結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年04月14日(日曜日)

イトーヨーカ堂に「財務的な規律を働かせる」ことに反対する。

今年の桜も終わる。
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それでも空に映える。
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桜前線は北に向かう。IMG_E36324

夕暮れが迫ってくる。
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夕陽が沈む。
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今日の日経新聞「社説」
「ヨーカ堂の遅すぎた経営改革を教訓に」

いつも書くけれど、
この新聞の社説で、
小売商業を取り上げてもらうのは、
とてもありがたい。
感謝している。

セブン&アイ・ホールディングスが、
傘下の「スーパーストア事業」に関して、
株式の上場を検討すると発表。

社説はこの問題を取り上げた。

「祖業のヨーカ堂が長く低迷し
分離せざるを得なくなった原因は、
構造改革の遅れにある」
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「構造改革」?

ん~、そう簡単に片づけてほしくはない。

社説。
「かつて小売りの優等生とされたヨーカ堂は
2000年代以降、縮小の道をたどった。
時代の変化への対応が遅れた結果だ」

「時代への変化の対応」?
これも簡単に言い切れる問題ではない。

「衣料品や雑貨、食品を扱う総合スーパーは
消費者ニーズからずれていった」

これは「総合スーパー業態」の問題を指摘しているようだ。

「過去の成功体験が
経営改革を遅らせた面もある」

「過去の成功体験」を目の敵にしていたのは、
鈴木敏文前会長である。

社説は「2000年代以降」と言うけれど、
鈴木さんは2015年まで現役会長として、
イトーヨーカ堂も統括していた。

「昨年には衣料品の自主企画をやめ、
今年に入って北海道や東北、信越からの撤退を表明した。
24年2月期まで4期連続の最終赤字だ」
これは最近のイトーヨーカ堂のこと。

「不採算事業を抱えながら抜本的な改革を先送りし、
縮小均衡に陥ったのは多くの日本企業にあてはまる」
いつの間にかセブン&アイと、
日本の小売業全体の話になっている。

「セブン&アイの井阪隆一社長は10日の記者会見で、
上場によって財務的な規律を働かせる考えを示した」

「高収益のコンビニエンスストア事業に依存したままでは、
ヨーカ堂再建のスピードは上がらない」
これもセブン&アイの話だ。

ただしこの件に対してだけ、
社説は褒める。
「妥当な経営判断と言える」

イトーヨーカ堂の再建に際して、
財務的な規律が有効なのだろうか。

「そごう・西武の売却の過程では
従業員との対話不足が目立ち、
ストライキにまで発展した。
今回のスーパー事業の再編について、
必要性と将来像を社員に
丁寧に説明することが欠かせない」

社員に丁寧に説明することは欠かせない。
けれどそのまえに社員からの信頼こそが必須だ。

「上場後は連結対象とすることに
こだわらないとしつつも、
持ち株の一部は保有し続けるという」
――財務的な規律を働かせつつ、
支配は継続する、ということか。

「食品でコンビニとの連携を重視するためだが、
『親子上場』では
親会社と子会社の一般株主の利害が対立しかねない」

「連携効果を説明できなければ、
完全分離を求める声が強まることも想定すべきだ」

今のイトーヨーカ堂の幹部や社員にとって、
「上場」はモチベーションになるだろうか。

私はそうは思わない。

しかもヨークベニマルまで、
一緒くたにして中間持ち株会社の傘下にするらしい。

ヨークベニマルの幹部や社員は、
納得するのだろうか。

そのうえ社説は言う。
「上場の前提となる収益改善は容易ではない」
またイトーヨーカ堂の問題に戻る。

ヨークベニマルは、
着実に収益性を担保している。

そして最後に、
マーケットの悪条件を並べ立てる。

「物価高を背景に、
消費者は売り手や商品を厳しく選別している。
売場の魅力を高めるのが急務であり、
効率化へデジタル化投資も欠かせない」

「消費は節約とこだわりの二極化が進む。
安値競争で消耗戦に陥らないために、
付加価値戦略が欠かせない」

何が言いたいのか。
まったくわからない。

「すべての小売業に共通する課題である」

ん~、残念。

私は小売業の改革には、
現場の意志こそが大事だと考えている。
ずっとそのことを言っている。

トップが現場を信じて、
ともに汗をかく。

そうすれば不思議なことに、
小売業やサービス業は、
少しずつ蘇ってくる。

それがスタートである。

イトーヨーカ堂は、
まだ復活することができる。

ヨークベニマルは、
今も日本有数のスーパーマーケットだ。
こちらの上場ならば、
そう時間はかからない。

総合スーパーも、
スーパーマーケットも、
その違いもわからない人間たちが、
構造改革を唱えても、
財務的な規律を持ち込んでも、
社員や顧客や取引先の信頼が得られる店にはならない。

