結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年04月07日(日曜日)

孼会と令和名人会の「けふまでの日はけふ捨てて初桜」

月刊誌の責了をして、
京都に出張。

店舗視察と講演。
そして懇親。
円山公園の枝垂れ桜。

忙しかった。

4月最初の週末は、
楽しいことばかり。

昨日の土曜日は、
夕方から中学・高校時代の親しい友人たちと会食。

(ひこばえ)の会。

このブログで何度も書いているが、
私は高校1年から文学同人誌に参加した。
そのタイトルが「孼」だった。

仲間は7人いた。

同人誌を中心に、
一緒に山に登った仲間、
バンドを組んだ仲間、
部活の仲間など、
なんとなく7人が集まった。

18歳で卒業してから、
もう53年が経過する。

全員が元気に生きている。

ずっと正月に新年会を開いていた。
しかし今年から春夏秋冬で集うことにした。

横浜の京浜急行・日ノ出町駅に集合。

大岡川の桜。
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何処に行っても桜が楽しめる。IMG_35074

満開だ。
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屋形船が行く。
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エンジン付きボート「ベネチア号」も行く。IMG_35135
乗りたいとは思わないが。

桜の下には鬼が住む。
大岡川の桜には、
そんな気配はない。IMG_35124

今回は5人が集まった。
みんな71歳。
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予約を取った店は「万喜多」。
幹事の関孝和君が、
もう40年ほど前から、
馴染みの店。
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孼でも何度となく利用している。

6時ごろから飲み始めて、
8時過ぎまで。

この店の「ぬた(饅)」は最高。
筍、空豆、銀鱈。
生ビールと日本酒、
そして最後は焼酎。

ずいぶん飲んで、話し合った。IMG_E35154

それぞれの人生を歩んできた。

10代の6年間だけ一緒にいたが、
その後、自分たちの身の上に、
さまざまな出来事が起こった。

互いに知らないことが、
ずいぶん多いと気がついた。

それが新鮮だった。IMG_E35184

身に着けたこともあった。
捨ててきたものもあった。

そして今が、ある。
まだまだ。

食事が終わって、
伊勢佐木町を散策した。IMG_35214
10代のころには、
よく来た街だ。

横浜発祥の野澤屋。
それが横浜松坂屋となり、
ピークの1991年には300億円の年商を誇った。IMG_35234
建物はアールデコの外観を有する。

2008年10月26日に営業を中止した。

人気デュオのゆずは、
無名の時代にこの松坂屋前で、
路上ライブをやっていた。

書店の有隣堂本店。
よく、本を買いに来た。IMG_35264

現在の伊勢佐木町商店街には、
チェーンストアの外食や小売業が、
ずらりと並んでいる。IMG_35284

青江三奈が歌った「伊勢佐木町ブルース」は、
1968年のヒット曲だった。
私たちは16歳だった。

横浜はみなとみらいを含めて、
大人気のスポットとなったが、
伊勢佐木町は静かに変わった。IMG_35294

それもいいだろう。
私たちの街であり続けてほしいものだ。

妙蓮寺に戻ってきて、
いつもの帰り道の桜も満開。IMG_35324

ちょうどきれいに開いていた。IMG_35314

ときをりの風のつめたき桜かな
〈久保田万太郎〉

早く寝て、朝、
アクアラインを走って、
上総モナークカントリークラブへ。

今年初の令和名人会。
1989年から35年続いている。

スタート時点では、
霧がかかっていた。IMG_3534 (002)4
ブルーチップ社長の宮本洋一さん、
アイダスグループ社長の鈴木國朗さん。
新谷千里さんが急遽、欠席で、
ピンチヒッターは亀谷しづえ商人舎GM。

ラウンドするうちにからりと晴れて、
午後には20度を超えた。

そしてあちこちに桜の花が見え始めた。
不思議なものだ。

世の中は三日見ぬ間に桜かな
〈大島蓼太〉

ゴルフのほうは淡々と進んだ。
鈴木プロの打ち下ろしの一打。
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青い空と白い雲、
緑の芝生と桃色の桜。IMG_3538 (002)4

午後になって一斉に桜が開いた。
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そして上がるころには、
満開になった。
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宮本プロの圧勝。
鈴木プロにも2打負けた。

