結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年06月14日(金曜日)

清水信次が「大切にしたこと」と渋沢栄一の「克く勤め克く労す」

時事通信の6月の最新世論調査。

岸田文雄内閣の支持率は16.4%。
5月比2.3ポイント減。

2012年の自民党政権復帰以降、最低。
不支持率は57.0%、5月比1.4ポイント増。

「分からない」は26.7%。

日本はどうなるのか。
なるようにしかならないが。

首相は今、イタリアのプーリアG7サミット。

どんな心境なのだろう。
ご当人はアッケラカンとしていて、
外から見るとノーテンキな印象だ。

今日の私は横浜市立白幡(しらはた)小学校へ。IMG_4923 (002)

かつてこの学校のPTA会長を務めた。IMG_4924 (002)

学校は緑に囲まれている。IMG_4922 (002)

それだけで懐かしい。IMG_4920 (002)

白幡クラブ定例総会。
この校庭と体育館を、
地域の人々に開放する。

この組織の会計監査を担っている。
かつては会長をやっていた。IMG_4921 (002)
地域に対するボランティアの仕事。
ほんのわずかだがコミュニティとつながっている。

夕方は東京・白金台。
馳走 麹屋。

森下留寿さんと懇親。
ライフコーポレーション取締役専務、
執行役員兼情報戦略本部長。IMG_4925 (002)

故清水信次会長の話題から始まった。
森下さんの顔を見るとついつい、
私の心がそちらに向かっていく。
202212_shimizu-kaichou

清水さんが大切にしていたこと。
5万人の従業員がいること、
彼ら彼女らが辞めないということ。
そしてその従業員の人たちの、
給料を下げたくないということ。

それは実現され続けている。

目標とする「1兆円」よりも清水さんは、
そのことを大切にしていた。

岩崎高治社長の経営も、
森下さん自身の仕事も、
節度をもって話してくれた。

ライフの情報システムに関しては、
大いに感心した。

記事にはしません。
あらためて正式に、
インタビューを申し込もう。

でも、実に楽しい時間だった。IMG_4926 (002)
互いに音楽を嗜む。

私はラスベガスで、
little Martinを手に入れて、
毎日、弾いている話をした。
森下さんも自宅のPAシステムを充実させて、
ユーチューブ・デビューするかもしれない。

あっという間に2時間半余りが過ぎた。

ライフのコーポレート部門は、
着々と整備されている。

会社全体がノーマルに成長している。
そんな印象だ。

いわば全体最適のスーパーマーケット。
それでいてナンバー1のスケール。
素晴らしい。

帰りに寄ったのが、
白金台のドン・キホーテ。
この高級住宅地では、
「驚安の殿堂」もモノトーンで、
実に上品に仕上がっている。IMG_4927 (002)

さて日経新聞「大機小機」
「円の重みを取り戻そう」

コラムニストは一礫さん。

「時代の要求するところのものを
自己の要求とし、
時代の作為せんとする事を
自己の作為とし、
求むるとも求めらるるとも無く
自然に時代の意気と希望とを
自己の意気と希望として、
長い歳月を克(よ)く勤め
克く労したのである」

幸田露伴著『渋沢栄一伝』
その書き出し。
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「出版は1939年、定価は1円50銭。
B6判ほどの大きさ、しっかりした装丁で
300余ページ。今なら2000円くらいか」

文豪露伴の枯淡洗練な筆で描かれる。

2020年刊の岩波文庫は891円。

「時代は今日とまったく違うけれど、
円はずしりと重かった。
同年における電信売相場は、
1ドル=3円85銭。
円はドルと『1桁同士』の関係だった」

「電信売相場」は、
顧客が円を外貨に換えるレート。

「太平洋戦争の敗戦で、
すべてがリセットされた」

戦後は1ドル=360円でスタートした。
阪神大震災の1995年の頃には、
79円台まで上昇。

その後に円安に転じ、
東日本大震災の2011年に、
75円台まで上昇した。

「だが、改めて円安のうねりに乗った」
150~160円程度を漂う。
円の価値はピーク比で半減した。

「ゼロ金利政策により極端な低金利状態を
長期にわたって維持した結果、
行き過ぎた円安を定着させてしまった」

そして渋沢栄一。
「明治の日本経済をけん引し、
91年に及ぶ生涯を現役で貫いた」

「令和経済の当事者たる私たちも、
『克く勤め克く労し』、
国内の潜在需要を掘り起こし、
生産性を高め、
自己の作為でわが国経済を再建し、
円の重みを取り戻さなければならない」