朝日新聞「折々のことば」
昨日の第3056回。

「同じところ」を
答え合わせ的に探すだけだと
もったいないな
〈柴崎友香〉

「『共感』というのは、
他人と同じ思いになること、
そこに自分の気持ちを探し当てることではなく、
むしろ『わからないからこそわかりたい』と
願うところに生まれるものだ」

「そこに必要なのは、向き合うというより
『横に並んで佇(たたず)む』ような姿勢なのだ」

『新潮』2018年11月号、
小説家・滝口悠生との対談、
「エモーショナルな言語を探して」から。

日経の社説に、
横に並んで佇むことを求めるのは、
無理なのかもしれない。

しかし流通担当の論説委員が書いているはずだ。
横に並んで佇んでほしいものだ。

さらにセブン&アイの経営陣も、
現場の中間管理職や社員と、
「共感」することが先決である。

小売業は共感の仕事である。

〈結城義晴〉

2024年04月13日(土曜日)

ブッダと聖書と論語と「商売」

ブッダの言葉。
「いかなる生物生類(しょうるい)であっても、
(おび)えているものでも
強剛(きょうごう)なものでも、
(ことごと)く、
長いものでも、
大きなものでも、
中くらいのものでも、
短いものでも、
微細なものでも、
粗大なものでも、
目に見えるものでも、
見えないものでも、
遠くに住むものでも、
近くに住むものでも、
すでに生まれたものでも、
これから生まれようと欲するものでも、
一切の生きとし生けるものは、
幸せであれ」
〈岩波新書〉
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ブッダは仏教の開祖。
ゴータマ・シッダールタ。

商売は幸せを供するものだ。

イエス・キリストの言葉。
マタイによる福音書、その6章。

「だから、言っておく。
自分の命のことで
何を食べようか何を飲もうかと、
また自分の体のことで
何を着ようかと思い悩むな。
命は食べ物よりも大切であり、
体は衣服よりも大切ではないか」

商売は命と体を与えるものなのだ。

「だから、明日のことまで思い悩むな。
明日のことは明日自らが思い悩む。
その日の苦労は、その日だけで十分である」

マタイによる福音書7章。
「求めよ、そうすれば、
与えられるであろう。
捜せ、そうすれば、
見いだすであろう。
門をたたけ、そうすれば、
あけてもらえるであろう」

「すべて求める者は得、
捜す者は見いだし、
門をたたく者はあけてもらえるからである」

これは、生き方の極意であり、
仕事の極意である。

「あなたがたのうちで、
自分の子がパンを求めるのに、
石を与える者があろうか。
魚を求めるのに、
へびを与える者があろうか」

そしてジェームズ・キャッシュ・ペニーの、
「ゴールデンルール」が以下だ。
「だから、何事でも
人々からしてほしいと望むことは、
人々にもそのとおりにせよ」

そして再びマタイの7章。
「狭い門からはいれ。
滅びにいたる門は大きく、その道は広い。
そして、そこからはいって行く者が多い」

「命にいたる門は狭く、その道は細い。
そして、それを見いだす者が少ない」

これは、大きな門はレッド・オーシャンであり、
狭い門とはブルー・オーシャンである。

7章の続き。

「偽(にせ)預言者を警戒せよ。
彼らは、羊の衣を着て
あなたがたのところに来るが、
その内側は強欲なおおかみである」

キリストは学び方を教えている。
学者やジャーナリスト、
コンサルタントの見分け方に通じる。

「あなたがたは、
その実によって彼らを見わけるであろう」

「茨(いばら)からぶどうを、
あざみからいちじくを集める者があろうか」

「そのように、すべて良い木は良い実を結び、
悪い木は悪い実を結ぶ」

「良い木が悪い実をならせることはないし、
悪い木が良い実をならせることはできない」

「良い実を結ばない木はことごとく切られて、
火の中に投げ込まれる」

「このように、あなたがたは
その実によって彼らを見わけるのである」
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kindleで0円で読むことができる。
手に入れておくことをお薦めしたい。