しかし、いいメンバーで、
いいゴルフ日和だった。

その後、木更津金田まで移動して、
ホテルに宿泊。

夕食は焼き肉パーティー。

二晩続けての小宴。

それでも元気が出てくる。
まだまだ道を究めます。

けふまでの日はけふ捨てて初桜
〈加賀千代女〉

捨てることができるから、
道を究めることができる。

究めるためには、
捨てなければならない。

〈結城義晴〉

2024年04月06日(土曜日)

訃報/飯田勧オーケー会長の[関西スーパー方式+ウォルマート]

訃報です。

飯田勧(すすむ)さん。
オーケー㈱会長。
96歳。

商人舎流通SuperNews。

訃報|
オーケー創業者の飯田勧会長逝去、96歳

1928年、昭和3年3月23日生まれ。

ライフコーポレーションの故清水信次さんは、
1926年生まれだから飯田さんは2つ年下。

関西スーパーマーケットの北野祐次さんは、
1924年で飯田さんの4つ上だった。

実家は東京都日本橋の酒問屋・岡永商店。
その3男として誕生した。

根っからの商人だ。

1945年、終戦の年に、
海軍兵学校を卒業。

従軍はしていない。

戦後は岡永商店に入社し、
1949年、常務取締役就任。

ご長男の飯田博さんが、
この岡永を継いで、
日本名門酒会をつくった。

地酒ブームを仕掛けたのは、
飯田博さんだった。

温厚な人柄で、
私はずいぶんお世話になった。

食品商業で酒の雑誌を作っていたからだ。

現在は飯田永介さんが次いで、
地酒の第一人者と評していい。

その次の兄が飯田が飯田保さん。
居酒屋チェーン「天狗(てんぐ)」を創業。
運営するテンアライドを創業した。

こちらは飯田永太さんが継いでいる。

末弟の故飯田亮さんは、
セコムを創業した。

三男の勧さんは1958年に、
㈱岡永商店の小売り部門として、
スーパーマーケットを始める。

東京・上板橋のオーケー1号店である。
オーケーのOは岡永のO、
ケーは「小売り」のK。

そしてお客様のご要望には、
なんでも「OK」と応える。

だからOKと命名したと、
私は理解している。

青山の紀ノ国屋が1953年、
福岡の丸和フードセンターが1955年、
その直後のスーパーマーケットの創業で、
日本でも早い時期のスタートだった。

1967年、岡永商店から会社を分離して、
オーケー㈱を設立し、
代表取締役社に長就任。

1975年には当時の通商産業省の支援を得て、
国分寺で初の「無人スーパー」を開発した。

スーパーマーケットの様式を採用して、
売場は無人の店のように見えたが、
バックヤードには人間がたくさんいて、
独楽鼠のように働いていた。

つまりこの店は大失敗。

その後、関西スーパーの北野さんに教えを乞うて、
その無人スーパーの店を大改装。

関西スーパーそっくりの店舗を始めた。
これがオーケーの基礎となった。

現在の店はその当時の関西スーパーの原則を貫いている。

むしろ今でも原則的なのは、
オール日本スーパーマーケット協会に、
入らなかったこのオーケーと、
協会を脱退したツルヤである。

皮肉な結果となった。

しかし飯田さんは、
その店がスタートした半年後に、
ダイエーの中内功さんと手打ちをして、
グループの傘下に入った。

中内さんはセーフーチェーンとOKを、
合併させて関東の拠点企業にしようと考えた。

飯田さんと岡永は、
自主独立の道を選んで、
やがてこの提携は解消された。

その後、飯田さんは、
1986年、エブリデー・ロープライスを始める。
ウォルマートのコンセプトを採用する。

これを貫徹して現在のOKが生まれる。

飯田さんは探していた。
何が本命なのか。

いち早く無人スーパーをつくったが、
これは実態が伴っていなかった。

次に関西スーパー方式を導入した。
これはオーケーの体質となって残った。

そこにポジショニングを加えねばならないときに、
飯田さんははじめダイエー方式を選んだ。
しかしそれは本命足りえなかった。

だからウォルマートをモデルにした。

基本業態+ポジショニング。
それがフォーマットだが、
飯田さんは関西スーパー方式に、
ウォルマートのコンセプトをプラスした。

これが成功の方程式だった。

それ以降のことは、
月刊商人舎2022年12月号に書いた。
特集「オーケーとロピア」
「安売り原点説」を凌駕した“正統派”食品小売業の比較研究
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1986年4月、基本方針を変えた。
それまでの「高品質・お買徳」に、
「Everyday Low Price」を加えた。