「円の重み」問題は能天気では解決できない。

私たちは「克く勤め克く労し」、
国内の潜在需要を掘り起こそう。
辞める人の極力少ない会社で、
それでいて生産性を高めよう。

清水信次さんの期待に、
産業全体で応えよう。

〈結城義晴〉

2024年06月13日(木曜日)

キリンのファンケル買収とAJS第62期定期総会の懇親

キリンがファンケルを買収する。
日経新聞のスクープか。
電子版で特報した。

キリンホールディングスは、
日本の食品メーカー第2位。
2023年12月期の連結売上収益は、
2兆1343億円、前期比7.3%増。

アサヒグループホールディングスがトップで、
2兆7691億円、10.3%増。

月刊商人舎6月号で報じた。
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そのキリンは主力の酒類が1兆451億円、
ヘルスサイエンス事業は1034億円。

この領域を強化するための買収だ。

ファンケルの24年3月期の連結売上高は、
1108億円で、前期比7%増。
健康食品のトップメーカーだ。

キリンは2019年にすでにファンケルを、
持ち分法適用会社にしている。
ファンケル創業者らの株式33.0%を、
約1300億円を出資して取得した。

今回は株式公開買い付け(TOB)によって、
年内に完全子会社化する予定。

買収額は推定約2100億円。

TOBを成立させてファンケルを上場廃止とする。
ファンケル側は了解しているようだ。

キリンのヘルスサイエンス事業の規模は、
このTOBによって倍増する。

キリンの事業利益は2015億円、5.4%増。
酒類が1199億円を稼ぎ、
ヘルスサイエンスは、
125億円の赤字を出した。

ファンケルは化粧品も製造販売し、
営業利益は60%増の125億円。

キリンはこの領域で、
国内トップになり、
なおかつヘルスサイエンスの黒字化を目指す。

食品製造業のM&Aも、
加速する。

今日はAJS第62期定期総会。
オール日本スーパーマーケット協会。
毎年6月に開催される。

コプロ㈱の第34期定時株主総会も行われる。

場所は東京ドームホテル。
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賛助会員は定期総会後に合流する。

地階の宴会場には500名以上が集まった。
正会員60社、賛助会員368社。ajs02

総会は14時50分に開始。
新入会員紹介から始まった。
正会員1社、賛助会員3社が加わった。
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2024年4月時点で企業数60社。
これには海外の2社が含まれる。
総店舗数4056店舖。
総売上高3兆2046億円。

特別講演は小川和也さん。
グランドデザイン㈱社長。
人工知能の研究家。

テーマは、
「AIの進化と人が関わることの価値について」ajs_ogawa01
AIに関する入門的な話だった。
スーパーマーケットのPOPを、
AI活用で活性化させる提案など。

私にとっては、
それほど印象的な内容はなかった。

このテーマで各所で講演してるんだろう。
そんな感想だった。

1時間の休憩のあと。
同じ会場で夕食懇親会。

冒頭で田尻一会長のあいさつ。

ピンマイクを使って、
カッコいいスピーチだった。
20代、40代、60代、100歳の、
田尻さんの顔写真を、
AIが描いたものを見せてくれた。
20代、40代は別人だった。
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乾杯はキユーピー社長の高宮満さん。
将棋とAIを絡めた話。ajs_kiwpie
元気なスピーチと乾杯の音頭だった。

その後、交流。
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会場では伊藤園副社長の本庄周介さん。
右は商人舎上級プロデューサーの松井康彦さん。
大谷翔平がグローバル・アンバサダーになって、
東北、特に北上では凄い売上げとなった。ajs_itoen

マツモト社長の松本健司さん。
4月に京都でお世話になったし、
月刊商人舎6月号には、
売場改革で登場してもらった。ajs_matumoto

デリシア社長の萩原清さん。
商人舎ミドルマネジメント研修会に、
幹部社員を派遣してくれた。
今年は必ず訪問します。ajs_hagiwara

セブンスター会長兼社長の玉置泰さん。
今では協会の長老になった。
玉置さんとはfacebook友達で、
いつも会っているような気分だ。
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サンプラザ社長の山口力さん。
「脱炭素エキデン365」プロジェクトに参加して、
活発に活動している。ajs_yamaguchi

そして関西スーパー社長の中西淳さん。
新社長として頑張ってほしい。
関西スーパーのミドルマネジメントは、
今、大いに意気が上がって、
会社は燃えている。ajs_nakanisi