倉本長治。
「バイブルや論語には
金儲けは書いてない

でも金儲けの中には
バイブルや論語が

必要なのである」
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聖書や論語に、ブッダも加えておこう。
ユヴァル・ノア・ハラリも、谷川俊太郎も。

ときどき読むと心が休まる。
そしてやる気が出てくる。

最後に論語から。
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「子曰く、君子は義に喩(さと)り、
小人は利に喩る。」
〈論語第二巻「里仁」第四16〉

「損得より先に善悪を考えよ」は、
ここに発想を得たと思う。

「子曰く、これを知る者は
これを好む者に如(し)かず。
これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。」
〈第三冠「雍也」第六20〉

知るより、好む。
好むより、楽しむ。

人生も仕事も、
こうありたい。

「子曰く、君子は和して同せず、
小人は同して和せず。」
〈第七巻「子路」 第十三23〉

世の中でも、組織のなかでも、
和して同ぜず、でありたい。

〈結城義晴〉

2024年04月12日(金曜日)

レンゴーとベイシアのネット会議と日本ホームセンター業界事情

オンライン会議、
オンライン記者会見、
オンライン取材。

毎日、それが増えた。

昨日は商人舎オフィスで、
レンゴー㈱の皆さんとの会議。
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右から縄田幸男さん、山本麻依子さん。

先日、京都の㈱マツモトの取材で同行した。
その取材記事の内容を確認し合った。

今日は朝から、
㈱ベイシアの幹部の皆さんの取材。

太田善治さんは、
執行役員食品本部長。
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そして大澤正樹さんは、
執行役員オペレーション本部長。IMG_3622 (004)4

凄くいいインタビューで、
座談会のようになった。

お二人とも30年選手。

人柄がとてもいい。
そのうえ論理的に語る。

当然ながら意気投合。

月刊商人舎5月号で、
全容を掲載します。

ありがとうございました。

さて、商人舎流通SuperNews。
チェーンストア中心の即日ニュース配信。
正確で素早い報道を売り物にしている。

今日は1日に34本の記事が載った。

決算発表の時期には、
ニュースが増える。

そのなかで、
DCMnews|
’23年営業収益4886億円2.5%増・経常利益7.3%減

2006年9月1日に㈱カーマ、㈱ダイキと、
㈱ホーマックが経営統合。
「DCM」の由来は、
「Demand Chain Management」。

2017年に㈱ケーヨーと資本業務提携し、
今年1月に子会社にした。

ホームセンター業態の勃興期には、
ドイト㈱が先駆者となり、
ケーヨーとカーマがリードした。

ドイトが1972年にホームセンター1号店を開発し、
カーマは1973年にホームセンター事業に進出、
ケーヨーはガソリンスタンド業から、
1974年にホームセンター業に参入した。

ドイトはPPIHからコーナンへ転売され、
カーマはDCMへと成長し、
この度、ケーヨーと経営統合した。

私は1977年に㈱商業界に入社し、
販売革新編集部に配属されると、
スーパーマーケットとホームセンターを、
メインに取材することになった。

だからホームセンターでは、
ケーヨーの岡本正さんや、
カーマの鏡味順一郎さんには、
ずいぶん勉強させてもらった。

ドラッグストアはまだ、
成長の前段階だった。

だから感慨深い。

そのDCMホールディングスは、
営業収益4886億円、前年同期比102.5%。
営業利益286億8500万円、95.4%、
経常利益274億1200万円、92.7%。