第1に品質の良い商品の中から、
価値のある商品・おいしい商品、
鮮度の良い商品・健康に良い商品、
便利な商品を基準として販売する。

第2は毎日を「特売日」として営業する。
基本的に特売日を設けない。
毎週月曜日に商品情報を発行して、
新商品・値下げ商品を告知する。

「ハイ&ロー」の拒否である。

そのうえで、ナショナルブランドを、
地域最安値で販売し、
「最低価格保証」をする。

ウォルマートは「プライスマッチング政策」と呼ぶ。

「万一、他店より高い商品がございましたら、
お知らせください。値下げします。」

オーケーの価格が競合店の価格より高い場合には、
「競合店に対抗して値下げしました。」と、
POPを付けて値下げ販売する。

そして「借入無しで年率 20%成長を達成する」
これは現在の目標だが、
飯田さんは1996年3月6日、
最初の目標を公開した。
「年率30%成長に挑戦」

3年半後の1999年9月8日に達成すると次の目標は、
「借入れ無しで年率30%成長を達成する」

さらに次は、売上げ規模を拡大しつつ、
経費率を15%に抑え、経常利益を5%稼ぐ。

このようにして飯田さんは、
2010年3月期に年商2000億円をクリアし、
借入無しで年率20%以上の成長を、
継続して実現するレベルに到達した。

飯田経営は一貫して、
高い目標を社内外に公開し、
それを必死で達成するという、
「目標達成主義」だった。

詳細は商人舎2022年12月号を再読してもらいたい。
この一冊が飯田勧さんへのはなむけとなった。

稀代のスーパーマーケット経営者だった。
ご冥福を祈りたい。

〈結城義晴〉

2024年04月05日(金曜日)

八幡市「背割提」の桜並木とロピア京都ヨドバシの「インスタ映え」

㈱マツモト会長の松本隆文さんから、
写真をお送りいただいた。

京都府八幡市、背割提(せわりてい)。IMG_9216 (002)3

桜並木が有名だ。
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松本さんは桜が大好きで、
毎年、吉野の山桜や、
弘前の桜を見に行くそうだ。

「桜散策」

うらやましい限りだが、
この時期は私も、
できるだけ桜を見たいと思う。

今、満開。
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ありがとうございました。

マツモトの店を訪れて、
講演もした。

マツモトらしさ、京都らしさを、
一所懸命に追及しても、
うまくいかないことはある。

そこは仮説と検証を繰り返す。
Plan-Do-Check-Actを回す。

それによって、
模倣困難なマツモトらしさを生み出す。

みなさんの奮闘を期待したい。

私は京都駅へ。
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京都タワー。
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1964年2月3日に立柱式、
12月28日の開業。

鉄骨は一切使われていない。
円筒型の塔身は12~22ミリの、
特殊鋼板シリンダーを、
溶接で繋ぎ合わせて作られた。

モノコック構造という。
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今年の4月から2029年3月末まで、
名称が「ニデック京都タワー」となる。
ニデックが命名権をとった。

私は京都ヨドバシカメラへ。
1階のアップルショップ。
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地下2階にロピア。
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2021年11月18日オープン。

2020年9月29日に、
「寝屋川島忠ホームズ店」を開業した。

京都淀橋店は関西圏7号店。

今やTOKYO-BAYと並ぶ、
ロピアの代表店舗だ。

京都に来たら、ロピアの視察は欠かせない。

入り口の青果部門には、
氷を敷き詰めた売場があったが、
今は氷がなくなった。
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旬の筍はこの3本アイテムが2800円。IMG_34855

惣菜売場は相変わらずの大人気。IMG_34844

鮮魚の魚萬もいつも客数が多い。IMG_34834

「海鮮たっぷりちらし」は、
宮城のはらこ飯だ。
鮭とイクラがのったちらし寿司。
これを購入。
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「インスタ映え」と書かれた「はみ出し巻」。IMG_34824
インスタで受ける映像も、
商品の要素となってきた。

相変わらずの大繁盛で一安心。IMG_34964
オープン当初の意欲的な挑戦は、
残るものと残らないことがある。

現場がやりやすいように変えればいい。
しかしロピアのポジショニングに関する、
革新的な試みは続けなければならない。

そして新しいチャレンジが必須である。

ここでもPDCAである。

毎月第4月曜日。
「やったるDAY」。
この日には「大試食会」も行われる。
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さらに「店置きチラシ廃止」。
ロピア公式アプリ「ロピタ」で、
毎日配信することになった。
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店は常に変わり続ける。
それはとてもいいことなのだ。