スーパーアルプス社長の松本英男さん。
58歳になった。
店舗数は29店に増えて、
着実な成長を遂げている。ajs_alps-matumoto

フクシマガリレイ会長の福島裕さん。
今や福島さんの機器は、
スーパーマーケットの冷凍食品売場に、
欠かせない存在となった。ajs_fukushima

プログレスデザイン社長の西川隆さん。
昨年から賛助会員になった。
全国の店舗デザインを手掛けて、
多忙を極める。
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懇親会の最後は、
AJS会長の田尻一さん。
田尻さんこそ変わらない。
今日もおつかれさまでした。ajs_tajiri03

AJSも62年を経過する。

私はそのうち45年くらい、
この総会に参加している。

大事なのは初めの20年くらいのことだ。
そのころの進取の精神を忘れてはいけない。

〈結城義晴〉

2024年06月12日(水曜日)

訃報/小松製菓会長・元商業界同友会長の小松務さんの「徹底」

小松務さんが亡くなられた。
㈱小松製菓代表取締役会長。
79歳。

まだまだお若かった。
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商業界全国連合同友会会長として、
倉本長治の商人道運動を継承し、
日本中の商人の先頭に立って、
導いてくれた。

私は㈱商業界社長時代に、
とくにお世話になった。

そして商人舎発足の会では、
発起人に名を連ねていただいた。

小松さんの会社は、
南部せんべいのトップメーカーだ。

その南部せんべいは、
青森県八戸地域の特産品。
小麦粉を原料にした煎餅(せんべい)。

小松さんの母上のシキさんが、
青森で奉公している12歳のころ、
焼き方を覚えた。
その後、岩手の二戸に帰って、
商売を始めた。

幼いシキさんは「商人になる」と決意した。

そして戦後の混乱が続く昭和23年、
21丁の焼き型でたった一人、
南部せんべいを焼いて売る商売が始まった。
小松煎餅店。
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せんべい屋は評判を呼んで、
繁盛する。

小松務さんはこのせんべい屋を継ぐ決意をする。

1960年には工場を新設し、
小松製菓と商号を変更し、
人が増え、店も立派になり、
1975年、仙台に「巌手屋(いわてや)」1号店を開業。

1980年には、
漫画家のおおば比呂志氏による、
キャラクターも出来上がった。

シキさんの物語は、
「むすんでひらいて」という本にまとめられ、
テレビドラマにもなった。タイトルなし

小松さんはそのすべてを仕切って、
南部せんべいでトップの製造小売業をつくり上げた。

特長のあるオンリーワンの経営だ。
まずマーチャンダイジングは、
新商品開発に熱心に挑戦する。
ベースは南部せんべい。
しかし毎年のように新しい付加価値をつける。

オリジナル商品は55種類、
サイズやパッケージの違いを含めると、
500アイテムを超える。
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15年ほど前だっただろうか、
セブンプレミアムにも取り組んで、
よく売れた。