営業利益率5.9%、経常利益率5.6%。
収益性は悪くない。

店舗数はケーヨーを加えて840店。

日本のホームセンター産業は、
4兆円を超えるマーケットサイズで、
コロナ禍以降、DIYが復活して、
業界も好調に推移している。

コーナン商事news|
23年度年商4727億円7.7%・経常利益9.0%の増収増益

アークランズnews|
’23年営業収益3249億円、主力ホームセンター2.6%減

結果として順位は、
第1位カインズ、
第2位DCMホールディングス、
第3位コーナン商事、
第4位コメリ、
第5位アークランズ。

カインズは非上場、コメリは3月期決算。

いずれも5%以上の経常利益で、
好調に推移する。

アメリカのホームセンターは、
ホームデポとロウズによる「複占」である。

さて日本のホームセンターはどうなるか。

いまのところ5社が3000億円以上、
その下にナフコ、アレンザホールディングス、
ジョイフル本田などが続く。

「寡占」とみていいだろう。

昨年の商人舎6月号特集。
「2023日本小売業ランキング」
ポストコロナ時代の「業態」それぞれの理由
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この号の「ホームセンター」の項。

ホームセンターが
食品との親和性を高める理由

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結論は、
「ホームセンター全体の出店傾向として、
スーパーマーケットの誘致や共同出店が目立つ」

「アークランズはビバモール名で商業施設を開発して、核店舗としてスーパーマーケットを誘致している。近畿圏では万代、首都圏では昨年オープンした八王子でヤオコーを入れている」

「またニトリもニトリモールを開発して、万代、平和堂フレンドマート、オーケーを誘致する。2020年12月にニトリ傘下となった島忠にはロピアが出店している」

「カインズはベイシアとのコンビネーション出店が多いし、ジョイフル本田はジャパンミートとの共同出店が定石化している。どのスーパーマーケットも高い集客力と販売力で知られる企業ばかりである」

「ホームセンターの来店頻度を高める集客装置として、強いスーパーマーケットが欠かせなくなっているのだ。親和性の高い業態同士の相思相愛の出店戦略は、ウォルマートのようなスーパーセンターが存在しない日本ではきわめて有効である」

47年前に私が担当した2つの業態。
親和性を高めて好調である。

まだまだ上位集中は進みそうだ。

〈結城義晴〉

2024年04月11日(木曜日)

「降れば土砂降り」とベルク・ハローズ好決算の「マイルストーン」

商人舎4月号。
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巻頭に書いたのが、
[新年度に向けて]
’24マイルストーン現象の読み取り方 202404_yuuki-jihyo-768x512

“milestone”は、
街道に設置された目印の「マイル標石」のことだ。
2024年は2030年に向けた、
距離標石となる年だ。

同時に “milestone”には、
「節目」の意味がある。

2024年は標石の年であり、
その節目の年でもある。

その現象が起こっている。

かつて「北海道は日本のカリフォルニア」と言われた。
そして総合スーパー企業が例外なく、
北海道に店舗を開設して進出した。

しかし今、その「北海道カリフォルニア現象」が、
完全に終焉しようとしている。

これは小売り産業にとって、
milestone現象である。

その年に、私たちは、
どう考え、どう行動するのか。

そのことを書いた。

そして[Message of April]
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降れば土砂降り

北海道は日本のカリフォルニア。
夢をみようよ、
大志を抱け。

そんな風に、
カリフォルニアに行く気分で、
北海道に出た。

けれど夢はかなわない。
北海道はカリフォルニアほど、
暖かくはない。

うまい話ばかりじゃない。
難しいことばかり。
苦労ばかり。

カリフォルニアに雨は降らない。
けれど、降れば土砂降り。
降れば必ず土砂降り。

北海道は日本のカリフォルニア。
夢をみようよ、
大志を抱け。

そんな風に北海道に行った。
カリフォルニアに行く気分で、
北海道に出た。

けれど、
降れば土砂降り、
いつも土砂降り。

そこでいいことはあったかい?
なにかを学んだかい?
儲かったかい?

いいや、うまくはいかなかった。
あいつもあいつもあいつも。
そして誰もいなくなった。

カリフォルニアに雨は降らない。
けれど降れば土砂降り。
いつも土砂降り。

〈結城義晴〉
Thanks to Albert Hammond.
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“It Never Rains In Southern California”

さて、商人舎流通SuperNews。

イオンnews|
5/29付で土谷美津子執行役副社長が取締役就任

4月10日(水)開催のイオン㈱の指名委員会で、
土谷美津子さんが取締役候補となった。
現在、執行役副社長商品担当。
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5月29日の定時株主総会で決議され、
正式に確定し就任する。