横浜に帰ってきて、
家の近くの夜桜。
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こちらは少し寒い。
けれど遅ればせながら満開の桜。

初桜折しもけふは能日(よきひ)なり
〈松尾芭蕉〉

京都の桜の二日間。
良い日だった。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2024年04月04日(木曜日)

京都マツモトの店舗訪問と絶品料理&夜桜の「卓越」

今日は東海道新幹線で京都へ。

あいにく富士は厚い雲の向こう。
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マツモトの取材と講演。

京都府亀岡に本部を置くマツモト。
業容は25店舗・売上高575億円。

売上げの7割は京都市内の店舗が、
ドミナントを築いて稼ぐ

京都市内の旗艦店はマツモト五条店。
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木曜の今日はセール日。
午後2時に店に到着したら、
次々に顧客がやってくる。
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社内研修の「北水会」の実施日で、
マツモト幹部が勢ぞろいしている。
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「北水会」はもともと、
オール日本スーパーマーケット協会の中の、
特別に濃いメンバー企業の勉強会だった。

当時の関西スーパーマーケットの、
北野祐次社長と水谷久三専務を中心に、
メンバー企業の店舗を視察して、
侃侃諤諤(かんかんがくがく)、意見を交換した。

北野さんは会長になり、
水谷さんも最高顧問になった。

そしてお二人とも亡くなられた。
それでも北水会は続けられた。

残念ながら新型コロナウイルス感染拡大で、
この北水会は中断した。

そこでマツモトでは、
この活動を自社内で行うことにした。

今年は第5回「社内北水会」となった。

その北水会の対象となった店を私も訪れた。

売場にはマツモトらしさがあふれている。

バイヤーの顔写真入りPOP。
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京都の名物「ちりめん山椒」。
目利きの達人の写真入り。IMG_3392

それからブランド化した、
「まごころ牛」
実によく売れている。IMG_3383

さらに京菓子の島陳列。
これも大人気となった。IMG_3385

マツモトだから取り扱える商品。IMG_3386

京風だし巻き玉子やにしんの昆布巻き。
今日のおばんざいだ。IMG_3396

自慢の惣菜はすべて、
店内加工。
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さば寿司と巻き寿司。
マツモト名物のセットアイテム。
買って食べた。
肉厚の鯖がのったさば寿司も、
かんぴょうと玉子が入った巻き寿司も、
優しい味で美味かった。IMG_3401

天ぷらコーナー。
カボチャのてんぷらのこの厚み。
おやつとして食べられることもあって、
よく売れている。
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マツモトがどんどん進化している。
それを見てうれしかった。
案内してくれた幹部の皆さんと写真。IMG_4669
グリーンのジャンパーがマツモトの幹部の皆さん。

右から松本隆文会長、松本健司社長。
私の左隣は村田五条店店長、堀内智之部長。
加茂晶一店舗運営部ブロックマネジャー。
堀内さんは第一商品部で青果と海産を担当。

そしてレンゴーの皆さん。
右から山本麻依子さんと勝村佳代さん、
そして縄田幸男さん。

レンゴーは段ボール什器を、
マツモトの店頭で実験している。
今日はその取材だが、
デザインマーケティングセンターから
三人が同行してくれている。

次に向かったのは、
マツモト西小路御池店。IMG_4673

青果売場。
レンゴーの段ボール什器を効果的に使用している。IMG_4687

海産売場のテーマは「まんぷくの春」。
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鮮魚では辻昌幸店長と鮮魚担当者が説明してくれた。
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京都産生乳100%の京都農協牛乳。
マツモトでは大人気。
地元の商品開発が進んでいる。IMG_4723

レジ前島陳列の米売場は京都産米がメイン。
京都丹波産こしひかり。

買って帰りたかった。IMG_4736

ご案内くださった辻店長初め、
西小路御池店の皆さんと写真。IMG_4733
右から二人目は小谷真也さん。
営業企画部長で今回の取材のアテンドをしてくれた。

皆さん、ありがとうございました。

京都市から亀岡市のマツモト本部へ。
今年初めに改装を終えた。

故松本定市前会長の部屋を応接間にした。
窓から眼下に亀岡市内が見える。IMG_4741

4階のホールで、結城義晴の講演。IMG_4750

マツモト社内北水会のメンバーとして、
経営トップから部長、マネジャークラスの人たちが、
全員参集。
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事前に私の新著『チェーンストア』が、
全員に配られていた。
商人舎ミドルマネジメント研修会や、
US研修会ベーシック編などに、
マツモトからは幹部やミドルマネジメントが、
多く参加している。