しかも菓子の製造機械の大半は、
なんと社内製作である。

それから経営そのものが、
「人本主義」である。

小松さん自身、
モラロジーの活動に熱心だった。
全国PTA協議会のトップを務めた。
もちろん商業界同友会活動は、
チューター会会長、
連合同友会会長を務めた。

創業者のシキさんは丁稚奉公などで、
想像を絶する肉体的・精神的な労苦を経験した。

だから経営者として、
社員、顧客、取引先を問わず、
人間尊重・個性尊重の経営を貫いている。

二代目経営者の小松さんは、
そのサキさんの考えを、
一段と充実させ、近代化させた。

2002年に定年を一気に65歳に引き上げた。
さらに70歳までの雇用を保障している。

「小松製菓退職年金制度」は、
「幸せ会」と呼ばれて、
OBやOGに80歳まで年2回、
年金を支給している。

2006年8月3日、
私は二戸を訪れた。

当時の工藤澄人「商業界」編集長も、
取材で同行してくれた。
小松さんは㈱商業界の社外取締役だったので、
私は第58期決算の事前報告に行った。

暑い日だった。

しかし真夏でもクーラーのない事務所。
昭和の時代にタイムスリップしたような錯覚の中で、
私は人間を取り戻したような気分になった。

暖かい会社だった。

奥様が葬儀のお礼の言葉として書かれている。
「本当に必要な時には
厳しいことを言える優しさと、
困っている方がいれば
放っておけない面倒見の良さ」

これこそまさに小松務だ。

私が商業界社長を辞するとき、
「結城さん、もしかしたら、
辞めたほうが結城さんにとっては、
いいかもしれないよ」

その通りだった。
あの岩手弁は今も忘れられない。

「結城さん、会社の経営は、
細かく、厳しく、続けることだよ」

小松務さんに教わった。
私がよく使う「徹底」の定義である。

私は「詳細に、厳密に、継続する」と言ったり、
さらにひらがなで、
「こまかく・きびしく・しつこく」と、
表現したりした。

難しいことを的確に、
易しく言い表す達人だった。

本当にありがとうございました。

今、小松製菓は息子さんの豊さんが、
代表取締役社長として、
立派に継承されている。

心からご冥福を祈ります。

今日はあまりよろしくないニュース2本。
商人舎流通SuperNews。

オーケーnews|
東伏見店エスカレーター死亡事故を受け防止策強化

6月12日(水)10時15分、
オーケー東伏見店。
下りエスカレーターで、
高齢の女性客が転倒し、死亡した。

オーケー(株)がコメント発表した。

今年2024年3月13日に、
東伏見店は開店した。
その際にエスカレーターは新設された、

一人乗りの細いエスカレーターだが、
「現時点において、
設置・稼働・点検状況等に
問題は確認されていない」

関係当局への事故原因の調査に、
全面的に協力していく考えだ。

エスカレーターを設置した店には、
いつもこのオーケーのリスクがある。

異変が起こったらストップする。
そんな安全装置ができるはずだ。

もう一つは、
ロピアnews|
菓子や食品の原料・原産地表示漏れ18商品、再発防止を徹底

こちらは、
農林水産省関東農政局が、
食品表示法第8条第2項の規定に基づいて、
ロピア中央林間店に立入検査に入った。
昨2023年上期。

そして不適正表示を確認した。

その後、今年6月11日に、
表示の是正と原因の究明・分析の徹底、
再発防止対策の実施等について指示を出した。

小分け加工した菓子類および調理食品18商品に、
原料原産地名の表示漏れなどがあった。

73店舗において、
合計64万5994パックが販売された。

この報道を受けて、
ロピアの持株会社㈱OICグループがコメントした。
「法令に対する認識不足と、
社内管理体制の不足が原因」。
これは全社で真摯に受け止め、
再発させてはならない。

徹底しなければならない。
「こまかく・きびしく・しつこく」

ああ、小松務さん、
早すぎる。

合掌

〈結城義晴〉

2024年06月11日(火曜日)

ウォルマート新本社キャンパスの「とんがり★こだわり」

月刊商人舎6月号。
表紙も大いに気にいっています。
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商人舎はデザインを大切にしています。
デザイナーはずっと七海真理さん、
アメリカで勉強して帰国した、
超一流のアーティスト。

最近はもうおひとり、
玉川昭子さんに加わっていただいた。

たとえばこのページ。
スクリーンショット 2024-06-12 003810
ヤオコー武蔵浦和店のページです。
いかがでしょう。

オレンジ色の床が映える。
ページデザインがそれを印象づける。

ポジショニングとは、
「とんがり★こだわり」である。

ドラッカーに言わせれば、
「何によって憶えられたいか?」
“What do you want to be remembered for?”
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そう言うからには、
商人舎の表紙だって、誌面だって、
とんがり★こだわりでなければいけない。202406_coverpage
かつては『販売革新』や『食品商業』を、
自分で編集していた。

そのころから言っていた。
「チェーンストアマンが持って歩いて、
電車の中で誌面を開いて読んでいても、
カッコよくて、誇れる雑誌にしたい」

現在の商人舎も変わりません。

さて、
ウォルマートの新本社。
建設中。
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COVID-19パンデミックによって、
施工が遅れていた。

しかし、
まるで「街」のような新本社。

日経新聞のニューヨーク特派員が報告した。

シリコンバレーのアップルの本社、
グーグルの本社。
シアトルのアマゾンの本社。

それらをスケールで圧倒している。

ウォルマートのオフィスはもちろん、
道路など都市インフラも整えられる。

何しろ田舎だ。

「アーカンソー州北西部ベントンビル」

記事。
「創業者のサム・ウォルトン氏が
1950年に開いた小さな食料品店
『ウォルトンズ』
これがウォルマートの始まりだ」

この表現は間違っている。

サムが始めたのは、
ベンフランクリンのフランチャイジー。
つまりバラエティストア。

ウォルトンズ・ファイブ&ダイムストア。
非食品雑貨のツーコインストアだ。

食料品店ならばグロサリーストアである。

業態が全然違う。

私はこういった点はうるさい。
一般記事に細かいことを言って、
御免なさい。

「それから70年あまり。
同社は売上高6480億ドル(約100兆円)、
従業員210万人の巨大企業に成長した」

新本社キャンパスは2025年末の完成予定。
総面積は130ヘクタール、東京ドーム28個分。
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植栽が充実し、公園のような空間。
これはすでに報じられていた。