おめでとう。

これでイオンの常勤取締役は4人となる。
岡田元也代表執行役会長、
吉田昭夫代表執行役社長、
そして羽生有希執行役副社長デジタル担当。

彼らは重任し、土谷さんが加わる。

男性2人、女性2人の体制。

女性の取締役を、
ことさらに強調する必要はないが、
それでもこれは実に、いいことだ。

イオンで働くすべての女性たちに、
大きなモチベーションとなる。

「ガラスの天井」などと言われて、
女性が組織の上のほうに上がっていくのは、
本当に大変だった。

イオンは会社を挙げて、
このガラスの天井を打ち破ろうとしていた。

それが成就しつつある。
産業にとっても、
いいことだ。

ただし羽生さんと土谷さんには、
大きなプレッシャーと責任がかかる。

お二人はすでにそれを乗り越えていると思う。

凄いことだ。

さて二つの2024年2月期決算。

ベルクnews |
営業収益3519億円13.2%増・経常利益150億円4.7%増

ベルクの営業収益3519億円、
前年比113.2%。

営業利益144億9500万円(103.4%)、
経常利益149億7200万円(104.7%)。

営業利益率4.1%、
経常利益率4.3%。

ハローズnews 
営業収益1954億円12.3%増/36期連続増収・11期連続増益

ハローズの営業収益1954億円、
対前年比112.3%。
営業利益108億7000万円(120.1%)、
経常利益108億9600万円(119.2%)。

36期連続増収、11期連続増益。

そして営業利益率5.6%、
経常利益率5.6%。

ヤオコーの3月期決算が、
1か月後に発表されるが、
この3社が2024年マイルストーンの年の、
エクセレントスーパーマーケットということになる。

やるべきことを一つひとつ、
やり遂げる。
やり続ける。

それがエクセレントな会社への、
いちばんの近道なのだ。

そのことを忘れてはいけない。

カリフォルニアには、
雨は降らない。

けれど降れば土砂降り。

そんなときにも、
やるべきことをやり遂げる。
やり続ける。

だからベルクもハローズも、
ここまで来た。

そしてそれは彼らの一里塚である。
それが商売の本堂である。
いくら賞賛しても足りないほどの、
マイルストーンである。

〈結城義晴〉

2024年04月10日(水曜日)

商人舎4月号発刊とセブン、イオン、ライフの決算発表

月刊商人舎本4月号本日発刊。202404_cover-page

特集は、
ドラッグストアの爆発点?!
[10兆円3万店]M&A産業の行方

[Cover Message]
薬剤師の数だけ「薬局」があった。そこからドラッグストア業界は始まった。酒屋やパン屋がまずコンビニエンスストアに変わったように、八百屋、魚屋、肉屋がスーパーマーケットに業態転換したように、薬局・薬店がドラッグストアに変貌した。だから圧倒的に数多の小企業の業界だった。
それが今や1兆円チェーンが3社も登場しようとしている。さらになんとトップ2社が経営統合して、2兆円を超え、3兆円を視野に入れる。彼らは世界第4位のドラッグストアチェーンとなり、アジアを目指す。そして「業界」は「産業」となった。
薬剤師の数だけ存在していた小さな店々が連続的な経営統合によって巨大チェーンとなり、産業のスケールは10兆円・3万店へと爆発する。その時に一番大切なものは何か。その爆発点の原理とはどんなものか。そしてその軌道は何処に向かうのか。「産業の論客」の言葉を噛みしめつつ、「M&A産業の行方」を描き出す。

ウエルシアホールディングス㈱会長にして、
一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会会長。
池野隆光独白
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10ページ1万5000字。
ロングロングインタビュー。

結城義晴は、
寡占から鼎占へのプロセスが、
産業の爆発点であることをシンプルに解明する。

もう一つ。
店舗研究特集は、
MEGAドンキ成増店
これは魔境のポジショニング戦略だ!
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3月13日、都内最大級のMEGAドン・キホーテ成増店がオープンした。ダイエー成増店撤退跡への居抜き出店だ。国内最大の総合スーパー企業となった㈱パン・パシフィック-インターナショナルホールディングス(PPIH)はポジショニング戦略でも抜きん出たユニークさをもつ。その経営理念と国内成長戦略を分析し、そしてしたたかな最新店の全貌をお届けしよう。

[特別写真構成]
最大級MEGAドンキ成増店、したたか!

