結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年01月26日(日曜日)

伊藤忠CEO岡藤正弘の「かけふ」と「会議は嫌い」

日経新聞「私の履歴書」
今月は岡藤正広さん。
伊藤忠商事会長CEO。

痛快な言説が話題になっている。
1948年、大阪生まれの団塊の世代。
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第22回は「会議、誰のため?」

同感することばかり。

伊藤忠の社長になった岡藤さん。
「私は昔から会議が大嫌いだったのだ。
大阪弁でいう『いらち』、
つまり短気でせっかちな性格のせいかもしれない」

「ただ、昇進するほど会議に関する無駄が
なんと多い会社かと痛感するようになった」

「こんなことをやっていたら会社が潰れる」

伊藤忠では毎週月曜午前に、
情報連絡会が開催されていた。
各カンパニープレジデントと海外主管者が集う。

そこで社長になるとすぐに、
情報連絡会の時間を短縮した。
続いて毎週月曜開催から月1回に。
ついには廃止してしまった。

1年に1度、特別経営会議は、
3日かけて開催していた。

これも半日に圧縮した。

重要なこと。
「会議を実りあるものにするため
上司に予習を課した」

議題を事前に把握して
上司が仮説や結論を持って臨めば
会議は報告の場から意思決定の場に変わる。
それだけで生産性がどれだけ向上するか。

「稼ぐ、削る、防ぐ――」
略して「かけふ」

これが岡藤流経営改革の合言葉となった。

私は逆だった。

㈱商業界の社長になって、
何十年にもわたった財務の不良債権を発見した。

それをすべて公然化した。

その年度は過去最高の経常利益を出し、
その一方で不良債権を、
一気に特別損失で落とした。

会社を債務超過にした。

そして大改革を始めた。

出版社にはありがちなのだが、
部署ごとに「蛸壺」を掘って、
ばらばらに仕事をしていた。

荒井伸也さんが指摘した、
「悪しき職人化」がはびこっていた。

その態勢を部門横断型の組織にした。
「クロスファンクショナルチーム」だ。
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そして、
「月曜ミーティング」を始めた。

商業界の始業は9時半だった。
しかし編集部などは10時、11時、
場合によっては昼出社が当たり前だった。

そこで毎週月曜日。
部長や編集長全員に、
朝8時に出勤してもらった。

前の週の問題点を洗い出し、
議論をして解決する会議だ。

伊藤忠がやっていた「情報連絡会」と同じ。

ただし議題を事前に把握して、
仮説や結論を持って臨む。
意思決定の会議にしようとした。

はじめは全然、うまくいかなかった。

ある部長は冗談風に言った。
「朝、家を出るときに鍵を閉めるけれど、
暗くて鍵穴が見えません」

部長・編集長が月曜8時から会議で議論し、
それが終わるころ一般社員が出社してくる。

それを見せつけたかった。

そして月曜ミーティングは続いた。

当然のように反発もあった。

私は部長・編集長の意識を変えたかった。
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そんなことをしながら、1年ほど。

改革プランができ上って、
上昇気流に乗り始めた、と思った。

そこで私は社長を解任された。

それでも過去最高益を出して、任期満了で会社を去った。

岡藤さんは伊藤忠という大商社の社長だった。
そこにはびこる「マンネリ」を正そうとした。

私の場合は小さな出版社だった。
そこで大改革を試みた。

だから無理やり、毎週月曜の会議を開いた。

今思うと、
あれは失敗だったかもしれない。

しかしそんなに悠長なことはしていられなかった。

私も長い会議は好きではない。
今、商人舎は少数精鋭。

会議を開かなくとも、
全員が意思疎通できる。

そんな会社でもときには、
年に一度、3日連続の会議など、
開いてもいいかもしれない。

意図のある会議、
目的をもった会議。
それは必須だ。

報告連絡のための長々とした会議は、
全く必要ない。

〈結城義晴〉


2 件のコメント

  • 私は子会社経営の立場でしたので、貸借対照表経営の観点は正直、希薄でした。大変な局面での困難な判断、決断の連続でいらっしゃっただろうとお察しします。
    私の場合、雇用責任の考え方で迷うことが多く、やはり何が正解だったのか、いつまでも考え続けてしまいます。

    • 吉本さん、ありがとうございます。

      私自身は粛々とやったつもりですが、
      思い返してみると強引だったかもしれません。

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