本社部門1万5000人の社員が、
全米から集められる。

3つの主要なオフィスビル、
もちろん十二分の駐車場、
納入業者との商談スペース。
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それからホテルや、
ショッピングセンターも。
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アソシエーツ向けに、
レクリエーション施設は充実している。
プールは競泳用とファミリー用、
テニスコートは屋内だけで5面。
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アソシエーツならば無料のジム。
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そしてキャンパスの中心にあるのが、
サム・ウォルトン・ホール。
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新しいアメニティホール。

ここで大会議やイベントが展開される。
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シンディ・マルシグリオ上級副社長。
「最高の人材をひき付けることが最大の目的」

創業家ウォルトン・ファミリーも寄付をした。
2億2500万ドル以上(3億3700万円)。

この新キャンパスは、
サム・ウォルトン一色といった印象だ。

ベントンビルの街は、
十数年前まで人口3万人程度だった。
それが22年には5万8000人まで増加。

特派員。
「西海岸のシリコンバレーのような雰囲気だ」

「25年末に人口100万人に達するとの予測もある」

アーカンソー州の州都はリトルロック市。
人口は20万2591人(2020年)で州内最大。
周辺を合わせた都市圏人口は約74万人。

それを超える州内第一の都市圏となる。

立派過ぎる本社は、
ウォルマートには似合わない。
ずっと、そう考えられてきた。

サムの根本哲学は質素倹約。
総資本の回転を上げる。

しかしこの新しいキャンパスは、
ウォルマートのポジショニングのためにある。

そしてサム・ウォルトンによって、
とんがり★こだわりを表現する限り、
ウォルマートの立ち位置は変わらない。

それを強く感じた。

イオンもイトーヨーカ堂も、
日本のチェーンストアも、
このとんがり★こだわりは、
見習うべきだと思う。

〈結城義晴〉

2024年06月10日(月曜日)

商人舎6月号発刊!![決算特集]’23年度「絶好調」の総括

Everyone, Good Monday!
[2024vol㉔]

2024年第24週。
6月の第3週。

今度の日曜日が、
世界中の「父の日」。

そして今日6月10日は、
「時の記念日」

いつも感心するのだけれど、
英語には“Punctuality”という言葉がある。
「時間厳守」と言った意味。
「定時性」と訳される。
「時間どおりに運行されること」、
人に使えば「時間を守る几帳面さ」のこと。

「punctual」は形容詞で、
「時間や期限を守るような」といった意味。

英語がすごいのではなく、
そのおおもとのラテン語に、
「punctualis」という言葉があって、
これが「時間を守る」意味だ。

ラテン語はローマ帝国の公用語だ。
2000年以上前にこの概念があった。

時間は守ることも大事だが、
「時間」はそれ自体が、
何物にも代えがたい貴重なものだ。

拙著『コロナは時間を早める』では、
冒頭で「三千年紀」という言葉を使って、
遠大な時間の流れと、
その中の一瞬の大切さを強調した。

「三千年紀」は、
西暦2001年から3000年までの、
1000年間のことだ。

西暦3000年のころはいったい、
どんな世界になっているのだろうか。

想像もつかないけれど、
興味は尽きない。

さて、
月刊商人舎6月号、
本日発刊!!
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[決算特集]
’23年度「絶好調」の総括
「過去最高」を全体像の中で位置づける!

[CoverMessage]
2024年2月期・3月期決算。イオンは過去最高を更新して増収増益。セブン&アイ・ホールディングスは減収ながらも営業利益過去最高。ライフコーポレーションは売上高過去最高。ヤオコーも営業収益・営業利益ともに過去最高。マツキヨココカラ&カンパニーは4期連続で過去最高。ローソンも過去最高。三越伊勢丹も高島屋も営業利益は過去最高。
業態別に代表企業が過去最高を記録し、準ずる企業もほとんどが絶好調。過去最高連発の中で、とくに絶好調のチェーンは何をどうしているのか。30年以上も増収や増益を継続する企業はどこがどう違うのか。23年度決算特集は、日本小売業ランキングを明らかにしつつ、その「絶好調」を客観的に総括する。

目次。
202406_contents
第1部が、
’24日本小売業ランキング

第2部が、
業態別の下克上

第3部が、
KPI順位の注目躍進企業

そして、
[特別企画]
ポジショニング店舗づくり
ロピアとヤオコーにフォーマット進化が現れた!

