肉は全体に良く売れた。
しかしモモ焼きから、
フライドチキンに移行している。
来年はアメリカのように七面鳥など、
企画してはどうだろうか。
もちろんクリスマスにだけ、
突然のように売り込んでも駄目だが。
オードブルはセット物がよく売れた。
クリスマスにセット商品。
サラダ関連ではオードブルが好調。
つまりファミリーパーティー需要。
寿司では握り寿司が前年割れだった。
そのかわり手巻き寿司や巻きずしが売れた。
来年の2025年は、
20日・21日の土日。
22日(月)・23日(火)と2日あけて、
24日(水)・25日(木)の本番となる。
クリスマス商戦二段階作戦か。
顧客の心理を熟考して、
企画と計画を立てたい。
さて、いい本が出ている。
『岡田卓也の時代』
石井淳蔵先生の労作。
神戸大学名誉教授、流通科学大学名誉教授。
お贈りいただいた。
この本は二つの視点で書かれた。
商人思想史と比較企業者史。
前者に対して商人舎も少しだけ貢献した。
そこで参考文献にも、索引にも、
「結城義晴」と「商人舎」を入れていただいた。
225ページの(注11)には特にコメントがある。
「いまでは『商業界』という雑誌も会社もない。
だが、結城義晴氏を中心として『商人舎』によって、
商業界の思いは引き継がれている」
有難い言葉だ。
「『商人舎』(2016)では
『店は客のためにある』という
倉本長治のことばをテーマに特集も組んでいる」
この号の[Cover Message]
商業界主幹の故倉本長治。「店は客のためにある」という決定的な言葉を残した。そして「店員とともに栄え、店主とともに滅びる」と商売の本質を射抜いた。ピーター・ドラッカーは「企業の目的は顧客の創造である」とマネジメントを定義した。
一方、ダイエー創業者の故中内㓛は「For the Customers」にこだわった。セブン&アイ・ホールディングスの伊藤雅俊は「お客様のお陰」の精神を大切にし、鈴木敏文は「お客の立場」を繰り返し繰り返し強調した。そして柳井正は「店主とともに滅びる」を重く受け止めたうえで「Reinvent Everything」と明日を見定める。
本特集は「店は客のためにある。」の哲学を極め、高め、その本質を産業のDNAとすることを目指すものである。
この号では石井先生にも寄稿していただいた。
「顧客創造・価値志向のマーケティング」
「
私は巻頭で書いた。
「店は客のためにある。」
――ポストモダンの考察
柳井正ファーストリテイリング社長兼会長
顧客創造とInnovation Company
デジタル化&グローバル化時代に、すべてを革えよ!
この冒頭の柳井さんの言葉。
「倉本長治商業界主幹の『店は客のためにある』。
この言葉に、『店員とともに栄える』
という言葉が続くことを上場してすぐのころ、
1994年か1995年に知りました。
しかし、さらにこの言葉には続きがあることを、
結城義晴さんに教えてもらいました。
『店は客のためにあり、店員とともに栄え、
店主とともに滅びる』」
「この言葉は会社や企業の在り方そのもの、
企業の本質を表しています。
社長がしっかりしないと会社はすぐにつぶれる。
会社はすべて社長次第なのではないでしょうか」
この柳井さんの記事は、
[倉本長治・初夫文庫開設記念公開セミナー講演録]のものだ。
IDとパスワードをもっている人は、
是非読み返していただきたい。
読み返してみると、
[Message of June]もなかなかいい。
顧客を創造しよう!!
店は客のためにあり、
店員とともに栄える。
そして店主とともに滅びる。
この考え方を産業のDNAにしたい。
共有できるスローガンにしたい。
有店舗商業でも無店舗販売でも。
それが消費の活力をつくり、
産業のパワーを生み、
社会の健全化に貢献する。
「店は客のためにある」は、
「顧客満足」が実現されること。
そう理解されてきた。
しかしここには、
「顧客創造」という新しい概念がある。
ドラッカーもレビットもそれを指摘する。
ファーストリテイリング柳井正も、
セブン&アイの伊藤雅俊も、鈴木敏文も、
そしてダイエーの故中内㓛も。
店は客のためにあると発奮し、
店員とともに栄えるとマネジメントし、
店主とともに滅びると襟を正した。
私たちも産業のDNAを受けつごう。
店は客のためにある。
店員とともに栄える。
そして店主とともに滅びる。
〈結城義晴〉