理解度テストなどのS級獲得者の比率は、
極めて高いレベルだ。

だから私は講義がしやすい。
伝えたい内容はすでに勉強済みだ。

つまりマツモトは「学習する組織」なのだ。
そうすると講義や講演は、
理解度が飛躍的に高まる。

そこでチェーンストア1.0と2.0、3.0の解説。IMG_4758

とくに2.0の「業態チェーンストア」時代に、
関西スーパーが果たした役割は極めて大きい。
マツモトは北水会などを含めて、
徹底的に関西スーパーに学んだ。
そして業態の確立を実現させた。
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そのうえでフォーマットの時代となった。
チェーンストア3.0である。

このフォーマットは、
業態としての関西スーパー方式に、
マツモトらしさのポジショニングを加えることで、
完成に近づく。

3.0は関西スーパー方式の徹底と、
マツモトらしさの貫徹によって成し遂げられる。
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もっともっとマツモトらしさを極めてほしい。
アウトスタンディングな、
模倣困難なマツモトらしさ、
京都らしさ。

それがマツモトのポジショニングとなる。

最後は祈り。
変えられるものは変える勇気を、
変えられないものは受け入れる心の静かさを、
それらを見分ける英知をお与えください。

何度も拍手をいただいた。
ご清聴、感謝したい。IMG_4768

講演が終わると、
ふたたび京都市内へ。

大井川が流れる嵐山付近。IMG_3410

河畔にある「天ぷら松」。
松本会長の大学の先輩が創業した店。

ここで松本会長、松本社長、
そして松本幸男専務との会食。
亀谷しづえ商人舎ゼネラルマネジャーも。IMG_3415

車で送ってくれた八田茂徳さん。
店舗運営部チーフマネジャー。
この嵐山に住んでいるそうで、
観光名所ではゆっくりと走ってくれた。IMG_3416

「天ぷら松」の料理は言葉に表せないくらい、
素晴らしかった。

まさにアウトスタンディングだった。
卓越した料理だった。

まずはビールで乾杯。
講演で乾いたのどに染み渡った。
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先付けの青豆とキャビアのおかゆには、
いきなりびっくりさせられた。
先付けでおかゆさん、
しかも、超美味。

次々に趣向を凝らした料理が出てきた。

松葉蟹を目の前の炭火で焼いてくれる。IMG_4780

そのままいただくのかと思いきや、
丁寧に身をほぐしてくれて、
カニの甲羅に蟹肉と湯葉を詰めてあげた天ぷらに、
ほぐした身をこんもりとのせて、
絶品の蟹みそソースをかける。IMG_4787

食べると蟹のさまざまな味が楽しめる。
絶品。
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京都は筍の産地だ。
朝獲れの新鮮な筍は、
糠を入れずにお湯だけで炊き上げる。
それで十分らしい。
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まず茹でただけの筍の本体。
これが素朴で筍本来の味で、
素晴らしかった。
新鮮な筍はトウモロコシの香りがする。
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さらに筍の穂先を叩いた木の芽と一緒に、
塩だけでいただく。
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大ぶりの伊勢エビは、
しっかり掴んでおかないと、
飛び出すほど新鮮だ。IMG_3425

白みそ仕立てで出てきた。
器は螺鈿細工入りのお椀。IMG_4795

食べ終わると絵柄が現われる。

この店は器に凝っている。
古い器、著名な作家の器を、
惜しげもなく使って、
おいしい料理を提供してくれる。IMG_3428

本まぐろと琵琶湖産うなぎの小ぶりな丼。
ご飯もおいしい。
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ホタルイカを目の前のまな板で調理。IMG_4802