ロピア蘇我島忠ホームズ店
原点回帰と模倣困難性の大仕掛けでポジショニングを強化する
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OIC(オイシー)グループの㈱ロピアの出店攻勢が止まらない。23年度は15店舗を出店して、営業収益21.3%増。本拠地の関東から関西、中部、そして九州、東北と飛び火出店を展開した。沖縄にはフランチャイズ方式で出店した。こうした飛び火出店やフランチャイズが可能となるのは「ロピア」のフォーマットが地域性を超えた魅力を有するからだ。そのポジショニングが強力だからである。ロピアのポジショニングを再確認するチャレンジングな店舗が登場した。「ロピア蘇我島忠ホームズ店」である。

ヤオコー武蔵浦和店
10年越しで開発した斬新デザインの 「シン・ヤオコー」店舗
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㈱ヤオコーが5月15日(水)、なんとも斬新な新店をつくった。埼玉県浦和市にオープンした「ヤオコー武蔵浦和店」である。今期1号店となる新設店舗である。埼玉県内では100店舗目、さいたま市では15店舗目の店舗だ。ヤオコーブランドが知れ渡ったドミナントエリア内への出店だが、オープンはもちろん、週末も多くのヤングファミリーで賑わっていた。顧客の期待値の高さがわかる。

[結城義晴の述懐]
ポジショニングとは「とんがり★こだわり」だ!

さらに[巻末特別企画]
日本最初のセブン-イレブンオーナー
山本憲司が語る
「私とセブン-イレブンの50年」
202406_seven-yamamoto
これ、面白い。

ここでも[結城義晴の述懐]
セブン-イレブン「裏物語」の真実

ほかの人が書けないことを、
ズバリと書いた。

ぜひ、読んでください。

そして[Message of June]
とんがれ★こだわれ

何によって憶えられたいか?
ピーター・ドラッカーの問い。
13歳の宗教の授業で牧師の先生から聞かれた。
そして彼は一生、自らに問い続けた。

何によって憶えられたいか?
これこそポジショニングである。
競争市場のなかの自社、自店、自分が、
どんな立ち位置をとるか。

それをはっきりと決め、
それを主張し、印象づける。
自分のポジションをくっきりと表明する。
何によって憶えられたいか?

店がフォーマットを構築するとき、
基本業態の原理と鉄則を堅持したうえで、
自分らしいポジショニングを創造する。
それが現代の競争力そのものとなる。

そのために、
自分らしくあれ。
とんがれ★こだわれ。
自分の顧客に知らしめよ。

この店しかないと思われる店。
コストコのように、
イケアのように。
トレーダー・ジョーのように。

そのために、
自分らしくあれ。
とんがれ★こだわれ。
志を定めよ。〈結城義晴〉
202406_message

お陰様で、いい雑誌になりました。
ご愛読のほど、お願いします。

では、皆さん、今週も、
とんがれ★こだわれ。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2024年06月09日(日曜日)

孔子とソクラテス・論語と弁明・公益と私益

昨日8日(土)、九州南部が梅雨入り。
今日の9日(日)には四国が梅雨入り。

その影響でその影響で、
関東地方も天気がすぐれない。

「論語」に縁のある一日だった。

日経新聞「風見鶏」
「渋沢栄一になるためには」
高橋哲史編集委員が書く。

7月から新しい1万円札の顔となる渋沢栄一。
fb

渋沢は明治以降に、
500社近い企業の設立にかかわった。

「論語と算盤」をうたい文句に、
孔子の教えを日本の資本主義に
植えつけようとした。
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根っこにあったのが、
「道徳経済合一説」