写真100枚超、15ページ。
成増店を丸裸にする。

是非ともweb版商人舎で見てほしい。
流通専門カメラマン結城義晴の本領発揮!!
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ダイエーがイトーヨーカ堂が、
西友がマイカルがユニーが、
捨ててきた部門とカテゴリーが、
ドンキ流に再構築されて、
魅惑的に表現される。

それは魔境のポジショニング戦略だ。
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目次。
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[特別レポート]
総菜製造ロボットの未来
合言葉は「ロボフレ」202404_robot

CaseStudyは、
マックスバリュ東海
――惣菜盛り付け全工程の自動化

ベルク
――「巻き寿司」多品種盛付で自動化を実現
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原島一誠ベルク社長、本誌初登場。
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今度、ゆっくり話しましょう。

最後に[新店の注目点]
トップバリュ5割の特化型実験店
MZ世代ターゲットの「まいばすけっと仲町台駅南店」
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突き詰めていくとこれは、
トレーダー・ジョーになってしまう。

さて、どうか?

商人舎4月号、
私がお勧めします。
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さて今日は、
決算発表の日。
㈱セブン&アイ・ホールディングス、
イオン㈱とイオン北海道㈱、
そして㈱ライフコーポレーション。

夕方の17時から、
セブン&アイ。
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商人舎流通SuperNews。
セブン&アイnews|
営業収益11兆4718億円2.9%減ながら営業利益過去最高

井阪隆一社長がいつものように、
細かく説明した。
減収ながら過去最高益だった。
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それから取締役や子会社のトップとともに、
質疑応答。
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ヨークベニマルの大高耕一路社長も初登場。
イトーヨーカ堂の山本哲也社長への質問も多かった。seven_sankasya2

昨日のこのブログで書いたように、
中間持ち株会社つくって、
スーパーストア事業を分離し、
再上場を狙っていく。

囲み取材にも多くのジャーナリストが集まった。
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一方、イオン㈱の記者会見は、
15時30分から。
aeon_sankei

イオンnews|
営業収益9兆5536億円4.8%増/売上高・利益とも過去最高更新

イオンは過去最高を更新した。
来年の2月期には10兆円の大台を達成する。aeon_speaker

吉田昭夫社長はいつものように、
歯切れよく語った。??????????

質疑応答は多岐にわたった。
それにもよどみなく答えた。aeon_yoshida2

15時から札幌で開催されたのが、
イオン北海道の会見。
私はオンラインで参加した。
青栁英樹社長がやや早口で説明した。IMG_36075
西友の9店舗を譲受する件に、
質問が集中した。

北海道の鼎占の行方や、
イトーヨーカドーの3店を、
ロピアが譲り受ける話にも質問が及んだ。

ライフコーポレーションは16時から。
岩崎高治社長は上機嫌。
コロナ特需の2021年2月期を除けば、
すべての項目で過去最高。IMG_3608 (002)

ライフnews|
23年度営業収益8097億円と過去最高・20期連続増収
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好調な2024年2月期決算。

コロナ禍のあと、
如何にスピードアップできるかが、
各社の実力となる。

〈結城義晴〉

2024年04月09日(火曜日)

イトーヨーカ堂を統括する「中間持ち株会社案」浮上!?

横浜の桜。
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今朝の雨で、ずいぶん散った。IMG_3577 (002)r4