熱々の器にホタルイカを入れ、
茶碗蒸しのスープを注いで、
ふうふう言いながらいただく。IMG_4805

最後にフキノトウやエビ、
新タマネギの天ぷら。
天ぷら屋の絶品の天ぷらが、
最後の詰めの料理だ。IMG_4807

最後の最後に締めのうどん。

私はフグの煮込みうどん。IMG_3442

こちらは梅うどん。
自家製の氷の器で供される。IMG_4808

デザートはわらび餅とアイスクリーム。
写真を撮り忘れたメニューもあった。
おいしいおいしいと言いながら、完食した。

地元のお酒と素晴らしい創作料理に、
大きな感動を覚えた。

今夜の食事は一生忘れない。

食事の後は、夜桜見物。

円山公園にある祇園枝垂れ桜。
正式名称は「一重白彼岸枝垂桜」

スポットライトに照らされたその姿は、
神々しいばかり。
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枝垂れ桜は二代目。
初代は昭和22年に枯れた。
樹齢220年だった。
その初代の種子から育てられたのがこの桜。
樹齢約80年の大木に成長した。IMG_3447

枝垂れ桜の周りを一周する。
若芽の木々とのグラデーションもいい。IMG_3451

多くの外国人が訪れていた。
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そして白川沿いの桜。IMG_4814

ここでも外国人の姿。
日本の桜を愛でている。
うれしいことだ。
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枝垂れ柳と桜。
日本らしさ、京都らしさ。IMG_3472

長いながい一日だった。

アウトスタンディングな店、
アウトスタンディングな学習する組織。

そして卓越した料理と桜。

自分たちらしさを発揮する仕事こそ、
お客様と地域に貢献するために、
もっとも必要なことなのだ。

〈結城義晴〉

2024年04月03日(水曜日)

静岡県知事川勝平太の「士農工商」と「旧サニー」のイズミへの売却

毎日、桜を楽しむ。IMG_33654

雨の中の桜も、なかなかいい。IMG_33664

1日がかりで、
最後の原稿を全部書き上げて、
責了した。

それから「結城義晴の定義集」、
表紙の特集タイトルとCover Message、
さらにMessage of April。

これらも書き終わった。

表4はこれです。
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みんな、ありがとう。

いい出来栄えの一冊です。

自分で言うのも恐縮だが、
チェーンストアやリテールを専門的に掘り下げて、
このクオリティと品格を保つ雑誌は、
歴史の中でも稀だと思う。

そのくらいの気概で取り組んでいる。
ご期待ください。

さて、静岡県の川勝平太知事。

もうワイドショーネタになっている。

失言だらけ。
あまりにひどい言説を自ら認めて、
昨年の冬の知事のボーナスを返上すると言った。

しかし実際はいつまでも返上しなかったので、
県議会が条例を可決して、
知事の冬季ボーナスと12月の月給をカットした。

そしてまたまた失言。

今度は6月いっぱいで辞任すると言い出した。
その辞任の時期は夏のボーナスのあとだ。

川勝平太、老害だ。

最後の失言は、
県庁の新入職員への訓示で出た。

「実は静岡県庁というのは、
別の言葉で言うとシンクタンクです。
毎日毎日野菜を売ったり、
あるいは牛の世話をしたり、
あるいは物を作ったりとか
ということと違ってですね、
基本的に皆さま方は頭脳、知性の
高い方たちです。
ですからそれを磨く必要がありますね。
磨き方はいろいろあります」

これは「士農工商」の序列を言っている。
野菜を売ったりの商と、
牛の世話をしたりの農と、
物を作ったりの工。

自分たちは「士」であるから、
頭脳と知性が高い。

失言ではない。
腹の底から、
こんな偏見が染みついている。

だから次々にこういったことが、
口をついて出てくる。

ピーター・ドラッカーは、
ナレッジ・ワーカーと言う概念を主張した。
それからヒントを得て、
私は「知識商人」と言っている。

商人は、知識と知恵の仕事の人なのだ。

農業も工業も、
知識と知恵の体系で成り立っている。

川勝平太、許さない。

川勝は早稲田大学政治経済学部教授、
静岡文化芸術大学学長などを経て、
静岡県知事となった。

75歳の団塊の世代。

2008年刊の『産業人の未来』
ドラッカー著。
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この赤本では、
帯の言葉を書いている。

しかし川勝の言動は、
ドラッカー思想とは、
真逆にある。

断じて許さない。

夏のボーナスさえ、
支給してはならない。

さて、西友。
またまた大ニュースを発表した。

商人舎流通SuperNews。

北海道に続いて、
九州の店舗事業の譲渡決定を発表した。

九州事業とは店名「サニー」の67店と、
「西友」の長崎駅店、道の尾店の2店。

相手は㈱イズミ。

大久保恒夫社長のコメント。
「日本には地域ごとに非常に豊かな食文 化があり、
きめ細かな対応が必要です。
北海道および九州ともに
順調に利益を生み出してきましたが、
今後は本州をコア地域として、
200強の店舗において最高の価値を提供すべく
経営資源を集中させることとしました」