「金もうけは決して悪いことではない。
ただ、自分だけがもうかればいい
という振る舞いでは、
いずれ必ず行き詰まる」

「では、どうすべきか。
大事なのはもうけを社会のために生かす、
すなわち『私益』と『公益』を
両立させる発想だ」

「渋沢はそれができてはじめて、
国全体が豊かになると考えた」

新自由主義は、
1980年代に米英から世界に広がった。
渋沢が理想とした資本主義とは異なる。

「弱肉強食の競争で一部の人に富が集まり、
世界で分断が加速した」

「公益より私益を優先する風潮が
強まったのは否めない」

ここで岸田文雄首相。
2021年9月の自民党総裁選で公約した。
「新自由主義的な政策を転換する」

そして目標に掲げたのが、
「新しい資本主義」の実現。

高橋編集委員。
「意識したのは渋沢の思想だろう」

あら、そうだったのか。

「それに共鳴する議員連盟の会長を務め、
政権発足後は
『富める者と富まざる者、
持てる者と持たざる者の分断』を防ぐと、
内閣の基本方針に明記した」

6月から始まった首相肝煎りの定額減税。

首相が繰り返すのは、
「税収増を国民に還元する」

「国に入ってきた税金が余ったから、
国民に分配する」

「それは渋沢が唱えた公益にかなうものだと
主張したいにちがいない」

そうなのか?

だが実態は公益というより、
「選挙目当ての私益を追求する減税ではないか。
国民の多くは見透かしている」

首相こそ本当に論語を学ばねばならぬ。

「子の曰(のたま)わく、
政を為すに徳を以てすれば、
(たと)えば北辰(ほくしん)の其の所に居て、
衆星(しゅうせい)のこれに共するがごとし」

「北辰」は北極星、例えば内閣総理大臣。
「衆星」はまわりの多くの星、例えば国民。

政治を行う時に道徳によっていれば、
まるで北極星がその天の頂点にあって、
まわりの多くの星が、
その周辺を正しく巡るようになるだろう。

選挙目当ての私益は、
徳とはかけ離れたものだ。

だから国民に見透かされている。

ほぼ日の糸井重里さんも最近、
論語に凝っている。

今日も論語の考察。

たくさんの解説書やら研究書、啓蒙書がある。
「そりゃそうだ、もともと『論語』そのものが
孔子の言ったことを解釈したり、
孔子に質問しているという内容なのだから、
すでに『論語』自体が
『研究』のはじまりの書だよね」

そう、論語は孔子の言ったことを、
弟子たちがまとめたものだ。

ソクラテスも語っただけ。
弟子のプラトンが『弁明』などを、
対話編として書いた。
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さらにディオゲネスが『列伝』に残した。

孔子とソクラテス。
不思議に似ている。

弟子たちが残した孔子の『論語』には、
さらに2500年もの間に、
たくさんの人たちの研究が積み重ねられた。

だから膨大だ。

ソクラテスも同じ。

そこで糸井さん。
「最初は渋沢栄一の書いた
『論語の読み方』という本を、
ちょっと距離をおいて
読んだりしていたんだ」
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「他の学者や研究者や作家たちとちがって、
渋沢栄一は実業の人、つまりは
実利を重んじる人だからね」

「『論語と算盤』という本も書いているくらいで、
「自らを利するために
『論語』を使っていると想像してた」

「ところが、あるとき、気づいたんだよね。
渋沢栄一だけが『論語』を
『使っている』のだけれど、
他の人たちは『研究』しているんだなと、ね」

ここからが糸井流。
「もともと孔子は、
『わたしの言うことを研究しろ』と
言っていたわけじゃなかったはずだ」

「『使ってもらえる』ことを望んでいたと思うし、
わたしの考えは『使える』ものだという自負もあった」

「だとしたら、さんざん
『論語』を使って生きて、
使うものとしての『論語』を
語っている渋沢栄一こそ、
『論語の読み方』を書くには
最も相応しいのではないか」

「わたくしも、
そう思うようになったのであります」

その通り。
さすが糸井さん。

渋沢自身、
『論語と算盤』の中で言っている。
「学問と社会とはそれほど
大きな違いのあるものではない」

研究の「論語」は学問。
使う「論語」は社会。

「あたかも地図を見るときと、
実際に歩くときとのようなものだ」

「地図を開いて見れば、
世界も一眼で見渡せる。
一国一地方は近くにあるように見える」

「しかし詳細な地図をもってしても、
実際と比較してみると、
予想外のことが多い」

「それを深く考えず、わかった気になって
実地に踏み出してみると、
茫漠としておおいに迷う」

地図を上手に使って、
実地に踏み出し、
「公益=私益」を果たした。

それが渋沢栄一だ。

小売業も商売も、
渋沢栄一に倣うべきだ。

1万円札を手にするたびに、
そのことを思って感謝しよう。

首相肝煎りの定額減税は、
公益ではない。

国民の税金を使った私益だ。

〈結城義晴〉

2024年06月08日(土曜日)

インフレだけがイノベーションを促進するのか?