土日曜、月曜と動き回って、
かなり疲れたので午前中は休養をとって、
午後、出社。

1時半からオンライン会議。
5月の商人舎US研修会ベーシック編。
入念に打ち合わせした。

そのオフィスに「セルコレポート」が届いた。IMG_3580 (002)4
私の連載「艱難は商人を鍛える」
第24回となる。

1年に12回だからもう2年となる。

「セルフサービスを発明した
クラレンス・サンダースや
ダイエー創業者の中内功さんの物語から紐解いて、
さまざまな商人の
艱難のストーリーを書いてきました。

そんな艱難の商人の物語を書いていて、
『お前にはそれはないのか』と問われそうです。
そこで連載の2回分だけ、
自分のことを書かせてもらいます」

タイトルは「結城義晴の右目の艱難」
ご愛読のほどを。

さて今日は午後6時半に、
イトーヨーカ堂のニュースが、
ネット上を飛び交った。

共同通信の配信。

産経新聞、新潟日報、
スポニチなどが、
電子版で報道した。

「セブンがヨーカ堂を上場へ 
祖業のスーパー事業分離」

「関係者への取材で分かった」とある。

「イトーヨーカ堂の業績は
不振が続いていたが、
合理化で再建への方向性が見えたとして
上場を目指す」

「同社のスーパー事業の立て直しは
最終局面を迎えた」

「上場に数年はかかる見込みで、
上場後もセブン&アイは一定の株式を保有し、
協力関係を継続するとみられる」

イトーヨーカ堂を、
セブン&アイから分離して、
それから再上場するというストーリー。

ん~。

すると日経新聞電子版が、
23時半にこれらを訂正するような記事を載せた。

「セブン、イトーヨーカ堂株を一部売却へ
外部資本を活用」
202304_hyoushi
「セブン&アイは
イトーヨーカ堂などのスーパー事業の株式を
2026年以降に一部売却する検討に入った」

「ヨーカ堂で構造改革を進めて
外部資本も入れて再成長を目指す」

「祖業であるヨーカ堂を非中核と位置付け、
コンビニエンスストア事業に集中して
一連の構造改革にめどをつける」

やはり。

売却に関しては、
「中間持ち株会社を設立」する。
その下にヨーカ堂やヨークベニマルなどを、
ぶら下げて中間持ち株会社に外部出資を募る。

その際、新規株式公開も検討。

中間持ち株会社に対しては、
セブン&アイの持ち分は過半も含めて、
今後、詰めていくが、
一定比率は維持してグループに残す方針。

日経の取材にセブンが答えて、
この記事が出来上がった。

明日の決算発表の席で、
井阪隆一社長が同じ趣旨の説明をするはずだ。

考え出されたのは、
「中間持ち株会社方式」

セブン&アイという持株会社の下に、
さらに中間の持ち株会社を設けて、
イトーヨーカ堂やヨークベニマルを統括させる。

二重に持ち株会社を設置する。
一番上の持ち株会社はちょっとだけ、
責任が軽くなった気になるかもしれない。

この中間持ち株会社も、
いずれ上場させるかもしれない。

共同通信の記事は、
イトーヨーカ堂が再上場すると報じた。
厳密に言えば誤報ということになる。
202304_seven-448x299

私はずっと言い続けているが、
イトーヨーカ堂の社員たちどう思っているか。
さらにヨークベニマルの幹部や社員は、
どう考えているのだろうか。

二重の持ち株会社。

小売業は現場の人々の力が、
営業に大きく影響する。

セブン-イレブンのような、
フランチャイズのコンビニでも、
加盟店のオーナーや店長たちが、
実際の商売を担っている。

倉本長治。
「店は客のためにあり、
店員とともに栄える」

どんなに大きな会社であろうとも、
この大原則から外れたら、
おかしくなる。

どんなに素晴らしい業績を上げた組織でも、
この鉄則を守れなかったら、
衰退に向かう。

中間持ち株会社。
私は賛成する気にならない。

創業者の故伊藤雅俊さん。

会社と経営が、
誠実であること。
202307_ito

何度もなんども書いてきたけれど、
伊藤雅俊から離れたら、
この会社は駄目になる。

〈結城義晴〉

2024年04月08日(月曜日)

「決算発表の季節」と木更津アウトレット&スーパーセンター

Everyone, Good Monday!
[2024vol⑮]

