トライアルの「西友子会社化」記者会見と西友の「不思議な運命」

1日中、横浜商人舎オフィス。
月刊商人舎3月号の最後の原稿執筆。
ちょっと変わった趣向の特集タイトル。
楽しみにしていてください。
午後になって、西友の売却先が決定したニュース。
例によって日経新聞の先行記事。
大手新聞が追随した。
そしてトライアルホールディングスがリリース。
西友もニュースリリースを発した。
商人舎流通スーパーニュース。
トライアルnews|
西友を完全子会社化/3820億円で全株式取得
株式取得資金は3820億円。
安いなあ。
それが第一の感想。
トライアルの手元資金に加えて、
取引銀行から新たに約3700億円を、
借入金として調達して手当てする。
ドン・キホーテのPPIHが逆転負けしたのか。
そう思った。
西友news|
KKRとウォルマートが西友全株式をトライアルHDに売却
こちらには大久保恒夫CEOのメッセージが載っている。
そして緊急記者会見の案内が出た。
17時30分開始。
グラントウキョウノースタワー18階。
東京駅直結の大和カンファレンスホール。
山本恭広編集長が行ってくれた。
主催はトライアルホールディングス。
「トライアル・西友共同記者会見」
もちろん西友完全子会社化の件。
ホールには200名弱のメディアが参集。
会見登壇者は5名。
トライアル側が3名、西友が2名。
写真左から、
石橋亮太トライアルカンパニー社長、
亀田晃一トライアルホールディングス社長、
永田洋幸Retail AI CEO。
野村優西友CFO執行役員兼人事総務本部長、
武田正樹西友執行役員経営企画本部長。
西友大久保恒夫社長は所用のため欠席。
残念というか当たり前というか。
その大久保社長のメッセージが、
野村執行役員から読み上げられた。
「この数年間、商品力・販売力を強化することで価値を創造し、それにより創出された利益を教育、IT等の前向きな投資に回し、さらに価値を創造するという価値創造サイクルの実現に注力してきました」
「その結果、収益性も向上し、大きく発展する企業へと西友を変革できたと考えています。今後は、西友の強みとトライアル社の先進的な情報システム、データ活用等の強みを活かし、両社が協力し合ってさらに発展していくことを期待しています」
会見の冒頭は、
トライアルホールディングス紹介。
亀田ホールディングス社長が自ら語った。
トライアルホールディングスは、
2024年3月にグロース市場に上場した。
認知度が足りないことを踏まえて、
出店している店舗タイプを説明し、
祖業であるIT事業への取り組みを語った。
「新規上場して資金を得たにもかかわらず、
十分に活用できていなかった」
その通りだ。
トライアルホールディングスは、
㈱ティー・エイチ・シーが53.96%の筆頭株主だ。
オーナーの永田久男会長の資産管理会社である。
2番目の株主の(株)Heroic investmentは7.66%を保有。
これも永田一族の会社。
61.62%をオーナーが所有して、
株主は安定している。
しかしまだまだ資金調達の余地はある。
続いて、トライアルカンパニー石橋社長。
子会社化について、戦略上の位置付けを4つ挙げた。
1.優秀な人材・企業文化の融合
2.売上高1兆円超への小売業への飛躍
3.人口集積地の関東を中心に242店舗獲得
4.更なる業界再編への布石
トライアルホールディングスの年商7179億円と、
西友の4836億円を単純合算すると、
1兆2014億円となる。
総合小売業としてみると、
第1位PPIH、第2位イオンリテールに次ぐ3位。
西友の営業利益は235億円。
営業利益率4.86%。
これは初めて明かされた。
4836億円の会社を3726億円で買った。
まあまあか。
石橋社長は子会社化の目的を6つ挙げた。
1.両社の質の高い人材の融合
2.売上規模の飛躍的拡大
3.関東エリアの事業基盤拡充
4.商品力の強化
5.製造・物流拠点の拡充
6.リテールテックの拡大
さらに石橋社長は関東エリアにおいて、
小型店「TRIAL GO」をサテライト店として、
出店加速する構想を明かした。
永田社長はリテールテックの拡大を語った。
とくに「スキップカート」の拡大を強調した。
最後に以上の方針の実施時期や進め方の詳細は、
「現時点で、決まったことはない」
西友の看板や経営陣も当面は現行のまま。
大久保社長は続投。
そのほうがトライアルにとってもいいだろう。
もちろん西友の幹部や社員にとってもありがたい。
トライアルホールディングスは、
6月に決算期である。
子会社化のための株式譲渡の実行日は、
7月1日を予定している。
次年度がスタートするまでには、
具体的な方向性が明らかになるはずだ。
私は月刊商人舎2月号で語った。
「緊急特別企画」西友はどうなる?
座談会の最後の結城義晴の言葉。
「それにしても西友はウォルマートといい、今、手を挙げているドン・キホーテやトライアルといい、企業文化がまったく違う企業の手に委ねられるという『不思議な運命』にあります。寂しい限りですが、『西友の教訓』に真摯に学びつつ、店舗や働く人たちのことは温かく見守りたいと思います」
その考えは変わらない。
〈結城義晴〉
3 件のコメント
トライアルさんのリテールテックは、Amazonリアル店舗のリテールテックと異なり、実効性があります。やはり、リアル店舗を祖業にしていたかどうかの違いでしょうか。
結城先生のブログ毎日拝見させて頂いています。
元ヨーカドーの社員として、そして今はロピアの社員として考え方や物の見方が非常に勉強になります。現場で活かせるよう日々努力して自分磨きをしていきます。
田邊正人さん、ご投稿、ありがとうございます。
ブログのご愛読にも感謝します。
とてもいい教育をしていた本籍地とラブラブロピアの現住所。
幸せですね。
できる限りの努力によって、
両者にお返しし、貢献してください。
いつも、いつまでも、応援していますよ。