イズミnews|
西友の九州事業を取得/サニーなど69店舗年商970億円

西友の九州の店舗を事業継承するのは、
イズミとその連結子会社㈱ゆめマート熊本だ。

69店舖は2022年12月期で、
年商970億円、売上総利益267億円。

8月1日からイズミグループとなる。

㈱サニーは1963年に、
百貨店の岩田屋と伊藤忠商事の共同出資で設立。
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福岡生まれの私は、
サニーの人たちと長らく、
親しくしていた。

私の従弟はサニーで精肉のバイヤーをしていた。

2004年に西友の完全子会社となった。
それからウォルマートの孫会社となり、
西友に併合されて今度は、
店舗と従業員がイズミの傘下に入る。

イズミにとっては実にいい「買物」だった。

イズミは「2030年長期ビジョン」を打ち出していて、
中四国・九州地域を軸とした300店舗体制、
営業収益1兆円の達成を掲げる。

それに大きく近づく案件だった。

サニーの人たちにも、
「商人の本籍地と現住所」のことを言おう。

商人には本籍地がある。
それは今もサニーだ。

そして現住所がイズミに変わった。
こちらでも全力を挙げて、
知識商人を貫いてほしい。

ちなみに私の現住所は、
いまでも福岡県福岡市早良区にある。

サニーの店と人は、
私の同志だと思っている。

頑張れ。

〈結城義晴〉

2024年04月02日(火曜日)

西友札幌店舗のイオンへの売却と「日本のカリフォルニア論」

西友が北海道から撤退する。

日経新聞電子版が報じた。

札幌市内の総合スーパー全9店舗を、
イオン北海道に売却する。
170億円。

イオン北海道は取締役会を開いて、
西友と北海道事業の取得に関する契約を結んだ。
5月末に定時株主総会で承認を受け、
10月1日付で西友の店舗を取得する。

全9店舗で働く従業員は、
イオン北海道に移籍する予定。

イオン北海道は札幌市内に、
全店の過半の95店舗を持つ。
そのうち総合スーパー業態は13店舗だ。
これに西友の9店舗が加わる。

西友は大久保恒夫社長のもとで、
改革を進めている。

現在はスーパーマーケット業態のチェーンだ。
したがって遠隔の北海道の、
利益率の低い総合スーパー業態は必要ない。

25年12月期に売上高9000億円、
営業利益率5%以上を目標にする。

札幌市内の総合スーパーは26店。
イオン北海道が13店、西友が9店、
そしてイトーヨーカ堂が4店。

イオンは22店となる。
イトーヨーカ堂の3店はロピアが引き継ぐ。

かつて北海道は、
「日本のカリフォルニア」と呼ばれて、
大手総合スーパーがこぞって進出した。

ダイエー、イトーヨーカ堂、
ジャスコ、西友、マイカル。
長崎屋、東急ストア。

残るのはイオンということになる。

アメリカのカリフォルニア。
ロサンゼルス。

ローカルチェーンの2強は、
ラルフとボンズだった。

ナショナルチェーンは、
セーフウェイとアルバートソン。

リージョナルチェーンがラッキー。

ラルフがクローガー傘下となり、
ボンズはセーフウェイに買収され、
ラッキーはアルバートソンに統合された。

そのセーフウェイとアルバートソンが合併し、
今またクローガーに併合されている。

結局、クローガー一色となった。

こちらは食品スーパーマーケット業態が、
ほとんどクローガーとなる。

チェーンストア2.0企業は、
クローガーに吸収される。

ホールフーズとトレーダー・ジョー、
スプラウツ・ファーマーズマーケット。
ユニークなポジショニングをもつ企業、
チェーンストア3.0の企業が、
自分の道を歩いていく。