日経新聞経済コラム「大機小機」
新聞社の人間ではなく、
学者、経営者、ジャーナリストなど、
知見をもった人たちが書く。

最近はなぜか、
このブログで取り上げる機会が減った。

いつも読んでいるけれど、
私自身の関心がこのコラムから離れている。

日本の株価が絶好調だから、
コラムを書く識者の意識が、
いつの間にか金融経済に寄っているのだろう。
私の目は実体経済に向いている。
だからどうも縁遠くなった。

しかしコラムニストの与次郎さん。
鹿児島出身なのかもしれないが、
「インフレは革新の友なのか」

「2%を超える物価上昇が
2年あまり続く現実を前にしても、
日本銀行は目標とする2%のインフレが
『持続的・安定的』なものであるか、
なお見極める必要があると言う」

「安定的な2%インフレは
それほどまでに希求する価値が
あるものなのだろうか」

同感だ。

2%のどこに根拠があるのだろう。

コラムニストは最近の論調を批判する。
「インフレのメリットを説く新説がある」

「インフレは、
イノベーション(革新)を促進する。
逆にデフレは、
イノベーションを阻害する」

そうか? と私も思う。

「日本経済にとって
最大の課題が生産性の向上で、
それをもたらすのは
イノベーションであることは、
今やコンセンサスと言ってもよい」

アベノミクスでは、
この点が欠落していた。

浜田宏一東京大学名誉教授、88歳。
イェール大学名誉教授。
元内閣官房参与だが、
面白い発言をしている。
「アベノミクスの三本の矢を
大学の通知表にならって採点すると
金融緩和はAプラス、財政政策はB、
成長戦略の第三の矢はE」

つまり「ABE」

与次郎さん。
「そうした観点からも
安定的なインフレを実現することが
重要であるというわけだ」

しかし、経済学者ヨーゼフ・シュンペーター。
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「イノベーション」というコンセプトの生みの親。

シュンペーターは、
「それがどこまでも『ミクロ』であることを
力説してやまなかった」

「インフレ・デフレは『マクロ』の現象である」

「イノベーターは
自らが携わる事業の個別の問題を解決し、
夢を実現するために
イノベーションを行うのであって、
一般的な物価の動向は
二義的な役割しかもたない」

ピーター・ドラッカーも言う。
「マーケティングとイノベーションだけが
企業に成果をもたらす」

これもミクロの現象を起こすことだ。

「GAFAM」は情報化時代をけん引する。
Google、Apple、facebook、Amazon、Microsoft。

「その時価総額は2015年から24年まで
10年弱で6倍ほどになったが、
この間の米国の物価上昇は
累積で約32%にとどまる」

「ケタが違う」

「インフレが、
イノベーションを促進したわけではない」

「逆にイノベーションの敵とされるデフレの下で、
イノベーションの事例はいくらでもある」

ケーススタディの最初は産業革命。
「例えば19世紀の前半、
最先進国の英国では緩慢な物価の下落が続いたが、
スティーブンソンによる鉄道の実用化、
蒸気船と運河の発達など
イノベーションは減退しなかった」

「デフレの下で大英帝国は築かれたのである」

次の事例は大恐慌のころ。
「1930年代、実体経済が
壊滅的な打撃を受けた大不況下の米国ですら、
人々の娯楽が限られる中で
ディズニー映画が生まれ、
家に閉じこもりがちな人々のニーズに応え
FMラジオが開発された」

「ここ数年、コロナ禍の下で
オンライン事業が定着した」

ウォルマートはコロナ禍中に、
オムニチャネルリテーラーに蛻変した。

「イノベーターは
物価動向とは異なる社会のニーズを感じとり、
それぞれの夢を実現した」

「一見ふに落ちそうだが、
インフレがイノベーションを促進し、
デフレがそれを阻害するという議論は
誤りである」

与次郎さんは、
断言した。

気持ちいい。

インフレもデフレも、
社会や消費生活にギャップを生む。

そのギャップを埋めるために、
イノベーションが起こる。

1930年の大恐慌の時に、
マイケル・カレンによって、
スーパーマーケットが発明された。
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1978年のイラン革命から、
第2次オイルショックが始まった。
この後のデフレ効果と引締め政策によって、
アメリカは急角度の景気後退に突入した。

その最中の1980年にサム・ウォルトンは、
エブリデーロープライスの実験を始めた。
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小売業のイノベーションは、
デフレや景気後退のときに起こる。

インフレだけが革新の友ではない。
デフレもイノベーションを起こすのだ。

〈結城義晴〉

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