2024年第15週。
4月第2週。

今週は水曜日の10日に、
決算記者会見が目白押し。
イオン㈱、㈱セブン&アイ・ホールディングス、
そして㈱ライフコーポレーション。

決算発表の季節だ。

マスコミは忙しい。

すでに発表した企業もあるし、
今日も重要な記者発表があった。

商人舎流通SuperNews。
サンエーnews|
営業収益2276億円・6.6%増/経常利益169億円・46.2%増

㈱サンエーは営業収益2276億円
前年同期比6.6%増。
営業利益164億6400万円(47.1%増)、
経常利益168億9300万円(46.2%増)。

営業利益率7.2%、経常利益率7.4%。
7%台に回復した。

新城健太郎社長を筆頭に、
全幹部、全社員が頑張った。

経営方針は、
「もっといい方法はないか考えよう」

これは具体的で、いいなあ。

人財力、仕組み力、商品力の向上に取り組んだ。

そして企業理念の浸透と七大基本の徹底。
既存店の活性化、効率化を図り、
顧客満足度の向上に努めた。

既存店売上げは通期で6.6%増。

凄い決算だった。
おめでとう。

フジnews|
営業収益8010億円2.0%増・経常利益174億円30.0%増

㈱フジの連結営業収益8010億円、
対前年増減率2.0%増。
営業利益151億1000万円(33.5%増)、
経常利益173億7400万円(30.0%増)。

営業利益率1.9%、経常利益率2.2%、
いずれも前年を0.5ポイント上回った。

2024年3月1日から本格的な経営統合に進む。

その弾みとなる決算だ。

ウエルシアnews|
売上高1兆2173億円6.4%増/経常利益478億円8.4%減

ウエルシアホールディングス㈱は、
売上高1兆2173億円、
前年同期比6.4%増。

1兆円を2000億円も上回った。

営業利益432億3100万円(5.3%減)、
経常利益477億5600万円(8.4%減)。

増収減益。

営業利益率3.6%、経常利益率3.9%。

売上総利益が30.5%から30.4%に微減、
販管費率が26.5%から26.8%に増加。

1年間に102店舗の新規出店、
40店舗の閉店。
期末店舗数は2825店舗となった。

㈱ツルハホールディングスとの合併を、
2027年に控えて、
成長軌道は衰える気配がない。

月刊商人舎4月号では、
池野隆光会長のロングインタビューで、
その考え方を存分に語ってもらう。
ikeno_IMG_9661

さて私は千葉県木更津のホテルに宿泊した。

朝、宮本洋一ブルーチップ㈱社長は、
北海道に向けて出立した。

それを見送ってから、
鈴木國朗さんと木更津をクリニック。

まず三井アウトレットパーク木更津へ。202307_cover
日本のアウトレットモールのなかで、
第2位に入る。
三井不動産の運営。
年間売上高は550億円に至る。

第1位は御殿場プレミアムアウトレット。
こちらは三菱地所・サイモンの開発・運営で、
年商は800億円を超える。

商人舎2023年7月号で特集した。
Outlet Center Age
三井・三菱&イオンのそれぞれ
2023-7hyousi-448x631 (1)

朝9時半の開場、
ショップのオープンは10時。
IMG_35444

一番に入ると、さすがに人影はまばら。IMG_35454

朝10時にはすべてのショップの入り口に、
店員が一人ずつ立っていて、
最初に通り過ぎる顧客にお辞儀をする。
それから店の奥に戻っていく。

それがルール化、習慣化されている。

私たちは1時間、
思い思いに店を回って、
買物をすることにした。
IMG_35504

このアウトレットモールの真ん中あたりに、
フードコートがある。
IMG_35494

昼頃にはずいぶん顧客が増えて、
軽食を食べたり、お茶を飲んだりして、
休憩している。
IMG_35484

私はアメリカのアウトレットにも、
毎年のように訪れる。

日本で成功するには、
アメリカの完全コピーをすること。
もちろんテナントは日本の企業も入ってよろしい。

三井不動産、三菱地所・サイモンに続いて、
積極的に取り組んでいるのは、
イオンモールだ。

私たちのランチは、
木更津KiSARA。
IMG_35514

私は金目鯛の煮つけ・刺身・焼き魚定食。
大満足。
gallery_p05

それからベイシア木更津金田店へ。
2019年12月6日にリニューアルオープンして、
スーパーセンターになった。
IMG_35524

食品のフルライン売場に、
ノンフードを加えた。
IMG_35544
インナーを広くとって、
アパレルを充実させた。
ワンプライスショップのセリアを、
インストアのテナントで入れた。

人口が増えつつある木更津で、
いい商売をしている。

プライベートブランドも、
「ベイシアプレミアム」を開発して、
「もっと! 良いものをより安く」のキャッチフレーズで、
大々的に展開している。

この木更津には、
コストコの本部が移転してきた。
コストコ木更津倉庫店も大繁盛している。

千葉県の木更津が、
今、熱い。

いい勉強になった。

では、みなさん、今週も、
商売商売、勉強勉強。

Good Monday!

〈結城義晴〉

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