北海道の総合スーパーも、
どうやらイオンに収れんしそうだ。

チェーンストア3.0企業が残る。

北海道はやはり、
日本のカリフォルニアなのかもしれない。

もちろんスーパーマーケット業態は、
アークスとコープさっぽろ、
そしてイオン北海道のそれが、
鼎占現象を見せている。

こちらもポジショニング競争である。
そしてこちらもチェーンストア3.0の時代である。

今日は夕方、
當仲寛哲さん、来社。
USP研究所代表取締役所長。IMG_33554

データドリブン経営に関して、
さまざまな意見交換をした。

それから1日中、原稿を執筆し、
デザイナーに入稿した。

よく仕事した。

夜は山本恭広編集長と一献。
IMG_33584

帰り道の夜桜。
IMG_33614

七分咲きといったところか。
IMG_33594

これから桜は本番。

仕事も最後の詰めだ。

頑張ります。

〈結城義晴〉

2024年04月01日(月曜日)

「できるだけ若いうちに料理は始めた方がいい」

Everyone, Good Monday!
[2024vol⑭]

2024年第14週。
4月第1週。

4月1日。

心新たに、新年度が始まる。
その日が月曜日というのは、
とてもいい。

Good Monday!

商業界の時代には、
編集長として食品商業や販売革新を担当していた。
「読む雑誌」ではなく、
「使う雑誌」をつくろうとしていた。

読者は店長やバイヤー、
チーフ、売り場担当者、
その候補生としての新入社員たちだった。

だから毎年4月号は、
フレッシュマン特集を企画した。

現在の月刊商人舎は、
「考える雑誌」を標榜している。
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トップマネジメントや幹部、
トップを目指すミドルマネジメント。
そんな知識商人のための雑誌。

もちろん「考える雑誌」といっても、
知識商人は考えてから行動する。
行動してから考える。

さらに考える。
行動する。

生きている限り、
これを繰り返す。

新入社員も考えることから学んでほしい。

お勧めしたい本を一冊だけあげるとしたら、
外山滋比古著『思考の整理学』
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考える雑誌のコンセプトそのものの内容だ。

日経新聞夕刊のエッセイ。
「あすへの話題」
料理研究家の土井善晴さんが、
「魚の煮付け」と題して書く。
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春の魚、メバルやカレイ。
旬の魚の煮付けが旨い季節だ。

父が魚好きだった。
母は煮つけが得意だった。
私も魚の煮つけが大好きだ。

そのコツを土井善晴さんが教えてくれる。

まず[魚の水洗い]
「姿のままウロコ、内臓をとって、
血合いを洗い、水気を拭き取るまで」

――魚には表裏があるので、
頭を左、腹を手前におく。
頭を右にするカレイは例外。
左ヒラメ、右カレイと覚える。

煮魚は途中で返さない。

[道具]
魚が重ならないように入る広口の雪平鍋、
鍋に見合った落とし蓋、
玉じゃくし。

あとは、
[水]
[調味料]砂糖(あれば味醂)と醤油。

[飾り包丁]
火を入れると皮目が縮むので、
シューと気持ちよく切り込みを入れる。

さて[煮つけ]
《鍋に水をいれ火にかける。
砂糖と醤油で味をつける。
およそ煮立てば、魚の表を上にして入れ、
煮汁をかけて表面に火を通し、
落とし蓋をして中火で煮る。
魚に火が入り、煮汁をとろりと煮詰めて
火を止める。》

――煮汁が流れない平皿に、
箸とヘラを使って、慎重に盛り、
鍋の煮汁をソースにする。

――煮汁の水は、
火を通す時間であり、
ヒタヒタよりも少なめ、
味付けは、冷やっこの感じをイメージして
醤油を入れ、ご飯のおかずなら
砂糖+味醂は醤油より多い目。

土井さん。
「煮付けは、《 》部分が示すように、
いたってシンプルな料理だが、
だれもが分かるように書こうとすれば、
ここでは到底書ききれない」

「しかし、一度魚を煮れば、
これだけのことが経験できるのだ」

素晴らしい。

「料理行為とその周辺には
さまざまな学びがあり、
しかも、料理を超える無限の気付きがある」

料理は思考の整理にも役立つ。

土井善晴さんのメッセージ。
「だから、大人になったら、
できるだけ若いうちに
料理は始めた方がいい」

この言葉を今年の新入社員に贈ろう。

できるだけ若いうちに、
料理は始めた方がいい。

とくにスーパーマーケットに働く者、
食品製造業、食品卸売業に従事する者。
食品産業に生きる者は、
若いうちに料理を始めたほうがいい。
自戒を込めて。

では、みなさん、今週も、
料理をしよう。
そして考えて、考えて、
考え抜こう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

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